ヘルスケア特集 ヘルスケア

カラ暑の国との違いは?
ジメ暑国・ニッポンの夏が過酷な理由

まずは、気温は高くても湿度が低い「カラ暑」国と、気温も湿度も高い「ジメ暑」国の地域をいくつかピックアップ。日本の夏と比べてみましょう。


次は日本の夏。2022年の各地の気温と湿度を見てみましょう。

なんと日本の夏は、エジプト並みに気温が高く、湿度は熱帯アマゾンに位置するブラジル・マナウス級! 世界的に見てもジメ暑度が高いのです。

この環境が体に過酷な理由は2つ。ひとつは体感温度。私たちは湿度が高いほど「暑い!」と感じるため、実際の気温以上に暑苦しさを感じてバテることになります。

もうひとつは体温調節の難しさ。私たちの体温は自律神経によってコントロールされ、暑いと汗をかいて体温を調節します。でも急激に暑くなる季節の変わり目のこの時期は、その変化に自律神経がうまく対応できなかったり、湿度が高くて汗をスムーズに蒸発できなかったりして、体に負担が掛かります。これがだる重感や疲労感、イライラするといった心身の「隠れ夏バテ」の一因に。

そうなる前に! 今からできる3つの対策で、身も心もすこやかに夏を乗り越えましょう。


< 対策① >
めぐる体に整えて、だる重感を軽減

水分不足や冷房による冷えなどで、夏はリンパや血液が滞ってむくみがち。それをしっかり流せば、自律神経の乱れによるだる重感もすっきり。

■ むくみ改善&予防に! バンザイ背伸びスクワット

(1) 脚を肩幅の1.5〜2倍に開き、つま先は軽く外向きにして立ちます。
(2) 股関節を折り込みながら、お尻を後ろに引くようにして腰を落とし、腕は下げます。
<POINT>
太ももやお尻まわりが伸びたと感じるくらいまで腰を落とせばOK

(3) できるところまで腰を落としたら、次はゆっくりと立ち上がります。
(4) つま先立ちになって、バンザイの姿勢で背伸びをします。
<POINT>
肩をすくめないようにしてバンザイすると、姿勢を改善する効果も

●(1)~(4)を5回繰り返して1セット。立ち仕事やデスクワークの合間などに1日3セットくらいがおすすめです。

■ Wでスッキリ! 足裏&ふくらはぎマッサージ

(1) 足指を1本ずつ手でつかみ、くるくる10回ほどまわしてほぐします。
(2) 親指のつけ根から始まる内側縦アーチに沿って、親指でなぞるように動かしてもみほぐします。
(3) 小指のつけ根から始まる外側縦アーチも同様にもみほぐします。
(4) 足裏の真ん中を親指でギュッと指圧します。

続けて足裏と同じ側のふくらはぎをマッサージします。足裏とふくらはぎは密接な関係にあり、足裏のアーチがくずれると、ふくらはぎがむくみやすくなります。また血液も、足裏からふくらはぎをとおり、体幹へと運ばれるので、同じ脚側を続けてケアする方が、むくみ対策&血行促進に効果的です。

(5) かかとの内側から、アキレス腱とふくらはぎの内側を、両手でつかみ、イタ気持ち良いくらいの強さでなぞるようにもみほぐします。
(6) 外側も同様にもみほぐします。
(7) ふくらはぎのふくらみの真ん中と、ふくらみの下を親指でギュッと指圧します。
(8) 反対側の足裏とふくらはぎも同様にマッサージしましょう。

●足裏とふくらはぎのマッサージは、自分が気持ち良いと感じる回数でOK。筋肉がやわらかくなっているお風呂上がりに行うのもおすすめです。


< 対策② >
効果的に食べて、疲労感から抜け出す

夏に疲れを感じやすいのも、実は自律神経の乱れが大きな要因。そこに食欲不振が重なり、喉ごしの良い麺類など糖質に偏った食事が続くと疲労感が長引くばかりです。

糖質を体内でエネルギーに変換する際に欠かせないビタミンB群を中心に、たんぱく質やビタミン、ミネラルを積極的に摂っていきましょう。

また自律神経を整えるには、鶏むね肉に多く含まれるイミダゾールジペプチドが良いといわれています。こちらも積極的に取り入れてみましょう。


■ 「コエンザイムQ10」で元気の底上げも!

もうひとつおすすめの栄養素が「コエンザイムQ10」。これは体内でエネルギーをつくり出すときに重要な働きをする成分のひとつ。体内に十分にあれば、エネルギーが効率良くつくられ、元気の底上げにつながります。ぜひ食生活にとり入れてみてください。



<対策③>
心の夏バテには、デジタル・デトックス

暑い中、ちょっとしたことでイライラした経験はありませんか? ジメジメとした暑さや、室内外の温度差といった環境ストレスによって心も夏バテしやすいもの。

そこでとり入れたいのがデジタル・デトックス。一日中スマホやタブレットで新しい情報に触れていると、私たちの心は疲労こんぱい。自律神経も乱れて睡眠の質まで低下するといわれています。

【デジタル・デトックスのとり入れ方】
■ 寝る1~2時間前には、スマホやタブレットをオフにして離れた場所に置く
■ 朝の起きがけなどに、1~2時間程度、スマホやタブレットに触れない時間をつくる
スマホやタブレットを持たずに近所を散歩してみる

<POINT>
「絶対に見ない!」と意気込むとストレスになるので、最初は30分くらいのつもりで始め、少しずつ時間を延ばしていくのが◎


今年こそ、元気いっぱいの楽しい夏を!

今回ご紹介した対策は、どれも手軽なものばかり。毎日少しずつ続けて、カラッと爽快な気分で夏を思いきり満喫してください。


監修河村 玲子 さん メンタル&フィジカルサポートスーパーバイザー。全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定パーソナルフィットネストレーナー、管理栄養士

同志社女子大学卒業、大手フィットネスクラブを経て、独立。カナダで管理栄養士トレーナーとして活動し、ニューヨークでピラティスを学ぶ。フィジカルとメンタルに加えて栄養面でも専門的な指導が行える稀有な存在として人気。

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