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季節の免疫ケア「春」
軽やかな春を迎えるために

世の中のせわしなさが、気づかぬうちにストレスに

「春は入社や転勤、引っ越しなど環境が大きく変わる季節。世の中のせわしない空気にストレスを受けたり、あたたかな陽気で気持ちが上向きになって無意識のうちに頑張りすぎてしまうことも。気づかぬまま負荷が掛かり、自律神経が乱れやすい季節なのです」と、医師の小林弘幸先生は話します。
自律神経の乱れは免疫機能に悪影響を及ぼします。免疫細胞が栄養不足になり免疫力が低下したり、細胞数が減少したり。自律神経は免疫細胞の7割が棲む腸を制御しているので、自律神経の乱れで腸内環境が悪化すると免疫細胞にもダメージが。
「自律神経の乱れは自覚しにくいので、春は意識して対策を重ねて免疫力を上げることが大切です」



「自律神経の乱れ」とは?

自律神経は、体を緊張させ活動的にする交感神経と、リラックスさせ休ませる副交感神経があります。ストレスなどにより交感神経の優位な状態が続いてバランスがくずれることで、自律神経が乱れてしまいます。





免疫力を高める習慣

習慣 1

血流を良くするスクワットを日課に

下半身に送られた血液を送り返すためには、脚の筋肉の収縮によるポンプ作用が重要です。スクワットを行ったり階段を上ったりすることで、脚の筋肉を鍛えると同時に、下半身に溜まりがちな血液を押し上げて、免疫細胞を全身にめぐらせることができます。

ひざを曲げる角度は浅くてもOK。
無理のない範囲でゆっくり行いましょう。

習慣 2

ゆっくり話すくせをつけて呼吸をコントロール

新年度を迎え、忙しかったり時間に追われたりしていると、呼吸が浅くなり常に交感神経が優位な状態になってしまいます。意識的に「ゆっくり話す」「ゆっくり動く」ことを心がけると、呼吸が落ち着いて自律神経も整い、免疫力の低下を防ぐことができます。

習慣 3

有用菌とそのエサをとり入れて腸内環境を整える

免疫細胞の7割が棲む腸内環境を整えることは免疫力向上につながります。乳酸菌やビフィズス菌といった有用菌をいろいろな食品から定期的に摂るとともに、そのエサとなる水溶性食物繊維やオリゴ糖なども一緒に摂ると腸内の有用菌が活性化します。

習慣 4

食事の時間を5〜10分長くする

よく噛むことも大切です。噛む回数が減ると、病原菌やウイルスの侵入を防ぐ働きのある免疫物質が減ってしまうといわれています。食事の時間を、これまでより5〜10分長くするように心がけると、 咀嚼 そしゃく 回数も無理なく増やすことができます。



Advice

免疫力低下につながるストレスをなくすことは難しいですが、動くことによって軽減できます。
運動以外にも、掃除や料理をするのも効果的です。
そして、バランスの良い食事、質の良い睡眠、適度な運動を心がけて。

自律神経を整えることが免疫力アップにつながります。





監修小林 弘幸 (こばやし ひろゆき) 先生 医師 順天堂大学医学部教授

国内における自律神経研究の第一人者として、アーティスト、プロスポーツ選手、文化人へのコンディショニングやパフォーマンス向上指導を行う。『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』(プレジデント社)など著書多数。

イラスト:根津あやぼ

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