知ってて良かった!健康への第一歩 ヘルスケア

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食事量の減少や、体の機能低下などが原因です

年齢を重ねると、普段の食事量が減る方が多くなります。料理が面倒で菓子パンで食事をすませる、少し食べただけですぐに満腹になってしまう、日中の活動量が減っておなかが空かないなど、さまざまな背景があるようです。年々、消化吸収や口腔の機能が落ちて食事を摂りにくい方もいるでしょう。

自分では十分に食べているつもりでも、栄養がきちんと吸収されず、栄養不足に陥っている可能性があります。そんな状態が続くと、食欲不振や便秘、下痢などのおなかの調子にも影響を及ぼします。そして、体力低下から外出がおっくうになり、気力まで低下するかもしれません。

栄養を上手に摂り、体力を維持していくためには、少しの知識と少しの努力が必要となります。これからもハツラツと過ごしていくために、基本の栄養知識を身につけていきましょう。



川口先生にお聞きしました!

栄養と健康に関するあれこれ


しっかり栄養を摂るには、何をどのくらい食べたら良いですか?
1食当たりの主食・主菜・副菜の適量を意識して、3食しっかり摂りましょう。

主食はご飯1膳(150~200g)、パンなら6枚切りを1~2枚。たんぱく質を主とする主菜は、手のひら1個(パーまたはグー)と指3本に相当する量が基本です。副菜は両手のひらにのるぐらいの野菜の量になるよう意識しましょう。例えば親子丼は、主食のご飯、主菜の鶏肉と卵を含み、副菜の玉ねぎやにんじんなどの野菜を多めに入れれば、栄養バランスの良いメニューといえます。大切なことは、主食・主菜・副菜の3つをしっかり摂ること。1食当たりの適量を覚えておきましょう。

主菜の適量

主菜のたんぱく質は、複数の食品から摂りましょう。
1食当たり、「パーまたはグー」と「指3本」に相当する量を。

副菜の適量

野菜を1食100〜130g、
さまざまな種類を摂りましょう。

火を通せば、かさは減ります

こんなに食べられるか心配かもしれませんが、火を通せば、かさが減って食べやすくなるものもあります。葉物や根菜などいろいろな種類から、さまざまな栄養を摂りましょう。



栄養不足を防ぐための食事のポイントを教えてください。
炭水化物の控えすぎにご注意を。

「たんぱく質をたくさん食べるべき」、「炭水化物の摂りすぎは肥満になりやすい」などの情報が話題になり、たんぱく質を多く摂り、炭水化物を控える方が増えました。その食べ方では、栄養不良をまねくことも。たんぱく質が吸収され、筋肉などの体の材料や免疫物質になるためには炭水化物を摂ることが必要です。ご飯を食べず、たんぱく質を消化・吸収するエネルギーが不足した状態が続くと、せっかく食べたたんぱく質が、本来の働きをしない、いわば"おばけたんぱく質"になってしまうのです。



いつまでも食事をおいしく食べるために必要なことはありますか?
食事時間を決め、規則正しい生活を送ることです。

おなかが空いたから食べるというのではなく、毎日同じ時間に食べる習慣を身につけましょう。食事の時間を予め決めておくと、1日の過ごし方も自然と決まります。睡眠や排便など、健康に必要な生活リズムも整いやすいというメリットもあります。
また、口腔の健康も重要です。よく噛むことができる健康な歯があり、十分に唾液が出て、食べ物を飲み込むための舌をきちんと使えるからこそ、食事を楽しむことができるのです。しばらく歯科医院に行っていない方は、ぜひ歯科検診へ。適切な治療を受け、これからも健康な歯でおいしく食事をいただきましょう。



コラム

管理栄養士が教える
体重減少が心配な方へのアドバイス

なかなか太れない、体重が減って心配という方もいらっしゃると思いますが、「若い頃からあまり体重が変わっていない」「体力に問題がない」ということであれば、心配しすぎる必要はありません。
気になる場合は、薬局や病院、保健所などの管理栄養士に相談をして、食生活のアドバイスをしてもらいましょう。



今月の監修者川口 美喜子(かわぐち みきこ)先生 管理栄養士、医学博士、大妻女子大学家政学部 特任教授、札幌保健医療大学 保健医療学部栄養学科 教授/著書に『100年栄養』(サンマーク出版)、『老後と介護を劇的に変える食事術:食べてしゃべって、肺炎、虚フレイル弱、認知症を防ぐ』(晶文社)などがある。

イラスト:本田佳世

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