年齢とともに背中が丸くなるのは、
なぜ?
鏡やガラスに映った自分の姿を見て、背中が丸くなってきたと感じることはありませんか? 「年齢のせい」と思いがちですが、対策次第で猫背は改善に導くことが可能です。まずは正しい原因を知りましょう。
骨密度と筋力の低下で骨盤が傾くことが影響している!?
背中が丸くなるのは、背骨に問題があるように思われがちですが、実は骨盤の状態が関係しているとされています。体の土台ともいえる骨盤は、若い頃であれば骨と筋肉でしっかり支えられています。ところが、年齢を重ねると骨密度が低下し、姿勢を保つ背筋(はいきん)などの筋力も衰えるため、骨盤が十分に支えられず前後に傾くようになります。すると、体のバランスを保とうとして背骨が調整され、猫背になってしまうのです。

耳・肩・骨盤・ひざ・外くるぶしが一直線上になるのが正しい立ち姿勢(上図)です。この姿勢が窮屈なら猫背である可能性大。日頃から骨盤を立てることを意識すると自然と背すじが伸びます。また、骨盤の傾きを整えるストレッチも姿勢改善に役立ちます。
猫背に関するあれこれ
猫背かどうか知りたい。姿勢をチェックする方法を教えてください。
鏡に印をつけて、頭頂部の位置が低くなっていないか確認を。
うがいをするとき、食事をするとき、スマートフォンを見るときなど、日常生活では前かがみになって猫背の姿勢になる場面が多数あります。ただ、そこで自分が猫背であることを感じることは少なく、姿勢の悪さに気づくのは"鏡を見た瞬間"くらいではないでしょうか。
逆にいうと、定期的に鏡を見ることで、姿勢を確認することができます。特におすすめしたいのが、自宅の洗面台など、毎日使っている鏡に印をつけておく方法です。立ち位置を決めて、正しい姿勢で立ったときの頭頂部に当たる鏡面にマスキングテープなどで印をつけておき、その印よりも低い位置に頭頂部があれば、背中が丸くなっている可能性があります。猫背になっていると気づいたら、骨盤を立てることを意識し、正しい姿勢を心がけるようにしましょう。
コラム
正しい"歩き姿勢"を目指すには?
猫背になると、骨盤が前後に傾いて股関節の動きも悪くなっているため、歩幅が小さくなりがちです。歩幅が小さくなっている方は、猫背になっている可能性が高いといえるでしょう。正しい歩き姿勢を目指すなら、いつもより5cmほど前に足を踏み出すイメージを持って歩きましょう。骨盤を立てることにつながり、スムーズに股関節が動いて自然と正しい歩き姿勢を維持しやすくなります。
猫背の原因である「骨盤の傾き」とは、どんな状態ですか?
バランスがくずれて前後のどちらかに傾いている状態です。
骨盤がまっすぐ立っていない状態は、"前傾"か"後傾"の2つのタイプに分けられます。骨盤が傾いていると、立ったときの姿勢はもちろんですが、骨盤の傾きによって周辺の筋肉や脚、腰などに負担が掛かり、筋肉の硬さや脚の向きなどにも影響が生じます。自分がどちらのタイプなのか、下記のチェックリストを参考に確認してみましょう。
骨盤"前傾"タイプのチェックリスト

以下に当てはまるものが多い方は骨盤の位置が"前傾" している可能性が高いです。
✓ おなかがぽっこりと出ている
✓ 腰が反っている
✓ お尻が後ろに出っ張っている
✓ 太ももの前側の筋肉が硬い、または盛り上がっている
✓ 内股気味である
骨盤"後傾"タイプのチェックリスト

以下に当てはまるものが多い方は骨盤の位置が"後傾"している可能性が高いです。
✓ 腰が丸まっている
✓ お尻が引っ込んでいる
✓ ひざが曲がって伸びきっていない
✓ 太ももの裏側の筋肉が硬い
✓ がに股気味である
横から見たときの立ち姿勢が鏡で見てもわかりにくい場合は、家族や友人に見てもらったり、真横からスマートフォンなどで写真を撮ってもらうと画像で確認できるのでわかりやすくなります。
猫背を改善する方法はありますか?
太もものストレッチのほか、骨盤底筋(こつばんていきん)のトレーニングもおすすめです。
骨盤前傾タイプの方は太ももの前側、後傾タイプの方は太ももの裏側がこわばりやすい傾向があるため、それらの部位の筋肉を伸ばし、柔軟性を高めることが大切です。
【対策1】骨盤前傾タイプにおすすめ「太もも前面伸ばし」

1.椅子の座面に片ひざをおき、おいた足の甲をつかむ
椅子の横に立ち、座面部分に左脚のひざだけをおいて、左手で左足の甲をつかみます。
2.脚を後ろに引き上げ、太ももの前側を伸ばす
左脚を後ろに引き上げて、10秒キープします。なるべく腰を反らさず、できるだけ両ひざが離れないようにして、太ももの前側が伸びているのを感じながら行いましょう。
*右脚も同様に行います
【対策2】骨盤後傾タイプにおすすめ「太もも後面伸ばし」

1.椅子に浅く腰掛け、片脚を伸ばす
椅子に浅く腰掛け、左脚だけを前に伸ばします。背すじを伸ばし、姿勢をまっすぐに保ちます。
2.伸ばした脚に圧を掛けて、太ももの後面を伸ばす
左脚に両手を置き、下の方に向けて圧をかけて10秒キープします。背すじを伸ばしたまま上体を倒し、ひじとひざはまっすぐにして、太ももの裏側が伸びているのを感じながら行いましょう。
*右脚も同様に行います
また、骨盤を正しい位置に保つために重要な「骨盤底筋」を鍛えることも有効です。自然と骨盤が立ち、姿勢が安定するだけでなく、尿トラブル予防にも効果が期待できます。
【対策3】骨盤底筋トレーニング
1.つま先を90度に開いて立つ
かかとをつけて、つま先を90度に開き、気をつけの姿勢で背すじを伸ばして立ちます。
2.お尻の穴をしめる
お尻の穴をしめて10秒キープします。おなかがへこんでいるか、下腹部に手を当てて確認しながら行うと正しい姿勢を意識しやすくなります。
これらのストレッチやトレーニングを、1日に1回以上継続して行うのがおすすめです。なお、強い痛みが出たらすぐに中止してください。
コラム
姿勢が良くなれば猫背による不調も改善⁉
姿勢が良くなると、見た目だけでなく、猫背によって生じていた不調の改善につながることがあります。例えばひざや股関節などの痛みがやわらぐ、セロトニンの産生が活性化されて心が安定する、肺活量が増えるなどが挙げられます。
イラスト:本田佳世
