
食のプロが認める玄米の魅力 私の玄米ライフ
玄米の魅力は、ビタミンやミネラル、食物繊維といった栄養の種類が豊富なこと。主食だからこそ、毎日確実に栄養を摂ることができます。日常的に取り入れる人も増え、食べると元気が出るといった声も聞かれるようになっています。そこで、長年、玄米生活を続けている料理研究家の牛尾理恵さんに、玄米の魅力やおすすめの食べ方を伺いました。
料理研究家 牛尾 理恵(うしお りえ)さん
料理研究家、栄養士。東京農業大学短期大学部を卒業後、栄養士として病院での食事指導に携わる。料理研究家の助手や料理専門の制作会社勤務を経て独立。最小限の手間でおいしく、忙しい人でも無理なく作れる栄養バランスの良い料理に定評がある。40歳を目前にやせるより良い体をつくることに開眼し、健康でキレイになるレシピを提案。ファンケル情報誌『元気生活』では2022年2月号より約2年間、発芽米などのレシピ監修を担当。著書に『ぜ〜んぶ入れてスイッチ「ピ! 」炊飯器で魔法のレシピ100』(主婦の友社)など多数。
食べ始めたきっかけは友人とのデリ(惣菜)販売
牛尾さんが玄米を食べ始めたのは20代の頃。都心のオフィス街で友人と始めたデリのお店で玄米を取り入れたのがきっかけでした。
「健康意識の高いお客さんも多いので、ご飯を白米か玄米か選べるようにしたんです。その頃から私も家で玄米を食べるようになりました。学生時代は朝食で玄米フレークをよく食べていて、もともと香ばしい風味や食感が好きだから、玄米ご飯もおいしいなと思いましたね」
お店では玄米100%で炊いていましたが、家では白米に混ぜて炊くタイプを使用していたそうです。
「玄米は半日以上浸水が必要ですが、白米に混ぜるタイプなら、浸水時間も水加減も白米と同様に炊けるので手軽でした。家でも玄米100%で炊くようになったのは圧力鍋の便利さを知った30代から。圧力鍋なら浸水がいらないし、食感ももっちり炊き上がりますよ」
"今も健康的に暮らせているのは、
玄米が生活の中心にある
おかげだと感じています"
栄養豊富な玄米は忙しい日々のお守りに
ここ10年は元気に過ごしている牛尾さんですが、若い頃はバランスをくずすことも多かったとか。そんな時期の救世主が玄米でした。
「20代の頃は無理して働き過ぎていましたね。まだ食事に気を使う余裕がなく、外食も多かったです。だからせめて玄米で栄養を摂りたいと思ったんです。多少、食生活が乱れても、とりあえず玄米を食べておけば大丈夫だというお守りのような感覚で食べていました」
玄米を食べていて良かったと思うことは、栄養面に加えて、咀嚼回数が増えたこと。体への良い影響を実感しているそう。
「玄米を食べるうちに自然とよく噛むようになりました。私は一口で30回くらいは噛みます。咀嚼回数が多いと唾液の分泌量が増えて健康効果がいろいろあるんです。歯医者さんに褒められたこともあります(笑)。玄米は硬くて苦手だと言う方もいますが、よく噛むと唾液が出てきて消化を助けてくれるので、食べやすくなると思いますよ」
50代を迎えた今でも、大きな不調はなく、健康を維持している牛尾さん。約30年間、玄米を食べ続け、変化を感じたことはあったのでしょうか。
「変わったという実感はないのですが、和食中心の食生活なので、自然と栄養バランスが整っているのだと思います。更年期も心身ともに健やかでいられるのは、玄米が生活の中心にあるおかげだと感じています」
たんぱく質多めの食事と規則正しい生活を意識
食事面に加え、規則正しい生活と運動が牛尾さんの元気の秘訣。起床後は犬の散歩と家の掃除が習慣で、食事は高たんぱく、低脂質を心がけているそうです。
「コーヒーを飲みたいので朝食はライ麦パン、基本的に昼と夜に玄米を食べています。たんぱく質は1つの食材に偏らないよう、肉や魚、大豆製品、卵などからバランス良く摂るようにしています」
器も好きな牛尾さん。簡単なおかずでも好きな器に盛り付け、食事の時間を楽しんでいます。
「我が家では陶芸家・土屋典康さんの益子焼の器を愛用しています。ご飯茶碗は土屋さんにリクエストして作ってもらったもの。一度割ってしまったけれど、金継ぎして大切に使い続けています」
毎朝、愛犬のミニチュアブルテリアの福ちゃんと1時間ほどかけて近所のドッグランに散歩に行くのがルーティーン。普段の散歩以外に、週末には高尾山などに一緒に出かけることもあるそうです。
糠(ぬか)もいただく玄米は表面を洗う程度で大丈夫
玄米を食べ続けている理由は、やはり栄養価の高さだと言う牛尾さん。
「食べる食材を増やせばその分栄養も多く摂れますが、体重のことを考えると1日に摂取できるカロリーが限られます。だから一度により多くの栄養が摂れるのは、玄米の魅力ですね」
玄米をおいしく炊くコツは、浸水をしっかりすること。後はさほど難しくはありません。
「炊飯器の玄米モードを使えば簡単ですし、玄米は糠もいただくので表面を洗う程度で白米ほど研がなくて良いのがラクですね。鍋を使うときは圧が掛かるように重みのあるふたを使い、少し長めに火に掛けるのがポイントです。私はたまに小豆や押し麦などの雑穀を混ぜて炊いています。味や気分が変わって飽きずに楽しめますよ」
ちなみにご主人は白米派。
「ファンケルさんの白米風に炊き上がるタイプの玄米(発芽米 白米仕立て)なら食べてくれそうです」
"同じカロリーでも、
一度により多くの栄養が
摂れるのが、玄米の魅力ですね"
毎日ご飯を炊くのは大変なので、一度に3合(6〜7膳分)炊いて冷凍保存しているそう。前日の夜か朝食後に玄米の浸水をして半日から一晩浸けておきます。今まで使っていた圧力鍋が昨年壊れて、現在はVermicular(バーミキュラ)の炊飯器「ライスポット」を使用(炊き方は一般的な鍋と同じ)。保存の際は水分を逃さないようにできるだけ炊き立てを1食分ずつラップに包み、粗熱が取れたら冷凍。食べるときは2人分を一緒に電子レンジに入れてあたためます。
相性が良いのが、みそ汁。1日1回、必ず食べます
牛尾さんがおすすめするのが、玄米と和食の組み合わせ。みそ汁、焼き魚や煮魚、あっさり系の肉料理、納豆などと一緒によく食べているそうです。
「漬けものや梅干しの塩味も玄米の香ばしさと合います。いちばん相性が良いのはみそ汁ですね。私は1日1回、必ず食べています。時間がない日でも玄米とみそ汁さえあれば十分栄養が摂れますよ」
Instagramでは普段の食事の写真をアップ。「何をどのくらい食べたら良いか参考になるという声をいただくので、ありのままを紹介しています」と牛尾さん。この日の夕食の献立は、玄米、みそ汁(油揚げ、わかめ、しめじ、大根)、焼き厚揚げ、にんじんとパプリカのツナあえ。
最後に、ファンケルの以前の情報誌『元気生活』で発芽米のレシピ監修をしていただいた牛尾さんに、発芽米におすすめの簡単レシピを教えてもらいました。
牛尾さんおすすめ 簡単レシピ
発芽米の大豆ミートビビンバ
\Point/
発芽米と具材の旨味成分の相乗効果で、肉や野菜の味を引き立てます!
ゆでて戻した大豆ミート(ひき肉でもOK)をごま油で炒め、コチュジャン、しょうゆ、砂糖、ごま油で味付けする。炊いたご飯の上に、大豆ミートそぼろとにんじん、豆もやし、豆苗などお好みの野菜のナムル、半熟卵を盛り付ける。
発芽米 白米仕立てのサーモンのポキ丼
\Point/
発芽米が魚の臭みを低減し、料理全体の旨味を際立たせます!
刺身用サーモンを1.5cmくらいの角切りにし、しょうゆ、みりん、ごま油、わさび、すりおろしにんにく、白ごまであえる。炊いたご飯の上に、刻み海苔、サーモン、九条ねぎの小口切りを盛り付ける。