
今年こそ脱「梅雨ダル」宣言
梅雨になると、だるさや関節痛、気分の重さなど、多くの不調を実感することがありませんか? そんな梅雨ダル現象は、この時季特有の気圧や湿度に原因があることがわかってきました。メカニズムや予防・対策法などについて、医師の正木初美先生に解説していただきます。
\その不調や生活習慣、見逃さないで!/
梅雨ダルチェックリスト
*紫色の文字のチェックリストは、梅雨入り前後と比べて、梅雨シーズンにお悩みが生じたり、より感じやすくなる場合にチェックをつけてください。
☐倦怠感やだるさを感じる
☐食欲が下がるなど胃腸の不調を感じる
☐むくみがある
☐めまいやふらつきを感じる
☐ひざなどの関節痛がつらい
☐頭痛を感じる
☐寝付きが悪い、夜中に起きてしまう
☐更年期特有の不調やPMSの不調をいつもより感じる
☐気分が落ち込みやすい
☐雨が降る日は外出を避けている
☐運動の習慣がない
☐入浴はシャワーでサッとすませることが多い
梅雨入りしてからのお悩みが1つでも当てはまれば、梅雨ダルの可能性があります。下の対策マニュアルをチェックしましょう。
梅雨は、不調のお悩みを感じる方が多い時季です
梅雨は、長く続く低気圧や湿度の影響、日照時間の減少などにより、心身が乱れやすくなる時季です。頭痛やめまい、倦怠感といったお悩みは、主に自律神経のバランスがくずれることと関係しています。男性に比べて女性の方が梅雨の不調を感じやすいのは、女性ホルモンの働きが自律神経に影響するためです。私のクリニックに来院される患者様は、40〜50代では更年期症状、60歳以上では関節痛の悪化などを訴える方が多い傾向にあります。
梅雨ダルが起きる原因は低気圧と湿度
低気圧が続くと、内耳にある気圧の変化を感じるセンサーが脳に刺激を伝え、自律神経が反応。女性ホルモンの乱れや副交感神経の過剰な働きにより、気分の落ち込みやだるさ、眠気を引き起こします。また、湿度が高いと体に余分な水分が溜まり、むくみや関節痛、胃腸の不調につながります。脳や内耳にも影響を与え、頭痛やめまいの原因にも。
\梅雨とひざ関節の関係性/
ひざ関節痛のお悩みも梅雨ダル現象
低気圧により、関節を包む関節包(ほう)や周囲の軟部組織がわずかに膨張することで、関節周囲の痛覚を伝える神経を刺激し、痛みを感じることがあります。さらに自律神経の乱れで血流が滞り、関節周辺の筋肉が硬化、ますます痛みを引き起こす悪循環に。また、東洋医学では、体内に水分が滞って不調が起こる状態を「水滞(すいたい)」「水毒(すいどく)」と呼びます。長雨で湿気が多くなると、ひざのむくみや関節への負担が生じます。
脱「梅雨ダル」マニュアル
梅雨の時季は、「湿気を溜めない」「自律神経を整える」ことが肝心。取り入れやすいセルフケアを教えていただきました。
・基本編・
除湿機などを使い、部屋の湿度を50~60%に保つのが基本
家にいることが多い梅雨時季は、エアコンや除湿機、サーキュレーターなどを活用し、除湿・換気をこまめに行うと良いでしょう。湿度を50~60%に保つようにすると、不快な湿気や蒸し暑さが改善され、快適に過ごせます。
・アウターケア編・
ストレッチ・ツボ押しで自律神経・水分代謝の乱れを整える
ストレッチで体がほぐれて血流が良くなると、自律神経のバランスが整います。また、ツボを押したりあたためることで、体に溜まった水分や、血のめぐりがスムーズに。
首まわりストレッチ
両肩を上げて、しばらくキープしたらストンと肩を落として脱力。これを数回繰り返します。首まわりをほぐすことで自律神経の乱れにアプローチ。
股関節ストレッチ
①あおむけになって、両ひざを立てます
②両ひざをつけたまま、ゆっくりと左右交互に倒して、股関節の外側を伸ばします。骨盤まわりの血流を促進し、むくみやだるさの解消に。4~5回程度繰り返す。
簡単にできるツボ押し
親指と人さし指が交わる手の甲側の、圧痛を感じる部分を10秒ほど押さえます。痛みや不調を改善する重要なツボで、自律神経の調整にも役立つとされています。
足首の内くるぶしの頂点から指4本分上の場所を、指で押して刺激します。女性のお悩みに効果の高いツボとされ、血行を促進し、冷えやむくみの改善に役立ちます。
・インナーケア編・
水分代謝アップが期待できる食品を食事に取り入れる
水分代謝を調整する作用のある小豆やハトムギ、とうもろこしのひげのお茶が効果的です。血行を促すしょうがやねぎなどもおすすめ。また、バナナやアボカドなどに豊富なカリウムは、体内の余分な塩分や水分を排出する働きがあります。
好きな香りのアロマオイルでリラックス
メンタル不調をやわらげる作用が期待できるアロマオイルは、自分が心地よいと感じる香りを使うのが効果的です。ハンカチやティッシュに1、2滴しみ込ませて嗅いだり、湯舟に垂らしてアロマバスにするのもおすすめ。
不調に合わせたおすすめの香りの例
*上記は一般的にいわれている不調に合わせた香りの一例。正木先生は、香りには好みがあるので、まずは自身の好きな香りを取り入れることをおすすめしています。
適度な運動は、自律神経のバランスを整え、血流の改善にも役立ちます。外出がおっくうになり運動量も減ってしまう梅雨時季におすすめしたいのがラジオ体操。真剣にやれば全身運動になり、血行も良くなって、気分もリフレッシュできます。
正木先生が脱「梅雨ダル」のために続けている対策
忙しい日々を送りながらも、いきいきと輝く笑顔が素敵な正木先生。「日中は活動的に、夜はリラックス」がモットーの、梅雨ダル知らずの秘訣を伺いました。
よくいわれていることですが、規則正しい生活をすることが基本の対策です
早寝早起きして3食きちんと食べるなど、規則正しい生活をすることが、体を整えるいちばんの近道。私が毎日続けている習慣は、目覚めの白湯を飲むこと。夜は、夏でもぬるめのお風呂にゆっくりつかると、寝付きも良くなりおすすめです。
運動習慣は大事です。梅雨は雨の日でも部屋でできるラジオ体操がおすすめ
適度な運動は、自律神経のバランスを整え、血流の改善にも役立ちます。外出がおっくうになり運動量も減ってしまう梅雨時季におすすめしたいのがラジオ体操。真剣にやれば全身運動になり、血行も良くなって、気分もリフレッシュできます。
Doctor's message
梅雨時季は「ゆっくり休む時季」ととらえ、無理をせず穏やかに過ごすことが大切です。不調を感じたときは、香りや食事、ストレッチなど、自分に合ったリラックス法を試して、梅雨とうまく付き合っていきましょう。
イラスト:curumi