喉が渇いていなくても脱水? 「かくれ脱水」とはなんですか?
年齢を重ねると体内の水分不足に気づきにくく、うっかり水分補給を忘れてしまいがちです。熱中症にもつながりやすい「かくれ脱水」とはどんなものなのか、専門の医師に伺いました。
症状が出づらく見落としがちですが、脱水症の一歩手前です。
かくれ脱水とは、脱水症の一歩手前の状態をあらわす医学用語です。脱水のように明らかな症状はあまりありませんが、気がつかないうちに脱水症や熱中症のリスクが高まっている状態です。主な原因は、尿や便、汗などによる"体から出ていく水分"と、食事や水分補給で"体に入ってくる水分"のバランスのくずれにあり、暑さを感じる屋外に限らず、涼しい屋内でもかくれ脱水の状態になることがあります。発熱や下痢、大量の発汗時のほか、水分補給が少なくなるタイミングに起こりやすいため、汗をかきやすい夏場は注意が必要です。
また、加齢によって筋肉量が減ると体内の水分保持力が低下し、喉の渇きも感じにくくなるため、水分不足に陥りやすくなります。特に起床時は多くの方がかくれ脱水の状態のため、喉が渇いていなくてもコップ1杯の水分補給をしましょう。
かくれ脱水に関するあれこれ
かくれ脱水に気づく方法を教えてください。
体重減少や微熱などのサインがある場合もあります。
かくれ脱水によって体内の水分が不足すると、体にさまざまなサインがあらわれることがあります。ひとつは体重減少です。一般的には、1週間で4%以上(50kgで2㎏)の体重減少があると「脱水症」が疑われますが、その一歩手前、2~3%(50kgで1~1.5kg)の体重減少があると「かくれ脱水」が疑われます。水分不足から便が硬くなりやすくなり、排便に影響することもあります。また、体内の水分が減少すると血液量も減るため、体温調節がうまくいかずに微熱が出たり、皮膚の水分量が減り、手足のむくみを感じる場合もあります。手の甲で簡単にかくれ脱水をチェックする方法(下図参照)もありますので、定期的に確認してみると良いでしょう。
── もしかしてかくれ脱水かも!? ──
見逃さないためのセルフチェック
- 体重が短期間で減っている
- お通じが滞りがちになっている
- 病気ではないのに37℃前後の微熱がある
- いつもより皮膚が乾燥し、ツヤがない
- 靴下のゴムの跡が10分以上残る
かくれ脱水を防ぐ水分補給のコツはありますか?
喉の渇きを待たず、時間を決めて飲む習慣を身につけましょう。
1回の量が少なくてもこまめに飲むようにして、1日8回を目安に水分補給をすることをおすすめします。食事中をはじめ、食間や就寝・入浴前後に飲むと良いでしょう(下図参照)。
塩分や糖分が多い飲料は体に負担が掛かるので控えた方が良いですが、水やお茶類はもちろん、利尿作用があるカフェイン飲料も飲み慣れていて、尿意が近くならなければ問題ありません。就寝前はトイレが気になって水分補給を避けがちですが、夜間の脱水は熱中症や動脈硬化による命の危険もあります。おちょこ1杯程度でよいので、必ず水分補給をするようにしましょう。

飲み物を飲む以外のかくれ脱水の予防法はありますか?
スープなどの食事で水分補給を。睡眠や運動もかくれ脱水を予防します。
水分は飲み物だけで補う必要はありません。3食しっかり食べて、食事から水分補給をすることが大切です。さらに、トマトやきゅうりなどの水分量の多い野菜や、みそ汁やスープなどの水分の多い献立を増やすといった工夫をすると良いでしょう。
また、かくれ脱水は筋肉量が少ない方がなりやすいといえるので、かくれ脱水を防ぐために、スクワットや階段の上り下りなどの定期的な運動で筋力を維持するよう努めましょう。体内の水分量を調節する働きをしている自律神経を整えるために、十分な睡眠や休息、生活リズムを整えることも重要です。

コラム
年々、喉の渇きを感じにくくなる理由は?
喉の渇きは、脳の視床下部にある「喉の渇きを感じるセンサー」が働くことで自覚しますが、この機能は加齢で鈍くなっていきます。その結果、若い頃よりも喉の渇きを感じにくく、かくれ脱水を起こしやすくなってしまうのです。喉の渇きを感じてからではなく、渇きを感じる前に水分補給をすることが大切です。
イラスト:本田佳世



