
春のなんとなく不調を整える免疫ケア
「なんだか疲れが取れにくい」「気持ちが落ち込みやすい気がする」……、春に感じる不調は、免疫力の低下によるものかもしれません。内科医の小林暁子先生に、免疫力アップの秘訣を聞きました。
こんな不調ありませんか?
小林先生も実践!
春の"なんとなく"不調 カギは「免疫力」にあり
草木が芽吹き出す春は、始まりの季節である一方で、一年のうちで朝晩の寒暖差がいちばん大きく、心身に不調が出やすい時期でもあります。さらに新学期を迎える家族がいたり、自身も新年度を迎えたりするなど、生活面でも慌ただしく、不調を感じていてもなかなか休養が取りにくい人も多いと感じます。
風邪をひきやすい人と、ひきにくい人がいるように、春先など季節の変わり目に不調が出やすい人と出にくい人がいます。その違いはズバリ、「免疫力」。免疫とは、外敵から体を守る、いわば「防御システム」のこと。私たちの体内では多種多様な免疫細胞がそれぞれに役割を持ち、体を防御してくれていますが、その力のことを「免疫力」といいます。
免疫細胞のおよそ70%は、「腸」に集中していることがわかっています。免疫力は腸内環境の質に左右されるといっても過言ではありません。
免疫力は、生活習慣の変化だけでなく、加齢によっても自然と低くなっていきます。また、日頃から万全な体調管理を心がけていても、突然のストレスや季節の変わり目などの影響で、自律神経のバランスが乱れがちに。自律神経のバランスがくずれると、免疫力が低下することもあります。左ページでご紹介する対策をはじめ、免疫力を高めるさまざまな方法を日常生活に取り入れ、春の不調を整えていきましょう。
春の不調を引き起こす
さまざまな変化
● 寒暖差など生活環境の変化
● 新学期や新年度など社会環境の変化
● 突然のストレスなどによる精神面の変化
春の免疫力を高める4つの習慣
1.「食べる」
私たちが食べたものの多くは、腸で栄養が取り込まれます。その腸内の環境を良くするためには、やはり「食事」が重要なのです。
<ある日の小林先生の朝食>
・具だくさん炊き込みご飯のおにぎり
・温野菜サラダ
・ヨーグルトとバナナ
・常温の水
★ 腸内環境改善のために食物繊維を!
根菜類や海藻類、豆類やきのこ類、フルーツなど、偏らずにさまざまな食材から食物繊維を摂取するようにしましょう。
★ よく噛む
私は幼い頃、祖母から「よく噛んで食べなさい」と言われて育ちました。現代の人はスマートフォンなどを見ながらの「ながら食べ」をしがちでご飯をあまり噛んで食べていません。意識して一口につき30回噛むのがベスト。
2.「リラックスする」
リラックスして自律神経が整うと免疫力UPにつながります。
★ ぬるめのお湯にゆっくりつかる
入浴はリラックスに最適です。ぬるめのお湯に10〜15分ほど入る半身浴が良いでしょう。その際はコップ1杯の水を浴室に持ち込み、飲みながら入浴するのがおすすめです。
★ 睡眠前はスマートフォンをオフ
テレビやスマートフォンは避けリラックスを。日中パソコン作業をした日は軽いストレッチも効果的。
3.「体を動かす」
運動以外でもOK! 体を動かす習慣を。
★ 家事も立派な運動に
拭き掃除や洗濯などの家事も、全身を動かす立派な運動になります。
★ 10分だけでも歩く
30分ほどのウォーキングがおすすめですが、難しい人は10分でも構いません。
4.「頭の中を整理する」
ストレスでも免疫力は低下します。思考の整理でモヤモヤを軽減!
★ 心のモヤモヤを紙に書き出す
最近はスマートフォンにメモをしがちですが、おすすめはモヤモヤを「紙に書き出す」こと。私も書いて、頭をすっきりさせています。
★ 体調も書いて自分カルテに
体の不調も書き出しておくと「この症状は2週間も続いているな」などと体調を把握できるようになります。「自分カルテ」としてぜひ始めてみましょう。
DOCTOR'S ADVICE
免疫力アップの方法は一つだけではありません。何より大切なのは「力を抜いて楽しむ」こと。「こんな歳の重ね方をしたいな」など数十年後の将来の自分を想像しながら、楽しく取り入れていきましょう。
イラスト:イトガマユミ