年齢を重ねて平熱が低くなり、冷えを感じやすくなったのは、なぜ?
久しぶりに体温を測ったら、若い頃より体温が低くて驚いたことはありませんか? 今回は、「平熱の低下」と「冷え」の原因や対策を専門家に伺いました。
加齢による基礎代謝の低下が一因です。
体温は、脳や内臓など体内の中心部の温度である深部体温と、体の表面の温度の皮膚温に分かれます。この深部体温を臓器が正常に働く37℃前後に保つために、基礎代謝などから生まれる熱は血流にのって全身に伝えられます。加齢により基礎代謝が下がり熱をつくりにくくなると、外部環境の温度が低い場合は皮膚近くの血流量を大幅に減少させて熱の放散を防ぎます。それに伴い、皮膚温が下がるため、ワキの下で測る体温も影響を受けて低くなり、皮膚温の低下が体の冷えにもつながるのです。
また、35℃台の平熱=低体温と思っている方もいらっしゃいますが、医学において「低体温症」とは深部体温が35℃を下回り、命の危険がある状態を指しますので、分けて考えましょう。
コラム
体温の測り方のポイント
ワキの下で測る体温は、医学的な基準とされる深部体温とズレがあります。できれば、深部体温に近い体温を計測できる舌下(ぜっか)で測る方が良いですが、難しい場合は、ワキの下での測定でも構いません。いずれにせよ健康管理のために、同じような時間・環境で毎日体温を測ることが大切です。
平熱の低下に関するあれこれ
INDEX
平熱が低くなりやすいのは、どのような人ですか?
筋肉が少ない人、やせ型の人は低くなりやすいです。
加齢によって筋肉量が減少すると、熱を生み出すために必要な基礎代謝も低下してしまいます。体の中で大きな割合を占める筋肉は、安静にしているときでも常に熱を生み出し、体温を保つために体内で重要な役割を果たしているのです。
BMIが20未満のやせ型で筋肉量が少ない人も、基礎代謝が低くなり、皮膚温が下がりやすくなります。
脂肪には深部体温を保つ断熱材の役割があるため、適度に脂肪がついている体型の方が熱が逃げにくく、冷えや寒さも感じにくくなります。

平熱の低下には、どのような健康リスクがありますか?
低体温症につながるリスクが高まることも。
ワキの下で測った体温が35℃台の場合は、血流の悪化などにより皮膚温が下がっていることが一因と考えられるので、気にしすぎなくてもよいでしょう。ただし、疲れやすい、体が重いといった症状が続き、舌下で測る体温が36℃以下なら低体温症の可能性がありますので、医師に相談しましょう。
特に60代以上になると体温調節機能も衰えるため、寒さを感じていないのに、気づかぬうちに低体温症になってしまうことも。低体温症にならないためには、日頃から、こまめな室温の調節や重ね着などの対策が大切です。

平熱が低くなるのを防ぎ、代謝を上げる方法を教えてください。
食事や運動により、効率良く熱をつくりましょう。
月並みですが、栄養バランスの良い食事を1日3食とることが大切です。「食事誘発性熱産生」といわれ、食べ物から得るエネルギーの約1割は、消化・吸収をする際に使われて熱をつくります。食事のたびに効率良く熱を発生させるため、体温の維持にも役立ちます。
また、体幹を鍛えるスクワットを習慣にすると、筋肉量が増えて代謝促進につながります。椅子を使った浅めのスクワットで十分ですので、週に2~3回ほどすき間時間に行うと良いでしょう。階段の上り下りも運動になり、実は下りの方が体幹が鍛えられ、筋力アップに役立ちます。

イラスト:本田佳世



