知ってて良かった!健康への第一歩 ヘルスケア

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舌の筋力や睡眠の質の低下などが原因です。

いびきとは、鼻や喉などの気道が狭くなったところを空気が無理やり通り抜けるときに音が鳴る現象です。全開にした窓よりも少しだけ開いた窓の方がビュービューと大きな音が鳴るように、気道が狭くなるほどいびきの音は大きくなります。
実は、日本人の骨格はいびきをかきやすいといわれています。特に女性の場合、閉経後に筋肉の弾力性を維持する女性ホルモンの分泌が減るとともに、加齢に伴い、舌の筋力が低下します。すると、舌の根もとが喉の奥に落ち込む舌根沈下(ぜっこんちんか)の状態になり、気道がふさがれたり狭まったりするため、いびきをかきやすくなります。また、年々、睡眠の質が低下して眠りが浅くなることもいびきの一因です。



コラム

自分のいびきに気づくには?

朝起きたときに口が乾いていることが多い、夜中に何度も目が覚めるという方は、いびきをかいている可能性が高いといわれています。気になる人は、睡眠中にいびきを録音するスマートフォンの睡眠アプリがあるので活用しても良いでしょう。客観的に自分のいびきを把握できます。



白濱先生にお聞きしました!

いびきに関するあれこれ


注意が必要ないびきはありますか?
「睡眠時無呼吸症候群」に要注意です。

鼻詰まりなどが原因で一時的に生じているいびきであれば、さほど心配はいりません。危険なのは、いびきと無呼吸を繰り返す「睡眠時無呼吸症候群」です。日中に強い眠気に襲われたり、注意力が散漫になったりと日常生活に支障が生じるばかりか、動脈硬化が進行して深刻な病気をまねく危険性があります。
家族や友人などからの指摘や睡眠アプリの活用で、睡眠中に10秒以上息が止まる無呼吸の状態が起きていることがわかったら、睡眠専門医のいる医療機関に相談を。専門医は日本睡眠学会のホームページで検索できます。

睡眠時無呼吸症候群の症状チェック

当てはまるものがあれば、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

✓ 睡眠中に、大きないびきをかく


✓ 睡眠中に、呼吸が止まることがある


✓ 夜中に、何度も目が覚める


✓ 朝の目覚めが悪く、すっきり起きられない


✓ 日中、強い眠気を感じ、あくびをよくする


✓ 日中、集中力や記憶力の低下を感じる



いびき軽減のためにできることはありますか?
舌の筋トレや横向き寝で舌根沈下を防ぎましょう。

いびきの原因である舌根沈下を防ぐためには、舌の筋肉を鍛えることが大切です。舌の筋トレによっていびきの頻度や強さが改善することが、海外の睡眠研究チームによって証明されています。毎日コツコツと続ければ3ヵ月程度でいびきの軽減が見込めます。
また、あおむけの姿勢は舌根沈下につながりやすいため、いびきが気になる方は「横向き寝」をおすすめします。抱き枕や、横向き寝をサポートする枕などを活用すると良いでしょう。

※心臓に持病がある方は、横向き寝が心臓に負担を与える可能性もあるため、主治医にご相談ください。

舌の筋トレの例


舌の上下運動

口を開けて舌先を上あごに押し付けて10秒キープ。その後、舌先を下あごに押し付けて10秒キープ。この動きを3セット行います。


舌の回転運動

口を閉じたまま、外側の歯茎と歯の表面をなぞるように舌をまわします。この動作を、ゆっくりと3回繰り返します。右まわり・左まわり両方行います。



睡眠の質を高めるためにできることを教えてください。
朝食にみそ汁や乳製品などを取り入れましょう。

いびきの軽減には、睡眠の質を高めることも重要です。睡眠の質といびきの発生率は相関関係にあるというデータもあります。
そこで、おすすめしたいのが、朝食にトリプトファンを含む食材をとること。トリプトファンは睡眠ホルモンであるメラトニンの生成にかかわっていて、多く摂ることで眠りやすい体質をつくると考えられています。摂取からメラトニンの生成までが約14~15時間とされるため、朝食で取り入れるのが効果的です。トリプトファンは、みそ汁や納豆、豆腐などの大豆製品、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、卵、バナナなどに多く含まれています。



今月の監修者白濱 龍太郎(しらはま りゅうたろう)先生 医学博士、日本睡眠学会総合専門医、医療法人RESM 理事長/著書に『睡眠専門医が考案した いびきを自分で治す方法』(アスコム)、『「寝つきが悪い」「すぐに目が覚めてしまう」人のお助けBOOK』(主婦の友社)などがある。

イラスト:本田佳世

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