ヘルスケア特集 ヘルスケア

こんなこと、ありませんか?

□  朝食は野菜ジュースや果物ジュースと菓子パンですませることがある

□  焼きそばやうどん、パスタなど粉ものが好き

□  限定ものやご当地の名物、人気の品を食べるのはワクワクする

□  ランチは手軽な丼ものですますことが多い

□  食後のデザートをほぼ毎日食べている

□  差し入れのケーキやお菓子は喜んでいただく

■ まずは、糖質の基本を知ろう!

糖質っていったい何?

糖質は、たんぱく質、脂質と並ぶ、三大栄養素のひとつです。いずれも体を動かすエネルギー源ですが、たんぱく質は筋肉や臓器・皮膚などの、脂質は細胞膜やホルモンの原料になるのに対し、糖質はそのような新陳代謝には使われず、純粋にエネルギー源としてのみ働きます

糖質が多く含まれるのは、ごはんやパン、麺などの主食、いも類、果物、砂糖など。疲れたときに甘いものを欲して疲労回復をはかるのは本能的にエネルギー源を求めているから。いわば自動車を走らせるためのガソリンのようなものなのです。


現代人は摂りすぎ!? 人と糖質の関係性

日本人の食生活は弥生時代以降、狩猟・採集から稲作中心に変わりました。エネルギー供給の安定によって活動の幅が劇的に変化。街が栄え、文化が発展していきます。その後さらに高度なものが求められ、技術力が飛躍的に向上し、あらゆる事柄が自動化しました。洗濯は洗濯板から洗濯機に、床掃除は雑巾掛けから掃除機へと生活スタイルが変化し、階段はエスカレーター、買い物はネット通販、仕事もデスクワーク中心になって、人が活動する量が大幅に減少したのです。しかしながら摂取エネルギーはあまり変化していないため、エネルギー源にしかならない糖質は体内で余りやすい状況に。


糖質は吸収力が抜群! 余った分は体脂肪に

糖質は脂質やたんぱく質と比べて吸収されやすいのも特徴で、消化・分解され、必要エネルギーを消費した後、余った分は体脂肪として蓄積されます。加齢とともに基礎代謝量も減るため、同じ量を摂取していると体脂肪は増える一方。その日の活動量に見合った量に留めることが健康維持の第一歩といえます。






対策したい方の
1日の糖質目安は?

体つきや活動量で多少の差がありますが、活動量の少ない日は意識して主食や甘いものを少なめにすると良いでしょう。ダイエット目的のみならず肥満・糖尿病予防には1日当たり120g以下を目標にするのが理想的。そんなに食べていないはずなのに太ってしまうという人は、食材の糖質量を知って食生活を見直しましょう。


■ その不調は糖質が原因? 糖質の摂りすぎで起きること

食事の後、ボーッと過ごしてしまっている、ということはありませんか? それは糖質の摂りすぎが原因かもしれません。甘いものに手を伸ばす前に本当の空腹感を思い出し、間をおいて次の食事を摂ることが肝心。糖質の摂りすぎを控えると血糖が安定しやすくなり、気持ちもすっきりしてきます。

あなたは大丈夫?
糖質摂りすぎ度チェック

□  最近疲れることが多い

□  食後2〜3時間ほどで、すぐにおなかが空いてしまう

□  疲れているときに甘いものを食べると元気が出る

□  デザートを食べたのに、もっと甘いものが食べたいと感じることがある

□  食後に、強い眠気に襲われることが多い


食後1〜2時間の強い眠気は要注意!

食事をして血糖値が上がると、体内では正常値に戻すために膵臓からインスリンが分泌されます。糖質量が多いと血糖値の上昇はより急速で、インスリンも大量に分泌されるため血糖値が急降下。すると脳や自律神経にエネルギーが行き届かなくなります。食べ物の消化には本来3〜4時間かかるのに食後1〜2時間で眠くなったりだるくなったり、イライラしたりするのはこれが原因。ここでまた気持ちを高めようと糖質を摂ると、負のループにはまってしまいます。

空腹の勘違いが起こす血糖値スパイク

前の食事が消化しきれていないのに血糖値の急降下でおなかが空いていると勘違いし、糖質を摂ることを繰り返していると血糖値の乱高下「血糖値スパイク」を繰り返してしまいます。体内で余った糖は体脂肪になるだけでなく、様々な不調をまねきます。また日本人は西洋人より血糖値が上がりやすい傾向があるので要注意。心身ともに健康でいるために、日頃から糖質の摂り方を意識しましょう。




大切なのは質と量
糖質とカロリーの関係


エネルギー(kcal)値は、糖質だけでなく脂質やたんぱく質の数値も含んだ食事の総カロリーです。同じ500kcalでも糖質の占める割合が多いと血糖値スパイクを起こす要因に。また、体格や胃の大きさは人それぞれですから、糖質量を抑えていればカロリーをいくら摂っても大丈夫というのも間違いです。食事で大事なのは質と量。肥満傾向にある人は、できるだけ低糖質な食事を適量でおさめることが望まれます。



■ うっかり食べても大丈夫! 糖質とのおいしい付き合い方

元気の源となる糖質には、魅力的な食材がいっぱい。時間帯や活動量を意識して摂るのが、健康維持のコツです。

活動量を意識して糖質と上手にお付き合いを

糖質は体内に100%吸収されてエネルギーにしかならないことを念頭に、1日の活動量に見合った量を摂っていくのが適しています。1日3食の中でしっかり主食を摂るなら昼食がおすすめ。食後の活動が見込めない夕食時の主食の摂りすぎや、見落としがちな休みの日のだらだら食べは禁物です。手持ち無沙汰でつい求めてしまう間食は、ナッツやチーズを少し食べて空腹を紛らわせましょう。人との付き合いやパーティなどで糖質を我慢するのが難しいときは、その前後で主食を減らし、2〜3日で糖質を摂る量を調整していくのが賢い方法です。

どんな食材に糖質が多く含まれているのか、下記を参考に覚えておくと外出時のメニュー選びにも役立ちます。また、食べるときは野菜→おかず→主食といった食べ順を意識すると、主食を摂るときにはおなかが満たされているので量を減らすことができ、効果的。メリハリをつけた食事で、糖質と上手にお付き合いをしていきましょう。

糖質の多い食材を要チェック!

うどんも糖質が多い!


多いのは甘い野菜やいも類
いも類が原料の春雨にも要注意!



ヘルシーなイメージのなしも多め!
果物の果糖は脂肪になりやすいので食べすぎに注意しましょう。
1日10g以下がおすすめです。


ソフトドリンクに要注意!

洋菓子と同じく和菓子も糖質量多し!


お酒は2日に1回以下で、低糖質のものを

アルコールは糖質と同じガソリンのようなもので、元気は出ますが体内で消費されない分は体脂肪になります。特にビールや日本酒など、原料に糖質を多く含む醸造酒は主食と同様と考えて。飲むなら糖質ゼロの焼酎やハイボールがベター。飲みすぎや毎日は肝臓に負担が掛かるので休肝日も必要です。


食物繊維で血糖値をダウン! 

食物繊維には水に溶ける水溶性と溶けない不溶性があり、水溶性食物繊維は糖分の吸収速度を緩やかにして血糖値の急上昇を抑える働きがあります。また、不溶性食物繊維は腸の動きを活発にして排便を促します。どちらも腸内の善玉菌のエサになり、腸内環境を整えてくれるのでバランス良く摂ると良いでしょう。



監修前川 智 先生 長野松代総合病院ダイエット科部長、消化器内科部長、医学博士。2010年より糖質制限による食事療法・行動療法・運動療法を組み合わせた正しい減量プログラムを行う「ダイエット入院」を実施。これまでに入院した1300人以上が、100%減量に成功している。著書に『イラスト&図解 ゼロから知りたい! 糖質の教科書』(西東社)、『やぶ患者になるな!』(幻冬舎)など。

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