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骨密度の低下は歳だからと諦めない!

健康寿命を延ばすために欠かせないのが、丈夫な足腰を維持すること。長野県では、自治体と医療者、そして県民が一体となって骨の強化対策に取り組んだ結果、健康寿命日本一を誇る長寿県となりました。

「外来で患者さんを診ていても、骨が丈夫な人は、元気ではつらつとした印象の方が多いですね」と話す中村先生。先生が在籍した信州大学のデータでは、10年間に及ぶ骨の強化対策によって、健康寿命は2年半~3年も延びたのだとか。骨の健康を維持するのがどれだけ大切なことなのかがわかります。

そこでまずは下の"骨ケア緊急度チェック"で、ご自身の日常生活を振り返ってみましょう。項目が下にいくほど緊急度が高く、またチェックの数が多いほど早急な骨ケアが必要です。

骨ケアのポイントは定期的な骨密度検査と食事、そして運動です。食事面は、カルシウム、ビタミンDやK、亜鉛などをバランス良く摂ること。運動面では、トラブルが起きやすくなる太ももの骨や背骨へのアプローチが重要で、骨を支える筋肉も同時に鍛えるのがコツだそう。

「食事も運動も積み重ねが大切です。半年ほど続けることで、良い変化が感じられるようになるはず。骨はまだまだ元気にできますので、諦めずに取り組んでみてください」(中村先生)



健康長寿トップクラスを維持する秘訣とは?

「健康上の問題で日常生活が制限されることなく、生活できる期間」とされる健康寿命。長野県はこの健康寿命※が男性81.4歳、女性85.1歳で日本一。女性はなんと6年連続という快挙です。自治体と中村先生がタッグを組んで進めている骨の強化対策とは、小学校の給食メニューの見直しや、妊婦や授乳中の母親への支援、シニア教室の開催など、小さいお子さんから高齢者まで、生涯を通じての骨ケアをサポートしています。「長野県民の健康長寿の秘訣はいろいろありますが、勤勉な県民性というのも1つ。健康対策に真摯に取り組んでいることが長寿につながっています。こうした活動が全国に広がって、日本中のシニアが元気になってくれたらうれしいですね」(中村先生)
出典:公益社団法人 国民健康保険中央会 平均自立期間・平均余命 都道府県一覧(令和3年統計情報分)

※このページで使用している「健康寿命」とは、公益社団法人 国民健康保険中央会が要介護度を元に算出したものを指しています。



長野県民が取り組む3つの骨ケアとは?

長野県民は気軽に調べています!
定期的な骨密度検査

骨密度は、機器を導入している整形外科などの医療機関で測れるので、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。長野県では、高齢者施設や温泉施設などに簡易的な機器が設置され、誰でも気軽に調べられるようになっています。「自分の骨の健康状態を知ることは、骨を強くするための第一歩です。骨の健康度が高い人でも、60歳を過ぎたら年に1度は骨密度検査を受けるといいですね」(中村先生)。

医療機関にある検査機器は、主にX線で腰と脚の付け根を測るDXA法や、手のひらを測るRA法(MD法)。温泉施設などに設置されたかかとで測る機器は、超音波を用いた手軽なタイプ。

毎日食べる県産食材が骨を強くした!?
バランスの良い食事

骨の主成分であるカルシウムの吸収率を高めるには、ビタミンDやビタミンKが不可欠。きのこは紫外線に当たるとビタミンDの量が増えるので、生よりも干したものがおすすめです。また、亜鉛は不足すると骨に影響を与えるといわれます。県特産のきのこやそば、野沢菜には、骨に良い栄養素がたくさん含まれています。

カルシウム

乳製品のほか、魚類や豆類にも含まれる。漬物で有名な野沢菜にも多い。



ビタミンK

代表的な食品は納豆。ひきわり納豆はさらに豊富なのでおすすめ。



ビタミンD

長野県のきのこの生産量は、全国でもトップクラス。干せばますます栄養価がUP。



亜鉛

牡蛎(かき)が代表格。長野県名産のそばにも多く含まれる。牛肉などもおすすめ。





長野県シニアにも好評!
コツコツ骨貯金運動4選

骨を元気に保つには、運動がなにより大切です。中村先生が考案した"かかと落とし"を始めとする骨に刺激を与える運動と、骨を支える筋肉を鍛える運動を一緒に取り入れましょう。どれから始めても良いので、毎日少しずつ、自分のペースで続けてみてください。

かかと落とし
1日 30回✕3セット


かかとを床につけたときに生じる衝撃で、太ももの骨密度を増やします。ひざをやや曲げて前傾姿勢で行うのが、ケガなくできるポイント。



両脚を肩幅より少し広げ、椅子の背を持って立つ。かかとを上げて、ストンと落とす。股関節に衝撃が伝わるのを感じながら行うのがポイント。


おへそ引っ込め体操
1日 30秒✕5〜10回


腹筋の力と、背骨を支える背筋の力を使って、背骨(腰椎)の骨密度をアップさせる運動です。



背筋を伸ばし、ひざを軽く開いて椅子に座る(背もたれには寄りかからない)。呼吸を止めずに、おへそを思いきり引っ込めて30秒キープする。


ゆるスクワット
1日 10回


股関節から足先までの筋肉を鍛える運動です。加齢によって低下する脚の筋肉を鍛えることで、骨の健康を間接的にサポートします。



両脚を肩幅より少し広げ、椅子の背を持って立つ。息を吐きながら4秒で腰を落とし、息を吸いながら4秒で元に戻す。ひざは90度以上曲げず、つま先より前に出さないのがコツ。


ひざもも上げ体操
1日 左右の脚各10回✕3セット



太ももの筋肉を鍛えます。"ゆるスクワット"が難しい人は、ここから始めましょう。


*ご自身の体調を考えて、無理のない範囲で行ってください。「かかと落とし」運動は頭や首に衝撃が伝わりやすい場合があるのでご注意ください。

監修中村 幸男(なかむら ゆきお)先生 長野県の飯田病院整形外科部長・第2人工関節センター長

自治医科大学卒業後、ハーバード大学医学部講師を経て、信州大学医学部整形外科・特任教授として従事。専門はひざ・股関節、骨粗しょう症、関節リウマチ。国内外の骨研究に関する賞を多数受賞。骨ケアで有名な「かかと落とし」の考案者でもある。

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イラスト:鈴木あり

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