ヘルスケア特集 ヘルスケア

高めになりがちな4つの数値

■ 1. 腹囲

腹囲の基準値は...
男性85cm以下
女性90cm以下

内臓脂肪の材料となるのは、油や肉の脂身に含まれる脂質ではなく、お米やパン、お菓子などの糖質です。運動不足や食べすぎによって、エネルギーとして消費されず余った糖質が中性脂肪となり、腹部に内臓脂肪として蓄積されます

腹囲が基準値を上回る場合、内臓脂肪に注意が必要です。食生活が一定であれば、体はそのリズムを覚え、効率的に糖質を消費してくれます。しかし、平日は朝食を抜き、土日は朝食を食べるなど、食生活が不規則だと食事がいつ入ってくるかわからないので、内臓脂肪として溜めておくようになります

実は内臓脂肪は溜まりやすい反面、減らしやすい脂肪。だからこそ規則正しい食事や適度な運動を心がけましょう。


■ 2. 血圧

血圧の基準値は...
[最高(収縮期)血圧]129mmHg以下
[最低(拡張期)血圧]84mmHg以下

血圧は自律神経と深く関係しています。全身の機能を自動的に調節する自律神経は、心身の状態を活発にする交感神経と、心身を休ませる副交感神経がうまくバランスをとりながら働いています。

日中活動しているときは交感神経が優位に働き、血管が収縮して細くなります。そこに、仕事や生活上のストレスなどで過度に血管が収縮すると、心臓が血液を循環させるため高い圧力を掛けることに。ストレスはこまめに発散し、質の高い睡眠を心がけましょう

また、塩分の摂りすぎも血圧に影響があります。塩分を摂りすぎると体が血中の塩分濃度を薄めようとして水分摂取を促し、血液量が増加します。血液量が多いほど、ポンプの役割をする心臓は血流を維持するため高い圧力を必要とします。食事の塩分量は適切に管理することが大切です。

■ 3. 脂質

脂質の基準値は...
[中性脂肪値]30〜149mg/dL
[HDLコレステロール値]40mg/dL以上

脂質を摂りすぎると血中の脂質のバランスが乱れ始めます。油分や肉の脂身などの脂質は肝臓で代謝され、善玉のHDLコレステロール、悪玉のLDLコレステロールに変化して血中を流れます。LDLコレステロールは健康を維持するうえで必要不可欠な成分ですが、増えすぎると健康を害するため、余分なLDLコレステロールを回収する役割を持つのがHDLコレステロールです。

中性脂肪が増えるとLDLコレステロールの蓄積を後押しし、結果的に余分なLDLコレステロールを回収する大切な働きを持つHDLコレステロールが減少することに。LDLコレステロールの蓄積を抑えるためには、中性脂肪を減らしHDLコレステロールを増やすこと。脂質はバランスが大切なのです。


■ 4. 血糖値

血糖値の基準値は...
[空腹時血糖値]109mg/dL以下

ご飯やパン、お菓子などの炭水化物を食べることで糖質が消化吸収され、ブドウ糖となり血液に入ります。このため食後には血糖値が上がります。このとき、血糖値を下げるために膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、細胞にブドウ糖を取り込ませてエネルギーに変える働きをします。インスリンは血液の中の糖をエネルギーに変えて血糖値を下げる唯一のホルモン。インスリンがなければ血糖値を下げることができません。インスリンを産生する膵臓の働きは個人差があり、東洋人は欧米人よりもインスリンの分泌量が少ない人が多い傾向にあるといわれています。

また血中のブドウ糖が多いということは、血液が甘くドロドロになっている状態。血糖値が高めになるとLDLコレステロールの蓄積も後押しするため、注意が必要です。


メタボとは?


「メタボリックシンドローム」の略で、内臓脂肪の蓄積に加え、血圧、脂質、血糖値のうち2つ以上が基準値を超えた状態を示すもの。

程度が軽くとも重なって起こると、動脈硬化が進行しハイリスクな状態へとつながります。

重篤な病気を未然に防ぐためには、食生活の改善や運動習慣が大切です。栄養バランスの良い食事を摂る、ウォーキングなど負荷の軽い運動をするなど、できることから対策をしましょう。



40代以降の女性は脂質の変化に要注意!

女性は閉経によってエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が減少し、LDL(悪玉)コレステロールの抑制作用が下がることで、数値が高めになりやすくなります。メタボに直接関連しませんが、健康リスクが高くなるため注意が必要です。またホルモンバランスの影響で、血糖値や血圧も高くなりがちに。これらの数値を下げるには、食生活がとても大切です。青魚類や大豆製品、オリーブオイルなどの不飽和脂肪酸を多く含む食品や成分の摂取が効果的です。




和田先生からのアドバイス

結果を見て「異常なし」なら、健康診断結果を捨ててしまっていませんか? 加齢による体質や生活習慣の変化によって、各項目の検査数値は毎年アップダウンを繰り返しながら境界域に向かっている可能性があります。長いスパンで数値を記録し、ご自身の傾向を把握することが大切です。体の変化に合わせて生活習慣を見直す目安として、健康診断結果を活用しましょう。

監修和田 高士(わだ たかし) 先生 東京慈恵会医科大学 客員教授 医学博士。著書に『ちょっと心配な健康診断の数値がすぐにわかる本』(学研プラス)など。

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