
■ 夏バテと熱中症の違いは?
夏バテと熱中症は、原因や症状は異なりますが、まったく無関係ではありません。夏バテによる体調不良が、熱中症を引き起こす要因になることも。厳しい夏を乗り切るために、まずは夏バテと熱中症の特徴を確認しましょう。
夏バテ
高温多湿な時季に起こる体調不良の総称
・主な原因 :自律神経の乱れ、睡眠障害
・脱水症状 :あっても軽い
・栄養状態 :低下状態
・主な症状 :疲労感、倦怠感、食欲不振
・症状の経過:徐々に
・主な予防策:質の良い睡眠、栄養補給
*参考:全国健康保険協会 8月 夏バテしない生活習慣を!
熱中症
高温多湿な環境に長時間いて、体内に熱がこもった状態
高齢者や子ども、障害のある方は特に注意が必要です
・主な原因 :体温調節機能の乱れ、水分・塩分バランスの乱れ
・脱水症状 :あり
・栄養状態 :低下状態
・主な症状 :めまい、吐き気、頭痛、けいれん
・症状の経過:一気に
・主な予防策:水分補給、体を冷やす、通気性、吸湿性、速乾性の良い衣服を着用する
*参考:環境省熱中症予防情報サイト/公益社団法人 全日本病院協会 みんなの医療ガイド
熱中症予防のためにも、夏バテにならないための体づくりが大切です。
■ 体の中から元気に! 食事での夏バテ予防Q&A
夏バテ予防に欠かせないのが、食事での対策。そこで藤井先生に、夏の食習慣に関する疑問に答えていただきました。
Q. なぜ夏バテ予防に、食事での対策が欠かせないのでしょうか?
A. 栄養不足が、夏バテの原因にもなるからです。夏こそ、栄養バランスの良い食事を。
食事がおろそかになると体力も落ちるので、しっかりと食べることと栄養バランスが大切です。3食のうち1食だけでも栄養バランスにこだわり、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの摂取を意識しましょう。例えば、外食ではサラダや海藻類を、コンビニなら納豆、めかぶ、サラダチキンをプラスすると、不足しがちな栄養素を補えますよ。
Q. 40代以降の女性が、特に気をつけるべきことはありますか?
A. 食材の選び方が大切です。消化しやすい食材や、栄養価の高い食材を選びましょう。
夏バテ予防にはたんぱく源となる肉類が必要ですが、加齢とともに消化吸収力が衰えるので、ステーキ肉より薄切り肉やひき肉が◎。胃腸に負担を掛けずにたんぱく質をしっかり摂ることができます。少量でも十分な栄養が摂れる高たんぱく質・低脂肪の赤身肉がおすすめです。
■ 夏の活力を引き出す3つの栄養素
夏バテ予防には、疲労回復が期待できる栄養素を摂ると効果的です。積極的に食事に取り入れましょう。
クエン酸
食材に含まれる酸味成分で、疲労物質の乳酸の分解排出を助ける働きがあります。また、酸味のあるものを食べると唾液の分泌が活発になり、唾液に含まれるアミラーゼという酵素がでんぷんの分解を促進します。
多く含む食材:レモン、かぼす、梅干しなど
アリシン
玉ねぎやニンニクなどの独特なにおいのもとになる成分。エネルギー代謝に寄与しますが、熱に弱いので生で食べるか、加熱するなら短時間に留めましょう。細胞を壊すとアリシンが発生するので、食材を刻む、潰す、すりおろすなどして使うのがポイントです。
多く含む食材:玉ねぎ、長ねぎ、ニンニク、エシャロットなど
たんぱく質
体力を維持するには、きちんとたんぱく質を摂ることが大切です。たんぱく質には、動物性たんぱく質と、植物性たんぱく質がありますが、血中のたんぱく質濃度を長く維持するには、ダブルで摂るのが効果的。その割合は1:1が良いとされています。
多く含む食材:肉・魚類、豆類、大豆製品など
■ 藤井恵先生直伝! 夏の活力 引き出しレシピ
疲労回復に効果的な食材が、簡単に摂れるレシピをご紹介します。
<レシピ1>
玉ねぎたっぷり 食べる万能しょうゆだれ
\冷蔵庫で5〜6日日もちします/
暑さに効く栄養素が、一気に摂れる万能しょうゆだれ。レシピのバリエーションが広がります!
材料(つくりやすい分量)
玉ねぎ 1個(粗いみじん切り)
ニンニク 2かけ(みじん切り)
酢 1/2カップ
しょうゆ 1/2カップ
ハチミツ 大さじ2
すり白胡麻 大さじ2
ごま油 大さじ1
*お好みで粗いみじん切りにした青じそ10枚、みょうが3本を加えてもOK
つくり方 | |
1. | 粗いみじん切りにした玉ねぎを10分以上酢に漬ける。酢に玉ねぎの香りが移り、辛味が抑えられる。 |
2. | すべての材料を混ぜる。 |
夏バテ予防 Point
生の玉ねぎとニンニクで、体内のエネルギー代謝を助けるアリシンをたっぷり補給!
<レシピ1を活用>
豚肉とグリーンアスパラガスのサラダ
玉ねぎ・ニンニクのアリシンと豚肉のビタミンB1で活力アップ!万能しょうゆだれとみょうがの爽やかな香味で食欲も増します。
材料(2人分)
豚ロース しゃぶしゃぶ用肉 200g
[A]
酒 大さじ1
マヨネーズ 大さじ1
アスパラガス 6本(根もとの硬い皮をむき5cm幅に切る)
トマト 2個(くし形に切る)
みょうが 2本(縦半分の斜め薄切り)
万能しょうゆだれ 大さじ6
塩 少々
つくり方 | |
1. | Aを混ぜ、肉に絡ませ10分おく。(Aを絡ませることで肉の臭みが取れて、しっとりやわらかくゆで上がる。) |
2. | 熱湯に塩少々を入れ、アスパラガスをゆでざるに上げ、肉を3〜4枚ずつ入れやわらかくなるまでゆで、ざるに上げる。 |
3. | 皿に2とトマト、みょうがをのせ、万能しょうゆだれをかける。 |
夏バテ予防 Point
たんぱく源となる豚肉は、エネルギー生成にかかわるビタミンB1も豊富。アリシンを含む玉ねぎと一緒に食べると、ビタミンB1の吸収率がアップします。
\レシピ1を活用したこちらもおすすめ/
ゆでゴーヤにプラス!
ゴーヤ(1本)を縦半分に切り、種わたを除いて薄切りに。塩(小さじ1/2)をまぶし、水けが出たら、熱湯で1分ゆでる。冷まして水けをきる。万能しょうゆだれ(大さじ3)をかければでき上がり!
納豆にプラス!
納豆2パック(80g)に万能しょうゆだれ(大さじ2)をかけて混ぜるだけ!
<レシピ2>
夏野菜とひき肉のみそ汁
夏野菜の甘味と鶏ひき肉の旨味で、出汁いらず。手早くおなかを満たせる、うれしい一杯。
材料(2人分)
ズッキーニ 1/2本(1cm厚の半切りまたはいちょう切り)
パプリカ 1個(4cm長さの短冊切り)
[A]
鶏ひき肉(ささみまたはむね肉) 150g
酒 大さじ2
水 500mL
みそ 大さじ1と1/2〜大さじ2
えごま油 大さじ1/2
つくり方 | |
1. | Aを鍋に入れ、混ぜてから中火にかける。箸で混ぜながら火を通し、パラパラになったら水を入れる。 |
2. | 煮立ったらアクを取り、ズッキーニとパプリカを入れひと煮し、みそを溶き入れ火を止める。 |
3. | お椀によそい、えごま油をたらす。 |
夏バテ予防 Point
消化吸収の良い鶏ひき肉で、たんぱく質を効率良く補給できます。仕上げにえごま油を入れることで、コクのある深い味わいに。冷房で体が冷える夏こそ、あたたかいみそ汁がおすすめです。
<レシピ3>
レモンとシナモンのドリンク
クエン酸を手軽に補給できる、糖分ゼロの清々しいドリンク。穏やかなレモンの酸味とほのかなシナモンの香りに、ほっとひと息。
材料(つくりやすい分量)
水 1L
シナモンスティック 2本
レモン(国産がおすすめ) 1個(3〜4mm厚の薄切り)
つくり方 |
ピッチャーなどに水とシナモンスティック、レモンを入れ、冷蔵庫で8時間以上おいて水出しにする。 |
夏バテ予防 Point
シナモンの体をあたためる作用が、夏の冷えからくる不調対策に。レシピは糖分ゼロですが、食欲がないときにはハチミツやオリゴ糖を加えても◎。
藤井先生からのプラスαアドバイス
せっかく摂った栄養は、しっかりと吸収したいですよね? 腸の健康状態は栄養の吸収を左右するうえ、自律神経にもかかわっているので、夏は腸を意識することがとても大切です。夏の活力を引き出す栄養素を上手に摂りつつ、腸活も意識して夏の暑さを乗り切りましょう。