インナービューティ特集 ヘルスケア

女性ホルモン量が男性よりも低下する!?

人の骨密度は20歳頃にピークを迎え、そこから徐々に低下が始まり、女性は閉経前後の5年で最も低下します。それは閉経による女性ホルモンの欠乏により、骨の新陳代謝のサイクルが乱れるため。閉経後の女性ホルモン量は、同年代の男性が自然に持つそれよりも低くなります。


30代から始まっている頭蓋骨の骨密度低下

加齢による骨の症状というと背中の曲がりや脚の骨折などを想起します。しかし近年の研究により、足腰より前に頭蓋骨の骨密度低下が訪れることがわかってきました。下のグラフを見ると、腰椎は中年層から高年層にかけて骨密度低下が加速しますが、上あごは30代の後半、若年層から中年層にかけていち早く低下しています。要因のひとつとして考えられるのは、頭蓋骨は体の上にのっているだけで荷重が掛からないということ。骨は体重が掛かったときなどに刺激を受けて丈夫になる性質を持っているため、何もしなければ減っていくのが自然の摂理なのです。

Shaw et al, Facial Bone Density., Aesthetic Surgery Journal 2012;32(8):937-942.より作成


頭蓋骨がやせると顔の皮膚がたるみます

顔の骨密度が低下すると骨が萎縮し、顔の土台全体が縮んでいきます。目や鼻などのくぼみが広がり、あごが小さくなるなどフェイスラインが凸凹に。すると頭蓋骨と皮膚をつないでいる靭帯が緩み、これがたるみをもたらします。体がやせていないのに顔にたるみが出るのは、骨密度低下のサイン。この低下は全身にリンクしていると考えて、健康維持を心がけるのが賢明です。痛みなどの症状があらわれにくい骨は、日頃の生活では特に気にとめない部位ですが、私たちの体は骨でつながっていて、地面に立ち、運動しています。体のベースは骨であると意識して対策を心がけましょう。


骨密度低下による見た目の変化


矢吹先生からアドバイス
今日から始める骨対策

◆ よく笑い、話すなど、表情筋を動かす。
◆ 1日に15分、日光に当たる。(手のひらに当てるだけでもOK)
◆ 歯と歯ぐきの健康を保ち、よく噛んでバランスの良い食事をする。
かかと落とし運動で骨芽細胞を活性化。

監修矢吹 有里 先生 整形外科医として23年間治療に当たる中で閉経後の女性に多い骨粗しょう症による骨折を目の当たりにし、治療と予防を目的としたクリニックを開院。強い骨づくりで健康寿命を延ばし、美しさをアップする「骨美容(R)」を提唱。2021年には「ゆりクリニックスタジオ」を立ち上げ、女性たちに運動の場も提供している。

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