
オトナ眼&脳の困りごと対策
肌や髪のハリ・ツヤなど、見える変化は気づきやすくケアを心がけている。一方で、眼と脳の変化はほったらかし…。ということはありませんか?
健康で快適な生活を長く続けるためには、眼と脳の働きが重要です。早めに対策をして毎日を楽しみましょう。
目の調子、疲労感は大丈夫?
今の状況を受け入れて日頃から「眼」の保養を
スマートフォンで事前情報を再確認。小さい字が読みにくいのよね。
場内が暗転して、スクリーンに映像が! 顔がボヤけてよく見えない〜。
始まった! 一気についた照明がまぶしくて見えない。ついていけない...。
途中でトイレに行こうとしたら足元が暗く、目の疲労感もあって見えにくい。
花道に来た! 双眼鏡ではっきり見たいのにピントが合わない〜。
眼の寿命は60〜70年
今からケアして健康維持
学生時代から好きだったアイドルのコンサート、人気俳優の舞台観賞など、非日常のイベントは楽しいもの。たまの外出はおしゃれを意識し、気持ちも高揚するなど、体と心に良い刺激となります。しかし張り切って行ってみたら「あれ? なんか見え方が違う」と感じることが...。その要因は加齢による"オトナ眼"かも。
例えばイラストの「①文字が読みにくい」や「④疲れを感じ、暗くなると見えにくい」、「⑤双眼鏡のピントが合わない」の原因はピント調節の衰えとそこからくる疲労感で、「②画面がボヤけて見える」と「③照明がまぶしい」のは黄斑部の色素が減少することにより光の刺激に影響を受けやすくなる、などが考えられます。
平均寿命が80歳を超える現代でも眼の寿命は60〜70年と短く、加齢による変化は避けられません。眼に良い栄養補給や疲労感のケア、頭から肩にかけての血行促進など、眼の寿命を延ばすためのケアをしていきましょう。来年も10年後も大好きなイベントへ。目標を決めると、持続する力になります。
いつまでも楽しむための
大切な眼のケア
■ 眼の栄養補給
眼に良いのは、ルテインやゼアキサンチンなどの黄色の色素成分。ブロッコリーやほうれん草、赤パプリカなどに含まれます。
■ 観賞用の補助器具
コンサートでは眼に負担を掛けないように、よく見える単眼鏡や双眼鏡を使うのも手。星の観測やスポーツ観戦に使えるものも。
■ 眼の休息
眼の奥に疲れを感じたら、ホットタオルであたためたり、できるだけ遠くの景色を眺めたりして、眼を休息させましょう。
日頃の生活を振り返り、脳を活性化
「脳」はまだまだ成長します
50代からでも成長する
認知能力があります
「最近、うっかり忘れをすることが多いけれど、歳だから仕方ない」とやり過ごしていませんか? 加齢によって低下する機能にばかり気を取られ、まだ伸びる多くの能力があると気づいていないのはもったいないこと。下図は、短期的な記憶力は50歳を過ぎると低くなっていくものの、日常にある問題を解決して実行する能力や語彙力は歳とともに高まる傾向があることを示しています。ダッシュする瞬発力は低下しても、毎日のウォーキングで筋肉をつけると歩行を苦に感じず、持続力がついていく。そういった運動と筋肉の関係と同じで、脳の細胞も刺激することで能力が維持、向上するのです。逆に脳を使わないと機能が衰えていくので、日々の活性化が求められます。
認知能力の年齢による変化
*Cornelius and Caspi(1987, p150) より
出典:秋山弘子(東京大学高齢社会総合研究機構)提供資料
(総務省「ICT超高齢社会構想会議」2012年12月7日)
活性といっても難しいものではなく、いちばんは心持ちです。日常にも好奇心を忘れないことが大事で、「明日はあの映画を観に行こう」「友人と会うから美容院に行かなきゃ」「昨晩コロッケに添えたキャベツの残りを使って、今夜は家族が喜ぶお好み焼きにしよう」など、ちょっとしたワクワクが脳を刺激し、笑顔をもたらします。気をつけたいのはマンネリと無気力。50代、60代はライフステージが変わる機会も多い年頃です。今までの自分をいたわったら、次の一歩に目を向けて。脳はまだ元気ですから、変化を敬遠せず踏み出しましょう。
\一歩、踏み出してみて!/
新しいチャレンジが
心を弾ませ、豊かな実りに
「好奇心が強く、新しいことへの挑戦が好き」という心の持ち方を、心理学では「経験への開放性」と呼びます。そのように成長意欲が高い人は、下図のように高齢になっても知識力※の高得点をキープできることがわかっています。
出典:「すこやかな高齢期をめざして No.12好奇心旺盛に過ごすことの重要性」より
https://www.ncgg.go.jp/ri/lab/cgss/department/ep/topics/12.html
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センターの許可を得て転載
「歳だからもう無理」ということはありません!
定年退職後や子どもが巣立った後、時間ができたら「今までやりたくてもできなかったこと」を思い出し、チャレンジしてみましょう。資格試験を受けてみたり、新しい仕事をしてみたり、趣味の映画観賞にふけったり。たとえ失敗しても怖くありません。その経験が次につながり、脳を刺激してくれます。
「気の持ちよう」が、明日への活力に
「私なんて...」という言葉は封印! いつもと違うメイクや洋服で自らを磨いたり、料理の味つけをアレンジしたり、家具の配置を変えたりなど、自分自身や単調な日常に少し変化を持たせてみましょう。するとまわりの見る目が変わり、ポジティブな思考が育まれて「次は何をしよう」と考えられるようになります。
*参考:『世界一の眼科外科医がやさしく教える 視力を失わないために今すぐできること』深作秀春著(主婦の友社)、『50歳を超えても脳が若返る生き方』加藤俊徳著(講談社)、ニッセイ基礎研究所「年を重ねると脳は衰えるだけなのか?」
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=65674?site=nli