ヘルスケア特集 ヘルスケア

食べすぎたものがすぐ脂肪になるわけではない

イベントが続く年末年始、外食やホームパーティなどで普段と違うごちそうが並び、つい食べすぎてしまうことはありませんか? 翌朝、体重計に乗ってびっくり。「1kgも増えている!」と愕然とすることもあるでしょう。でも焦らなくて大丈夫。食べたものが胃や腸で消化され、便として排出されるまでには24時間から48時間かかるため、増加した1kgは消化しきれず肝臓などに留まっている状態なのです。翌朝の体重増加=太ったわけではありません。ただ、ここで安心して、普段の食事に戻ると、48時間たった頃から過剰分が体脂肪として蓄えられてしまいます。そうならないためには、どうしたらいいか。そのカギは食べすぎた翌日から翌々日までの食生活にあります。
「食べすぎたのだから、その分食事を抜けばいい」という考えは間違い。体が「栄養分が来ないから蓄えておかなきゃ」と飢餓状態を誤って察知し、かえって太りやすくなってしまいます。下記のやってしまいがちなNG行動に注意して、正しい食生活を送り、体を元の状態にリセットしましょう。

こんなことやっていませんか?
ごちそうシーズンのNG行動



よかれと思ってやっていたことが、実は裏目に...。ごちそう前後の行動や節制を見直しましょう。

× 当日のランチや翌日の朝食を抜く
体が飢餓状態になって、より脂肪を溜めやすい体に!

× 食後に運動してカロリー消費
30分のジョギングで消費は200kcal程度。運動に慣れていない人はかえって体に負担が掛かるので注意。

× つまみは控えてお酒を飲む
お酒にもカロリーがあるので注意。また脂肪よりアルコールの代謝が優先されてしまうため、脂肪がつきやすくなる。

× 連日の宴会・食事会
リセットが追いつかず、カロリーオーバー! 連続は2日までに留めて。



3日間で帳尻を合わせ体脂肪を増やさないリセット食

食べすぎて消化しきれず体内に残っているものが体脂肪に変わる前に、代謝や排出を促して調整する方法が「リセット食」です。タイムリミットは食後48時間。この間の食事量を調整し、当日を入れた3日間の平均値が通常と同じになるようにします。
ポイントは量と栄養素です。食事の回数は減らさず、朝昼晩の3食を控えめにしましょう。栄養素は「消化促進のために食物繊維をたくさん摂った方が良い」と考えがちですが、食べすぎた後の胃腸はフル稼働で疲れ気味なので、翌日の夕ご飯あたりから意識して摂っていきます。翌日の朝は、起床時から水分をしっかり摂って消化の良いもので胃を休め、落ち着いたら代謝を助けるビタミンB群や塩分排出を促すカリウムが摂れる食事にしていきましょう。


年末年始のリセット食6つのルール

1. 48時間以内にリセットする

摂りすぎた脂質や糖質は体内に蓄えられ、48時間たっても消費されない場合、体脂肪に変わります。48時間以内に代謝や消費、排出を促し、摂取カロリーを調整しましょう。

2. 朝食は必ず食べる

起床後は白湯や常温の水を飲んで体内時計をON。主食を少なめにした朝食か、胃に疲れを感じるときはスムージーや野菜スープなど口当たりの良いもので内臓を動かします。

3. 3食を少なめに食べる

食事を抜くと体が飢餓状態を察知して脂肪を溜めやすくなるため、3食はきちんと摂ること。ただし、全体量を少なめにして3日間で摂取カロリーを平均値に戻します。

4. 水分を摂る

アルコールを飲むと気づかないうちに脱水状態になるので、1日を通してこまめに水分補給を。カフェインを含むものは利尿作用があるため、水や麦茶、炭酸水がおすすめ。

5. 脂質・糖質は控えめに

外食で多くなりがちなのが脂質と糖質です。翌日は脂っこいものや甘いものは控えましょう。ご飯やめん類などの主食は、いつもの半分や3分の2程度の量に。

6. ビタミンB1、B2、B6、カリウムを摂る

糖質、脂質、たんぱく質の代謝にかかわるビタミンB1、B2、B6、塩分の排出を促すカリウムを積極的に摂って、エネルギーを消費し、塩分もリセットしましょう。

覚えておくと便利!
リセット食におすすめの食材

ビタミンB1の多い食材
豚肉、鮭、大豆、そら豆、アスパラガス など

ビタミンB2の多い食材
レバー類、さば、海苔、アーモンド、乳製品、納豆 など

ビタミンB6の多い食材
鶏ささみ、まぐろ赤身、かつお、にんにく、バナナ など

カリウムの多い食材
野菜類、いも類、豆類、果物、海藻類 など



会食当日の食べ方のコツと
48時間リセット食 <実践編>

ごちそうを食べる日は食べる順番やメニュー選びに気をつけて。翌日からは代謝や排出にかかわる食材をとり入れたメニューでリセットしましょう。

会食当日の食べ方のコツ

当日の食事の摂り方にもコツがあります。シチュエーション別にポイントを押さえて楽しみましょう。

主菜で脂質、スイーツで糖質が多くなりがち。副菜にサラダなど野菜類を添えて主食は控えめに。

野菜→肉や魚→主食の順に食べて血糖値の上昇を緩やかに。つまみは糖質やアルコール代謝にかかわる豆類を。

甘辛い煮ものは糖質が多く塩分が高め。お雑煮に野菜をたくさん入れてビタミンやカリウムを補給して。

朝昼晩のおすすめメニュー

食べすぎた後、48時間以内は下のメニューを参考にリセット食を実践しましょう。いずれも量は控えめに。

 胃に負担の掛からないメニューで体内時計をON
バナナスムージー、青汁、フルーツのヨーグルト掛け、ねぎ入り豚汁、野菜たっぷりスープ、だし巻き卵、納豆ごはん


 低脂質の肉や魚、卵と野菜を組み合わせてビタミンB群とカリウムをIN
ささみと青菜のうどん、アスパラの肉巻き、鮭ときのこのオムレツ、野菜のぬか漬け、サラダにアーモンドをトッピング


 昼が魚なら肉など、たんぱく質食材を変えて野菜を組み合わせる
豚のしょうが焼き、ささみのガーリックソテー、鮭の南蛮漬け、かつおの刺身、さばの塩焼き、主食は玄米にしても

外食や行事食は野菜が少なくなりがち。意識して摂り、しっかり噛むことで満足感を得られて食べすぎも防げます。鍋料理は野菜が豊富でヘルシーそうですが、肉や魚の脂が溶け込んだスープを吸ってカロリーが増すこともあるので気をつけて。食べ方にメリハリをつけて、イベントも大いに楽しみましょう。


監修新谷 友里江(にいや ゆりえ)先生 料理家、管理栄養士

雑誌・書籍を中心に、レシピ開発、メニュー提案などのフードコーディネートやフードスタイリングで幅広く活動中。近著に『小学生のお料理ブック2 SUPER! ぜ~んぶひとりでできちゃう!』(家の光協会)、『10分でおいしく作る!朝ラク弁当』(池田書店)など。


イラスト:ito aya

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