ヘルスケア特集 ヘルスケア

上手に年齢を重ねる
ウェルエイジング時代へ

今の日本は世界でもトップクラスの長寿社会になりました。最近では遺伝子の研究が進み、人間の最長寿命は120年にも及ぶといわれます。まさに「人生100年時代」を生きているのが私たちなのです。

そんな時代には、ただ長生きをすれば良いのではなく、健康寿命を長くして質の高い豊かな人生を過ごすことが重要になってきます。以前は年齢による変化に抵抗する「アンチエイジング」という言葉が流行りましたが、今は上手に年を重ねる「ウェルエイジング」へと時代の意識はシフトしています。自分自身の変化ときちんと向き合い、その時々に求められる心構えや適切なケアをタイミング良く講じていくことが、人生をさらに豊かにする「ウェルエイジング」な生き方につながります。

ウェルエイジングを実践するためには、「食事」、「運動」、そして「変化への心構え」の3つの視点が大切なポイントになります。特に3つ目の変化への心構えを持つことが、いちばんの難題かもしれません。私たちは皆、これから先どんな変化が待ち受けているのかがわからず、不安に感じるものです。その不安から目を逸らすのではなく、いち早く向き合うことから、ウェルエイジングが始まると言っても過言ではありません。


老化スピードは自分次第
少しずつでも習慣改善を

私がお伝えしたいのは「老化のスピードを決めるのは自分次第」ということです。皆さんのまわりにも、いかにも健康で、自分のやりたいことを楽しみ、実際の年齢より若々しく見える人がたくさんいるはずです。そのような人たちは、何かしら健康に良い習慣を持っているものです。最近の研究でも、寿命や老化のスピードは、遺伝より生活習慣の影響の方が大きいことがわかってきています。だからこそ加齢から目を逸らさず、加齢とともに下降線を描く体の機能を、なるべく緩やかなカーブにすることに取り組んでいただきたいのです。


40代から50代へ
悩みはどう変わる?

*ファンケルによる2022年6月29日〜7月6日実施アンケート (40〜50歳の男女1,358名)より抜粋



45歳からの対策ポイント

■ 目
50代からは目の病気が増えるため、視界に異常を感じたらすぐ眼科へ。日頃からサングラスで紫外線から守る、度が合う眼鏡や老眼鏡を使うなどの工夫を。

■ 髪
髪の質が変化し、薄毛・抜け毛が増えるため、生活習慣や頭皮ケアにも注意を。薄毛は専門クリニックに相談してみるのもおすすめ。

■ 肌
肌を若々しく保つには、運動で新陳代謝を上げること、バランスの良い食事を心がけることが重要。自分の年齢に合うようにスキンケアやメイクにも工夫を。

■ 肩
肩こりや四十肩の予防には横向きで寝ることや大きく肩を動かすラジオ体操がおすすめ。長時間の目の使いすぎにも注意を。

■ 血圧
血圧が高めのまま放置すると、治療が必要な高血圧症をはじめ様々な病気を引き起こす恐れも。通院が必要になる前に生活習慣の改善を。

■ 腰
慢性腰痛には温湿布や腹巻きで血行を促進し、ぎっくり腰には冷湿布を。背骨や内臓に異常がない場合は心因性の要因が疑われます。

■ 体形
筋肉量の低下と体脂肪の増加により、猫背やおなかが前に突き出た姿勢になりやすく、背骨やひざにも負担が。


様々な形であらわれる
エイジングサインとどう向き合う?

加齢による変化のサインは、様々な形であらわれます。ファンケルで実施した健康悩みについてのアンケートによると、40・50代は肌や髪などに関する「見た目の悩み」と、疲れや肩こりなどの「自覚的な悩み」の両方があらわれる年代であることがわかります。様々な変化や不調を感じつつも、社会的には脂が乗り、食事やおしゃれも楽しみたい気持ちとの間で揺れ動くのがこの年代の難しさです。

また、「自覚的な悩み」として、疲れやすさや肩こりが上位に挙がっていますが、これは年齢とともに筋肉量が減ってきたサインかもしれません。特に男性に顕著な腰痛は、筋力が低下しているにもかかわらず、若い頃と同じような動きを無自覚に続けていないか注意が必要です。

このような変化はネガティブに受け止められがちですが、自分の体との付き合い方を見直すタイミングを教えてくれる重要なサインです。あるいは、このまま放置していると深刻化するという予告かもしれません。これまで忙しくて自分のことは後回しだったとしても、これからは自分の体に向き合い、どんなケアが必要なのかをじっくり考える時期が訪れたのです。

だからこそ、変化をポジティブに受け止めましょう。例えばこんなふうに捉え方を変えてみるのがおすすめです。

気になる老眼は、細かい字の代わりに美しい自然を楽しむ時間をつくってくれるもの。

更年期は、月経や妊娠・出産が前提となる時期から解放され、自分の時間を楽しむ日々の到来を教えてくれるもの。


これまでの習慣を仕分け
ウェルエイジングな生活へ

加齢とともに体の機能は下降線を辿りますが、その速度を速めるのも遅らせるのも自分次第です。そこで、まずはご自身の体の変化を把握するために、毎年の健康診断をしっかり受けましょう。検査結果の経年変化を確認することで、自分にどんな変化が起きているのかがわかり、これからのケアのヒントを得られます。

そして、健診結果を踏まえて「10年後の自分はどうなっていたいか」をできるだけリアルに思い描いてみてください。そうすることで、今後10年間でどんな習慣を積み重ねれば良いか明確になるでしょう。

例えば食事を考えてみましょう。1日3回食事をするとして、年間で約1000回、10年で約1万回になります。健康的な食事を意識するのと、無意識に好きなものを食べ続けるのとでは、将来に大きな差が生まれるのは明白です。運動にしても、毎日10分多く運動すれば、10年で約600時間の積み重ねに。運動は脳を活性化させるため、認知機能へも良い影響を与えてくれます。

小さな積み重ねが10年で大きな差へ


とはいえ、いきなりこれまでの習慣を変えるのは難しいものです。そこでおすすめなのが、生活習慣を「微調整」する方法です。例えばラーメンが大好きな方は、野菜たっぷりのタンメンにする、スープは残すといったことから始めてみる。甘いものが大好きなら、生クリームたっぷりのケーキを高級なチョコレート少々に替えてみるという具合に、これまであたりまえだった食生活を少しずつ微調整するのです。

運動習慣については、一人だと続かないという方は、近所のスポーツチームに入ったり、ジムで知り合いをつくったりして、一緒に運動する仲間をつくるのもおすすめです。

毎日の小さな積み重ねこそが、健康で質の高い豊かな人生の礎です。未来の自分から「ありがとう」と言われるよう、大切な一歩を踏み出してください。

生活改善で変化のカーブを緩やかに




\福田先生からメッセージ/
何歳からでも自分を変えられます!


私自身、5年前に一念発起して、学生時代に没頭していた水泳を再開。マスターズ競技大会にも出場するようになりました。そこで昔の仲間に再会したり、80代の現役選手に勇気をいただいたり。水泳仲間の若々しさを目の当たりにして運動の大切さを実感しました。皆さんもぜひ一緒に、ウェルエイジングを実現しましょう。



監修福田 千晶 先生 慶應義塾大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院勤務を経て、医師としての診療とともに、健康科学アドバイザーとして講演・執筆を中心に活動。 『血液力をあげて病気にならない生き方』(永岡書店)、『病気にならない 体を温める習慣』(KADOKAWA)など著書多数。

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