ヘルスケア特集 ヘルスケア

1. 知りたかった健康診断のあれこれ、すっきり解決!

健康に自信があっても、
健康診断は受けた方が良いの?

健康診断や人間ドックは、「自覚症状がない人の不調や病気の兆しを見つける」ために行うもの。現時点では自覚症状がなくても、潜在的な病気が隠れているかもしれません。健康に自信があるあなたこそ、日頃から予防のために健康診断を受けてほしいと思います。


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健康診断でわかる
「健康」って何?

「健康」というのは病気がないだけではなく、心身ともにバランスがとれた状態のこと。健康診断では、現在の体の状態や病気のリスクの「見える化」が目的です。しかし、健康診断で異常がないから「健康」とはいい切れません。例えば、どんなに赤信号を守っても、突然車が飛び出すリスクを完全には排除できないのと同じです。もちろん、受診すれば病気を発見しやすくなる可能性は十分あります。健康診断はあくまで健康管理の一環。受診するだけで終わらせず、生活習慣の改善と合わせて考えることが大事なのです


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健康診断は
毎年受けないとだめですか?

昨年の自分と、体がどう変化したかをチェックするためにも、およそ年に1回が一つの目安。ぜひ習慣化させましょう。


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健康診断を受けると、
どんなメリットがあるの?

健康診断の結果をもとに生活習慣病のリスクもチェックすることで、早めに治療や予防ができ、健康を守る第一歩になります。普段の生活習慣や食事、運動の改善ポイントを把握して正しい対策をとれば、将来の医療費も軽減されて、健康をキープしやすくなりますよ。

健康診断は、不調や病気を早めに見つける絶好のチャンス! 安心して元気な毎日を長く楽しむためにも、定期的な健康診断をぜひ受けましょう!


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受診前
朝食を抜くのはなぜ?

血糖値や中性脂肪など「食事の影響を受けやすい値」に影響する可能性があるためです。朝食を抜くよう指示がある場合はそれに従い、万が一朝食をとってしまったら、健康診断の施設へご相談くださいね。


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健康診断の1ヵ月前から
食事改善や運動をすると
検査結果は良くなる?

一時的な生活改善による数値の変動には、あまり意味はありません。健康診断は、「普段の生活習慣」を反映した検査結果を得ることが大切なのです。ただし、その習慣をずっと続けられるなら、これを機に生活改善するのは良いことです。


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尿検査採取はなぜ
起床後が望ましいの?

それは、腎臓の機能をより正確に評価する尿蛋白(にょうたんぱく)検査に影響を及ぼすため。私たちは走ったり激しい運動をしたりすると、生理的な現象として、尿にたんぱく質が混ざります。その影響を除くために、寝ている間につくられた尿を調べる必要があるのです。


2. 年代別のおすすめ検査項目

40歳以上の人 〜がん検診〜

基本的な健康診断項目に加え、40歳以上の人は「がん検診」の受診をおすすめします。下記は、「早期発見・早期治療が可能ながん」として認識されています。

胃がん

 必要な検査  ピロリ菌検査
 検査の頻度  一生に一度
日本人の約半数が持っているといわれるピロリ菌。胃がんのリスクはピロリ菌感染と関係があると考えられています。40歳以上、または胃がんの家族歴がある人は、検査を受けてみるのも一つの選択肢。ピロリ菌が見つかっても、1週間程度の薬の服用で除菌が期待できます。気になる人は、胃カメラ(内視鏡検査)もぜひ。


大腸がん

 必要な検査  検便(便潜血検査)
 検査の頻度  年に1回
便潜血検査は、便を検査専用のスティックで採取するだけと手軽なので、40歳以上の方はぜひ受診を。異常が見つかった場合は、内視鏡検査でポリープの有無を確認します。「異常なし」の確認も、大切な健康習慣の一つ。定期的なチェックが、未来の自分を守ることにつながります。


子宮頸がん

 必要な検査  子宮頸部の細胞診および内診
 検査の頻度  2年に1回
子宮頸がんは初期段階では症状が少なく、進行するまで気づきにくい病気です。20歳以上の女性に検査が推奨されていますが、40歳以上でも定期的に受診することで、初期の異常を発見し、適切な治療でがんを防ぐことができます。


乳がん

 必要な検査  視診、触診およびマンモグラフィー
 検査の頻度  2年に1回
40歳以上は乳がんのリスクが高まります。予防のためにマンモグラフィーによる定期検査が重要です。早期発見により治療の選択肢が広がり、生存率の向上につながります。


家族歴がある人

家族にがん、脳卒中、心臓病の人がいる場合は、健康診断をしっかり活用しましょう。脳卒中のリスクには血圧・血糖・脂質の管理が重要。心臓病は心電図検査が有効です。がんについては上の検診内容をご参照ください。


50歳以上の⼈

 必要な検査  骨密度検査
 検査の頻度  年に1回
骨が弱くなりやすい閉経後の女性や高齢者、カルシウム不足の人は骨密度検査を受けると安心。骨の強度を評価し、骨粗しょう症リスクを判断する検査で、主にX線や超音波で腰椎や大腿骨の骨密度を測定します。


65歳以上の⼈

 必要な検査  フレイル・サルコペニア検診
 検査の頻度  年に1回
65歳以上で、特に体力や筋力の低下を感じる人が対象です。健康診断の一環として受診しても良いでしょう。自宅でできる簡易的なチェック方法もあるので、日頃から行っておくのもおすすめです。

フレイル・サルコペニア検診とは?

問診や身体測定をはじめ、筋力の目安である握力や歩行速度などの測定を行います。
*施設により検診の呼称は異なる場合があります。


自宅でできる! サルコペニアチェック

筋肉量が十分であるとサルコペニアの可能性は低く、筋肉量が低下していると可能性は高くなります。

片足立ちテスト

高さ40cm程度の椅子に浅く座ります。両腕は胸の前で組むか、体前に軽く伸ばし、片足を浮かせた状態で、反対の足だけで立ち上がります。

判定の目安
片足でスムーズに立てる グラつくがなんとか立てる 立ち上がれない・両足立ちが必要


指輪っかテスト

両手の親指と人さし指で輪っか(OKサインのような形)をつくります。その輪っかで、片方のふくらはぎのいちばん太い部分を軽く囲むようにします。

判定の目安
輪っかよりふくらはぎが太い 輪っかとふくらはぎの太さがちょうどぴったり 輪っかよりふくらはぎが細い


可能性が高かった人は、かかりつけ医などに相談をしてみましょう。


健康診断は未来への投資!
活かしてこそ価値がある

健康診断は、自分の健康状態を把握する「気づきのチャンス」です。その結果をもとに生活習慣を見直すことが、将来の病気を予防する助けとなります。健康診断には、自費で受けられるオプション検査や、それらを網羅した人間ドックもあります。年齢や症状、家族歴によって必要な検査は異なりますが、特にがん検診は40歳を過ぎたら一度受診するのがおすすめです。

ただし、検査の数を増やせば健康寿命が延びるわけではありません。自分の体に必要な検査を選ぶことが大切です。

さらに、健康診断や人間ドックは「受けるだけ」では意味がありません。大切なのは、結果をもとに適切な対策を講じ、生活習慣を整えること。禁煙をする、過度な飲酒を控える、適切な食生活や運動を続けるなど、日頃の積み重ねが未来の健康につながります。

健康診断を「健康づくりの第一歩」に! ぜひ受診し、日々の生活に役立ててください。

まとめ

□ 自分に必要な検査を見極めて受診!
□ 検査結果をしっかり確認し、生活改善に活かす!
□ 健康診断を健康づくりの第一歩に!

監修大竹 真一郎(おおたけ しんいちろう)先生 総合内科専門医、消化器病専門医

いしかわ内科 内視鏡クリニック常勤医師。テレビ「駆け込みドクター! 運命を変える健康診断」(TBS系)など多数出演。


イラスト:ヤギワタル

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