ヘルスケア特集 ヘルスケア


UVケアは年齢を問わず誰でも必要なケアです

紫外線は目に見えず、赤外線のように熱として感じることもできないため、「紫外線を浴びている」ことをつい忘れがちです。でも、紫外線のダメージは、少しずつ、負債のように蓄積していきます。
UVケアとは、日やけ対策だけではありません。紫外線を浴び過ぎると、肌トラブルの原因になるだけでなく、皮膚や目の健康を脅かす危険性があるのです。
とはいえ、紫外線はカルシウム代謝に欠かせないビタミンDの生成を行うというメリットも。生成に必要なUV-Bは1日15分程度の散歩で得られるので、「過度に浴びない」ように気をつけ、紫外線の恩恵も忘れないようにしましょう。
UVインデックス数値の高い日中は屋外活動を避け、帽子や衣服、日やけ止めの活用で肌・目・髪を守ることが大切。賢い紫外線対策で夏をしっかり満喫しましょう。



夏のお出かけでご用心
こんなシーンでうっかり紫外線を浴びていませんか?

標高が高くなるほど紫外線は強くなります。

高原の空気は涼しく感じられ、肌を刺すような夏の日差しもやわらぐような気がします。ところが、標高が高いほど紫外線量は多くなり、高度が300m上がるごとに約4%増えるといわれています。日やけは紫外線を浴びた皮膚が反応を起こすために生じるもので、暑さとは関係ありません。高原に行くなら平地よりも念入りな紫外線対策が必要です。


夏の海辺では、日陰でも日なたの55〜75%ほどの紫外線が降り注ぎます。

日陰にいれば、日射量は約90%防ぐことができますが、紫外線は散乱する性質が強いため、50%しかカットされません。さらに海辺の場合、砂浜では5〜25%、水面では6〜9%ほど反射。日陰といえども、夏の海辺では紫外線対策を万全に行いましょう。夏の正午前後2〜3時間は、海以外でも長時間屋外で過ごすのは避けた方がベターです。


80〜90%の紫外線が薄い雲を通過。また、UV-Aは窓ガラスを透過します。

紫外線は、薄曇りでも快晴の日の80~90%、厚い雲の曇天時は約60%、雨天時は約30%が雲を通過して地上に届きます。地上に届いた紫外線のうち、波長の長いUV-Aは一般的な窓ガラスを透過するため、薄曇りの日の屋内であっても、油断は禁物です。さらに、紫外線は正午頃が最も強いため、ランチタイムは注意が必要な時間帯といえます。


紫外線について知って備えよう
夏の装いウソ? ホント?

「紫外線対策は、これで万全」と思っている方もご注目。常識だと思っていたあのことやこのこと、実は少しズレている対策法だったかもしれません。紫外線対策の知識を更新しましょう。

黒い日傘の方が圧倒的に紫外線を防ぐことができる

日差しは日傘でほとんど防げるため、熱中症対策には効果的。ただし、UV-Bの防御率は約50%。黒色でも白色でも、UV-Bの防御効果はほとんど同じなため、ともにほかの対策との併用が大事です。

国立環境研究所『学んで実践! 太陽紫外線と上手につきあう方法』(丸善出版、2015年)P76をもとに作図・作成



帽子はマストアイテム。どんな形でも良いので外出時は必ずかぶる

帽子は、つばの形状と幅が大事です。つばが7cm以上なら60%以上の紫外線が防げます。全周つばの帽子なら、さらに5%上乗せも。また、首もとにショールを巻くなどして、散乱光も防ぎましょう。

国立環境研究所『学んで実践! 太陽紫外線と上手につきあう方法』(丸善出版、2015年)P70をもとに作図・作成



日やけ止めを塗れば長時間肌を露出して外出してもOK

日やけ止めは、紫外線ケアの最後の砦です。太陽に長時間当たるためのアイテムではなく、紫外線を浴びることが避けられないときに、日やけ防止効果を高めるために使用します。日やけ止めを塗っていても、肌の露出は避けましょう。



つばの広い帽子をかぶればサングラスはしなくてもOK

帽子では、散乱光を防げません。強い紫外線は、目の水晶体や網膜にダメージを与えるため、つばの広い帽子とUVカット加工を施したサングラスのダブル効果で、目をしっかり守りましょう。

『紫外線環境保健マニュアル2020』(環境省)P32をもとに作図・作成


知っているようで知らなかった
紫外線の基礎知識

紫外線の性質は?

紫外線にはUV-A、UV-B、UV-Cの3種類があります。UV-Cはオゾン層で完全に吸収されて地表には届かないので問題ありません。UV-Bはほとんどオゾン層に遮られるものの、皮膚や目に有害なため防御は必須。UV-Aはそれほど有害ではありませんが、透過性が高く、地表に届く量も多いので要注意です。



実はこんなに浴びている!? 紫外線量の実情

EEAP2002・Q&A、一部改変



紫外線対策の指標になる「UVインデックス」とは?

紫外線の人体への影響度合いを示す指標。紫外線の強さは時刻や季節、天候やオゾン量によって変わるため、「現在の紫外線はどの程度なのか」を知る目安として役立ちます。毎日のUVインデックスの推移は気象庁のサイトでチェックできます。

国立環境研究所『学んで実践! 太陽紫外線と上手につきあう方法』(丸善出版、2015年)P87をもとに作図・作成



7月は午前9:00から紫外線対策が必要に

紫外線は太陽が頭上にくるほど強く、時季でいえば日本の場合6〜8月、一日の中では正午頃が最も強い時間帯です。影が自分の身長よりも短いときは特に気をつけましょう。

2017年7月の平均度数。 気象庁「時別UVインデックス(観測値)の毎日の推移グラフ」をもとに作成

参考書籍・資料:佐々木政子編著、竹下秀・国立環境研究所 地球環境研究センター編『学んで実践! 太陽紫外線と上手につきあう方法』(丸善出版)2015、111P/佐々木政子著『絵とデータで読む太陽紫外線ー太陽と賢く仲良くつきあう法ー』(国立環境研究所 地球環境研究センター)2006/『紫外線環境保健マニュアル2020』(環境省)2020


イラスト:NATSU

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