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内臓脂肪って?

内臓脂肪は体脂肪の一種で、胃や腸などの臓器のまわりにつく脂肪のこと。腰まわりの脂肪が増えておなかがポッコリとした体形になるため「リンゴ型肥満」とも呼ばれます。内臓脂肪が増えると「内臓脂肪型肥満」のリスクが高くなります。

内臓脂肪が増えすぎると将来どうなるの?

日本人のエネルギー摂取量は時代とともに減少傾向から横ばいにあります。しかし、40歳を超えた頃から肥満やメタボリックシンドロームに悩まされる人は増えています。特にシニア世代は活動量が減ることで基礎代謝が落ち、内臓脂肪がつきやすい傾向に。内臓脂肪は増えすぎると健康リスクが高まり、肥満になりやすくなります。
そうなる前にできることを考えましょう。まずは内臓脂肪に対する勘違いがないか確認し生活の見直しを。習慣はなかなか変えられませんが、ひとつでもチャレンジしてみようという気持ちが大事です。

*平成28年の値は全国補正値です。
出典:昭和22~平成5年「国民栄養の現状」、平成6〜14年「国民栄養調査」、平成15年以降「国民健康・栄養調査」(厚生省/厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.htmlを加工して作成



内臓脂肪に関する3つの勘違い

内臓脂肪は減らすことができます。それにはバランスの良い食事、適した睡眠、運動を日々継続することが重要。糖質オフなど偏った食事は、体内の水分や筋肉量が減ることによる一時的な見た目の変化がほとんど。まずは今の暮らしを見直しましょう。

やせて見えても、内臓まわりに集中して脂肪が蓄積している人はいます。一般的な健康診断では、腹囲が男性85cm未満、女性90cm未満が正常値。一見やせていてもぽっこりおなかの人は要注意です!

内臓脂肪は減りますが筋肉も落ちてしまい、脂肪がつきやすい体に。また、空腹時間が長いとドカ食いをしやすくなり、内臓脂肪で上がりやすくなっている血糖値がさらに急上昇する恐れも。食べないのではなく、どう食べるかが大事です。




体内時計を整えると体の調子が変わる!?

食べる時間で内臓脂肪対策

生活リズムを整えて脂肪を蓄積しない体に

私たちの体には「体内時計」があるのをご存じですか? 体内時計は生活リズムをコントロールする機能で脳や内臓、血管など体中にあり、そのリーダー格が脳の「視交叉上核しこうさじょうかく」です。睡眠や食事、代謝などのリズムをつかさどり、体の細部の時計に情報を伝え各機能の働きを助けます。
体内時計が乱れて生活リズムがズレていくと、体に不調をきたします。睡眠が妨げられて疲れやすくなり、代謝機能が落ちるため摂取した糖質や脂質が内臓脂肪として蓄積されやすくなります。リズムを乱さないようにするにはどうすれば良いか。朝の行動が重要です。

光の刺激と食事の刺激で体内時計を毎朝リセット

1日は24時間ですが、体内時計は人によって数分〜数十分前後異なります。そのため、毎朝全身の時計を合わせる=リセットすることが体内時計を整えるポイントです。
リセットには「光」と「食事」の2つが重要で、目の網膜から光が入ると視交叉上核が働いて体内時計に朝を知らせます。また食事によって臓器や血管が動き出し、体が目覚めていきます。おすすめの朝食は体内時計を動かす炭水化物とたんぱく質(魚類に含まれるDHAやEPAが体内時計の始動を促す)を中心に、体内時計の動き出しを確実にしてくれる栄養バランスを考えた副菜(食物繊維など)、体を目覚めさせるカフェインなどを組み合わせて。魚の缶詰めや各栄養素が摂れるサプリメントを活用すると手軽。ビフィズス菌をプラスして食物繊維とともに腸内環境を整えるのも良いでしょう。


できるところから新しい習慣にしていく

体に良いとわかっていても生活習慣を変えるのは難しく、人によってできることとできないことがあります。下のリストは改善することが望ましい習慣です。変えられそうなことから1週間試し、達成できたらもう1週間。2週間続けられると習慣化できます。そうしたらまたひとつ増やして、習慣を少しずつ変えていきましょう。嗜好品はやめるのではなく、「摂る時間を変える」と考えると切りかえやすいです。
適した時間帯に食事を摂ることで代謝が機能的に働き、適度な睡眠をとり、毎日少しでも運動することで内臓脂肪が燃焼していきます。

チェックリスト
朝食を抜いている
早食いしてしまう
一日中ほとんど動かない
喫煙量、飲酒量が多い
夕食の後にジュースやお菓子を摂る
寝る前にスマートフォンを見る
寝る前にカフェイン飲料を飲む
寝酒をしている

当てはまるものがあったら、それがあなたの改善すべき点。変えられそうなものをひとつ選び、まずは1週間チャレンジしましょう。


よかれと思ってやっているけど、どうなの?

体内時計で効果的に内臓脂肪を減らし、体の調子を整える

Q.毎朝、散歩しているのにおなかがへこまないのはどうして?

A.体内時計がリセットできていないため、代謝効率が悪いようです。散歩の前に光と食事で体内時計をリセットし、カフェインや腸の働きを向上するビフィズス菌などを摂ると内臓脂肪の燃焼に効果的。もしくは体があたたまっている夕方に運動すると燃焼効率が良くなります。




Q.睡眠時間が短くなったけど、年齢的にしょうがないこと?

A.睡眠の質が悪くなっているのかもしれません。昼間や夕方に適度に運動し、寝る前のリラックス効果を高めて眠りを深めましょう。睡眠時間は7〜8時間がベター。それより少なくても多くても内臓脂肪の蓄積が進むといわれています。



一般的に食事は夕食をメインに考えることが多く、3食の食事量の比率も朝:昼:夕=2:3:4くらいになり、内臓脂肪の燃焼効率が悪い状態に。食事量は朝・昼・夕、3食均等になるようにすると体内リズムが整いやすくなります。朝食の量だけを増やすのではなく、夕食のおかず1品を朝にまわして全体量を変えないのがポイント。無理なく続けて、体の調子を整えていきましょう。



監修古谷 彰子 先生 博士(理学)、管理栄養士、愛国学園短期大学准教授

時間を軸に医学・栄養学・調理学にアプローチする「時間栄養学」をとり入れた生活習慣改善に着目し、対象者にレシピ提供、アドバイスを行う。著書、TV出演など多数。

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