ヘルスケア特集 ヘルスケア

素材の基礎研究の途中で、
偶然発見した奇跡の瞬間





気が遠くなるほど膨大な実験に
一人で挑んだ

ファンケル総合研究所に着任以来、加齢と脳の関係について研究してきた渡邉知倫研究員。脳研究につながる成分の発見は、彼の使命とも呼べるものでした。

研究所の食品素材ライブラリーには、実に4000種類以上の候補成分が存在します。

「この中から何か見つかるかもと思うと胸が高鳴りましたが、数が膨大なので、外部の大学とも連携しつつ、1回の実験で多くの成分が評価できるように工夫しました」

スピーディに結果を得るために1日数十枚のプレートを手作業で評価していたという渡邉研究員。

「当初は一人で作業していたので、腱鞘炎(けんしょうえん)になりかけました(笑)」


研究者の勘が働いた!
キンミズヒキの大発見

長年の経験を頼りに、地道な実験を重ねてきた渡邉研究員。ついにたどり着いたのが〝キンミズヒキ〟に含まれるアグリモールという成分でした。

「キンミズヒキは脳機能へのアプローチ以外にも、いろいろな作用がありそうだという感触のあった植物ですが、ピンときたのは、研究者の勘ですかね」

世界が注目する加齢研究の、新しい扉を開いたキンミズヒキの大発見。これは、研究に真摯に向き合ってきた彼だからこそ訪れた"セレンディピティ"(幸運な偶然)だったのかもしれません。

ファンケルの加齢研究もまた一歩前進し、渡邉研究員が一人でスタートさせたこのプロジェクトは、今や専門スタッフ数名による"チーム・キンミズヒキ"として新展開を迎えています。

「キンミズヒキの健康機能は、きっとお役に立てると思います。今後も引き続きチーム一丸となって、この期待できる素材の研究を続けてまいります」

memo

日本を含む東アジアなどに生育する多年草。茎の上部に伸びた花軸に黄色い小さな花をたくさんつける様子から、キンミズヒキと呼ばれています。昔から健康に良い食材として使われてきた身近な天然素材ですが、今回、ファンケル総合研究所は、この植物に多く含まれているアグリモールという成分に、新たな機能を発見しました。




渡邉 知倫(わたなべ ともみち) ファンケル総合研究所基盤技術研究センター


イラスト:内山 弘隆

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