ヘルスケア特集 ヘルスケア
監修梅津 拓史 (うめつ ひろし)先生 循環器科医師。

日本循環器学会認定循環器専門医、日本心血管インターベンション治療学会認定医。心血管カテーテル治療を年間200例以上も施行する、血管のエキスパート!

ずばり! 血流力とは?

血管の状態や血液の質に加え、"流れ=血流"にも着目しながら、体の状態をトータルに捉える視点です。

何歳からでもケアできる?

はい、できます。食事や運動によって「血管内皮細胞」を元気にすることが、血流力アップにつながります。

血流力アップの鍵はマルチに働く血管内皮細胞

元気ではつらつとした体の中では、すこやかな血流によって、全身にくまなく栄養と酸素がいきわたっています。梅津先生はそうした状態を"血流力が高い"と捉え、健康の基盤だと話します。
理想は、しなやかな血管を通って、サラサラの血液が体の末端まで流れていること。ですが残念ながら血管は、運動不足や偏った食事、ストレス、そして加齢によって、徐々に硬くなり、詰まりやすくなっていきます」
血流力の下がった体内はまるで汚れが溜まった年末の家の中のよう。「そうした状態は血管を詰まらせて深刻な病気につながることも。だからこそ早めのケアが大切です。70代でも20代のような血流力を持つ人もいるので、血流力は維持したり、働きをよみがえらせたりすることが可能といえます
血流力アップの鍵を握るのは、血管のいちばん内側に存在する血管内皮細胞。「血管を縮めたり広げたりするほか、血栓の形成や血管壁が厚くなるのを防ぐなど、多様な働きを担っています」
この血管内皮細胞が元気になれば、血流力も自ずと高くなるそう。そのための方法を学ぶ前に、まずは健康診断で測る3つの数値をチェック。自分の血流力を知ることから始めましょう!

血管内皮細胞は体内最大の内分泌器官。動脈内膜の最も内側にあり、さまざまな化学物質を分泌することで、血管の伸縮などをつかさどる。



あなたは大丈夫?
大掃除の目安になる血流力を示す3つの数値


 1. 血圧 

血液が流れる際に動脈の内側に掛かる圧力のこと。血管内皮細胞の機能が弱まったり、生活習慣の乱れがあると、血圧が高くなり、その状態が続くと血管は硬くなります。診察室では正常の血圧でも普段が高い「仮面高血圧」の人もいるので、自宅でも血圧を測る習慣を。診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上の人は注意

 2. 血糖値 

血液中のブドウ糖濃度のこと。高血糖状態では血管内皮細胞が傷つき、動脈硬化のリスクが高まります。血流力が低下している可能性があるのは、空腹時血糖値が110mg/dL以上の人。ただ重要なのは、空腹時より食後の血糖値。ヘモグロビンA1cは過去2ヵ月程の血糖値の平均的な状態を示す数値で、これが5.6%以上だと要注意です。

 3. LDLコレステロール値 

通称、悪玉コレステロール。脂質の一種で、増えて酸化すると血管内に「プラーク」と呼ばれるこぶを形成し、動脈硬化を進行させます。また、プラークが破れるとそこに血栓ができ、血栓症などの要因に。注意が必要なのは140mg/dL以上の人。120〜139mg/dLでも、高血圧などほかのリスク因子があれば血流力は低下しているおそれがあります。

 COLUMN 
健診結果が異常なしでも要注意!


上記の3つが正常値内でも、内臓脂肪が多い人は要注意! 女性は腹囲90cm以上、または内臓脂肪面積100cm²以上なら血流力が下がっているかもしれません。心配なら腹部CT検査で内臓脂肪面積を確認してみても良いでしょう。



次に血流力をセルフチェックしましょう。
チェックが多いほど要注意です。


 □ 肉や魚をあまり食べない
 □ 食事は白米から食べる
 □ 歩くスピードが遅い
 □ 週2回以上の運動をしていない
 □ 階段を避けてエスカレーターを選びがち
 □ 夕方になると脚がむくむ
 □ 寝起きにだるさがある
 □ 手足が冷える
 □ 睡眠が浅く夜中に何度も目が覚める
 □ 息切れしやすい
 □ 立ちくらみやふらつきが起きる




鍵は習慣化。身近な食材でコツコツ血流力をアップ!

何歳からでもより良くできる血流力。では、具体的に何をすれば? と梅津先生に聞くと、「運動と食事。これに尽きます」ときっぱり!
運動では筋肉量を保つことが重要。「血流力の維持に重要な下肢の筋肉は20歳から80歳までに30%も減ってしまうので、スクワットなどの筋トレを意識的に取り入れてみてください」
食事のポイントはバランスの良さと十分なたんぱく質。女性は大豆食品もたっぷり食べてほしいと梅津先生。「閉経前の女性はエストロゲンの働きで、男性よりも動脈硬化の進行が10年程遅いのですが、閉経後はエストロゲンの分泌量が減り、血管の病気が増加します。エストロゲンと似た働きをするイソフラボンを大豆食品から摂取するよう心がけてみてください」
梅津先生がすすめる血流力アップ食材は下の9つ。血圧を下げたり、中性脂肪を減らしたりすることで、血管内皮細胞の働きを高めることが期待できます。身近な食材ばかりですが、年末でホームパーティや外食が続くと、食生活のバランスが乱れることも。そんなときは、不足しがちな栄養素をサプリメントで補っても良いでしょう。
「大切なのは習慣化です。私自身、食が細いので、足りない栄養素はサプリメントで補っています」と梅津先生。
血流力は日々の生活でコツコツと高めていくもの。今始めれば5年後、10年後が変わってきます。新年を晴れやかな心で迎えるためにも、今日からできることを始めてみませんか?



\明日から取り入れられる!/
気軽に試せて、大掃除効果も!

血流力を上げるフードリスト

血流力をアップさせる効果的な方法のひとつが、毎日の食事を見直すこと。身近な食材で血管内皮細胞の働きをサポートし、体を内側から整えましょう!


 鮭 

DHAとEPAが豊富で、中性脂肪を減らし、HDL(善玉)コレステロール値を上げる働きが期待できます。抗酸化物質のアスタキサンチンもたっぷり。生鮭か甘塩鮭がおすすめで、ホイル焼きなら栄養価も


 オリーブオイル 

主成分の一価不飽和脂肪酸には糖の吸収を緩やかにし、血糖値やLDLコレステロール値を下げる働きが。ポリフェノールも豊富で、1日7g以上の摂取で心血管疾患のリスクが低下したという報告もあります。


 玄米 

玄米などの全粒穀物は、白米などの精製穀物に比べて、血糖値の急激な上昇を抑える働きが期待できます。豊富なミネラルやビタミンB群は赤血球の働きを助け、全身に酸素を届けるサポートをします。


 納豆 

発酵時に生まれる酵素「ナットウキナーゼ」が血栓を分解し、血液をサラサラに。また、大豆たんぱく質はLDLコレステロールを減らす働きも。付属のタレは少量にしたり、減塩しょうゆを掛けると良いでしょう。


 ほうれん草 

鉄分と葉酸が豊富。鉄分はヘモグロビンの生成に、葉酸は赤血球の生成に必須です。体内吸収を高めるために併せて摂取したいビタミンCも豊富。茎のピンクの部分にはポリフェノールも含まれています。


 高カカオチョコレート 

カカオ70%以上が高カカオチョコレート。ポリフェノールの一種であるカカオフラバノールは、血管内皮細胞に働きかけ、血流を良くすることが期待できます。血糖値の急上昇を抑える食物繊維も豊富。


 トマト 

リコピンの抗酸化作用はLDLコレステロールの酸化を防ぐ働きがあり、血管内にプラークができづらくなります。またカリウムが余分なナトリウムを排出し、体内水分量を調節することで、血圧低下も期待できます。


 アブラナ科の野菜 

代表的な野菜はブロッコリーやキャベツなど。豊富なビタミンCが血管を強化し、ベータカロテン(ビタミンA)やビタミンEは血流を促進。ポリフェノールの一種、スルフォラファンも摂取できます。


 クルミ 

ナッツ類の中でもオメガ3脂肪酸が豊富。オメガ3脂肪酸は一部が体内でDHAやEPAに変換され、血液をサラサラにする働きが期待できます。また薄皮には赤ワインよりもポリフェノールが多く含まれています。




\年末年始は/
食べ方でも血流力アップ!
食事のコツ5ヵ条

------ その ------
朝食は抜かない

朝食を抜いて空腹状態で昼食をとると、血糖値が急上昇し、血管に大きな負荷が。逆に朝しっかり食べると血糖値も安定。白米やパンだけでなく、野菜や肉、魚も摂るよう心がけて。


------ その2 ------
たんぱく質or野菜から食べる

食事の最初の10分は、炭水化物を避け、肉や魚などのたんぱく質か野菜を食べることでも、血管に負荷を掛ける血糖値の急な上昇を抑えられます。みそ汁など汁ものから食べるのも◎。


------ その3 ------
減塩調味料を活用する

塩分は高血圧を引き起こす主原因のひとつ。日本人はしょうゆやみそといった調味料から多くの塩分を摂取しているので、減塩タイプに変えるだけでも手軽に血流力を高められます。


------ その4 ------
食べるときは楽しく!

実はストレスも血流力低下に大きく影響しています。なので、食べるときはその時間を心から楽しんで。笑顔の食卓がストレス発散になれば、それも血流力アップにつながります。


------ その5 ------
習慣化を目標に

血流力を高める栄養素はコンスタントに摂取することが重要です。大切なのは習慣化。食が細いなど、食事からの摂取だけでは栄養素が足りない場合はサプリメントで補っても。





イラスト:本村誠

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