まぶたがぴくぴくするのは、なぜ?
疲れが溜まっているときなどに、まぶたがぴくぴくした経験はありませんか?自然に治ることも多い現象ですが、その原因はさまざまです。まぶたの痙攣(けいれん)の原因や対策について知っておきましょう。
まぶたの痙攣の中でも特に多いのが、「眼瞼(がんけん)ミオキミア」。背景には、疲労やストレス、栄養不足などがあるようです。湘南台はた眼科の眼科専門医・秦淳也先生と、同眼科の栄養士・池田麻美先生に原因や対策についてお聞きしました。
INDEX
「まぶたがぴくぴくするのは、なぜ?」Q&A
まぶたの痙攣が起こる原因はなんですか?
疲労やストレス、睡眠不足などが原因です。
まぶたの痙攣は、目のまわりを囲むようについている眼輪筋(がんりんきん)という筋肉が自分の意思とは無関係に収縮することによって起こります。「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」や「片側顔面痙攣」などのように治療が必要な病気が隠れている場合もありますが、一般的には「眼瞼ミオキミア」と呼ばれる生理現象がほとんどです。眼瞼ミオキミアによるまぶたの痙攣は、数秒や数分で止まる一時的なもので、繰り返し起きても数日~数週間で治まります。原因は、疲労やストレス、睡眠不足と考えられています。
眼輪筋とは目のまわりを囲む筋肉のこと。まぶたを動かす働きがあります。
医療機関に相談した方が良いのはどんなときですか?
目を開いていられない場合は眼科を受診しましょう。
痙攣が1ヵ月以上続いたり、治ったと思ったのに症状が繰り返したりするようなら、眼科を受診しましょう。「眼瞼痙攣」が原因の場合、パーキンソン病や脳梗塞などの病気が潜んでいることも考えられます。眼瞼痙攣になるとだんだん目を開けていられなくなってくるので、同様の症状があれば、すぐに眼科医にご相談ください。
「眼瞼ミオキミア」の対策にはどんなものがありますか?
疲労回復やストレス解消を。眼精疲労に効くツボも有効です。
対策1
睡眠を十分にとり、疲労やストレスを溜めない
まずは原因となる疲労の回復、ストレスや睡眠不足の解消を心がけることが大切です。疲れたなと感じたら、休むようにしましょう。
ストレス解消のために、ジョギングやヨガなどの運動を習慣化することもおすすめです。
対策2
カフェインを多く含む飲料を控える
カフェインは神経を興奮させる作用があるため、カフェインを多く含む飲料の飲みすぎは禁物です。カフェイン飲料というとコーヒーのイメージが強いですが、緑茶や紅茶にも多く含まれます。特に、若い芽を摘み取って作る「玉露」、茶葉ごと溶かして飲む「抹茶」は、コーヒーよりもカフェイン濃度が高くなります。飲む量には気をつけましょう。
コーラや紅茶、エナジードリンクにもカフェインが多く含まれます。飲みすぎには注意しましょう。
対策3
近くを見る作業をするときは休憩をとる
まぶたが痙攣する原因のひとつに眼精疲労があります。読書やスマートフォンの操作などのように、近くのものを見る作業を長時間続けると眼精疲労を引き起こしやすくなるため、こまめに休憩をとりましょう。
見る対象は目から30cm以上離すようにしましょう。休憩中には、窓の外など遠くを見るようにすると、目が休まります。
対策4
目のまわりのツボを押す
目のまわりのツボを押すことは、眼精疲労の緩和に役立ちます。強い力ではなく、気持ち良いと感じる程度にやさしく押しましょう。
眼精疲労を緩和するとされる5つのツボ。気持ち良いと感じる場所を押しましょう。
対策5
目をあたためる
目をあたためて血行を良くすることは、眼精疲労の緩和につながります。濡らしたタオルを電子レンジで少しあたためてまぶたに当てたり、市販のホットアイマスクを利用したりすると良いでしょう。
目をあたためることは、眼精疲労対策にも有効です。
対策6
ビタミンB12を含む目薬を差す
末梢神経を修復する作用があり、眼精疲労の改善が期待できるビタミンB12を含む目薬を差すこともおすすめです。
眼科で処方されたものに限らず、ドラッグストアなどで購入できる市販の目薬でも効果があります。
「眼瞼ミオキミア」が気になるときに摂りたい栄養素はなんですか?
ビタミンB12やビタミンB1、マグネシウムやカルシウムです。
ビタミンB12は目薬だけでなく、食事で摂ることも有効です。水溶性のビタミンで水に溶けやすいので、汁ごと飲めるスープで摂取することをおすすめします。なお、神経機能を円滑にするビタミンB1は眼精疲労対策にも適した栄養素です。また、筋肉の弛緩(しかん)、収縮にかかわるマグネシウムとカルシウムの摂取も良いでしょう。これらの栄養素を多く含む食材を積極的に摂りましょう。
眼瞼ミオキミア対策に良い栄養素と食材例
これらの栄養を効率的に摂取できる、あさりやほたて、牛乳を使った「クラムチャウダー」がおすすめです。
まとめ
まぶたがぴくぴくするのは、疲労の蓄積や栄養不足などのサインかもしれません。症状に気づいたら、休む時間をとり、食事にも気を使うなどのケアを行うとともに、普段の生活習慣を見直しましょう。
イラスト:本田佳世