血糖値を下げる方法とは? 基準や高血糖の原因、リスクを分かりやすく解説
「健康診断で血糖値が高いと言われた」「血糖値を下げたいけれど、どうすれば良いの?」など、血糖値に関して悩んでいる方も多いのではないでしょうか? そこで今回は、血糖値の基準値などの基本知識や血糖値が高くなる原因のほか、血糖値を下げる方法について、食事や運動の面で心がけるべきことを詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてください。
1. 血糖値とは?
血糖値とは、血液の中に含まれているブドウ糖(血糖)の濃度のことを指します。血液中のブドウ糖は、もともと食事から摂ったご飯やパン、麺類に含まれる糖質が分解されたものです。そのため食事をすると、血糖値は上がりますが、その後、血液中のブドウ糖は膵臓から出るインスリンの働きによって体の細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。また、このときあまったブドウ糖は、肝臓や筋肉、脂肪に蓄えられ、ブドウ糖が不足したときに供給されるしくみになっています。
このしくみが正常に働いていることで、血糖値が調節され、体の機能が維持されています。健康診断では、主に、「空腹時血糖値」と「HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)」という2つの血糖に関する項目で、このしくみがきちんと働いているかをみています。
血糖値の基準値(目安)
血糖の状態をあらわす数値は、「空腹時血糖値」と「HbA1c」の2つです。
空腹時血糖値は、前の食事から10時間以上経過した状態の血糖値です。血糖値は食事や運動で変動しますが、空腹時血糖値は、食事の影響をうけていない状態で、ブドウ糖を調節するしくみが正常に働いているかがわかります。
HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)は、赤血球のヘモグロビンにブドウ糖が結合している割合を示す数値で、過去1~2ヵ月間の血糖値の状態がわかります。日々の血糖値が高いと、HbA1cは高くなります。
血液検査の結果を見ながら、それぞれの検査値が基準値の範囲内かどうか、以下の表を参考にチェックしてみましょう。
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空腹時血糖値(mg/dL) | HbA1c(%) |
改善の目安 |
| 正常 | 99以下 | 5.5以下 | 現在の生活習慣を維持 |
| 保健指導の対象 | 100〜109 (正常値) |
5.6〜5.9 | 生活習慣の改善 保健指導を活用 |
| 110〜125 | 6.0〜6.4 | 生活習慣を厳密に改善 保健指導で継続的に管理 |
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| 受診+要精密検査 | 126以上 | 6.5以上 | 精密検査による診断が必要 |
| 数値の意味 | 食事の影響がないときの血糖値 血糖を調節する基礎的な働きを示す |
赤血球とブドウ糖が結合している割合 過去1~2ヵ月間の血糖値の平均を示す |
出典:厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト「血糖(糖尿病)」
出典:厚生労働省「特定保健指導の対象」

出典:東京都医師会「糖尿病の判定に関する検査値の扱い方について」を基に作成
空腹時血糖値が高くてもHbA1cが低い場合には、一時的なストレスや生活習慣などの影響の可能性があります。一方、空腹時血糖値は低いもののHbA1cが高い場合には、食後の血糖値が下がりにくく、過去1~2ヵ月間の血糖値が平均的に高いことを示し、血糖値を調節する働きが悪くなっていることがわかります。
このように、血糖値を調節する機能の低下を見落とさないためには、1つの検査値で判断するのではなく、その時点での血糖値(空腹時血糖値)と長期的な血糖状態(HbA1c)の、両方の視点での検査値を組み合わせて評価する必要があるのです。
2. 血糖値が高くなる原因
食事をすると血糖値は上昇しますが、通常はインスリンの働きによって2時間程度で元に戻ります。しかし、糖質の摂り過ぎや運動不足、ストレス、睡眠不足といった生活習慣のほか、遺伝的な体質によって血糖値が高い状態が続く場合があります。遺伝的要因以外は、一時的な場合は空腹時血糖が高くなりやすく、それが継続、慢性化するとHbA1cにも影響が出やすくなります。
ここからは血糖値が高くなりやすい原因について解説しますが、個人差が大きい内容でもあるため、健やかな生活を送るための目安としてください。
糖質の摂り過ぎ
最も大きい原因は、糖質(炭水化物)の摂り過ぎです。糖質は、米、パン、うどんやそばなどの麺類、いも、とうもろこし、果物などに多く含まれています。これらの食品に含まれる糖質を摂り過ぎると血糖値が急上昇し、これが「血糖値スパイク」と呼ばれる状態です。
習慣的に糖質の摂り過ぎが続くと、インスリンを分泌する膵臓に負担がかかり、インスリンの量が不足したり働きが悪くなったりして、血糖値が高くなる原因になります。
糖質の多い食事や食生活の乱れが長期間続くと、空腹時血糖値もHbA1cも高くなる可能性があります。特に、糖質の多い夕食を遅い時間に摂ると夜間の血糖値が高くなり、空腹時血糖値が上昇しやすい状態です。また、糖質の摂り過ぎによって食後血糖値が高い状態が続くと、HbA1cも高くなる傾向があります。
運動不足
運動不足は、血糖値が高くなる原因のひとつです。運動をすると、筋肉はエネルギー源としてブドウ糖を利用しますが、運動不足の場合、血流や筋肉量の低下と合わせて筋肉によるブドウ糖の利用量が減るため血糖値が上がります。また、運動不足や肥満によってインスリンの働きが悪くなることで、血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれにくくなることも血糖値が上がる原因です。
運動不足が続くと、空腹時血糖値やHbA1cが高くなる可能性があります。一時的な運動不足はブドウ糖の利用が減ることで空腹時血糖値が高くなりやすくなります。さらに、運動不足が日常的な場合は食後の血糖値が上がりやすくなり、HbA1cの上昇につながる可能性があります。
ストレスと睡眠不足
ストレスや睡眠不足も、血糖値が高くなる原因になります。食事や運動に気を付けているのに血糖値が高い場合は、ストレスや睡眠不足の影響かもしれません。
ストレスを感じると、脳が危険と認知しアドレナリンやストレスホルモンを分泌して体に必要なブドウ糖をつくるため、血糖値の上昇につながります。また、ストレスが続くとインスリンの働きが悪くなることや、気を紛らわすための甘いものやアルコールの摂取、過食による肥満や腸内環境の悪化なども、血糖値の上昇に影響します。
一方で、睡眠不足は食欲を増進するグレリンというホルモンの分泌を増やし、食欲を抑えるレプチンというホルモンが減ることで、食べすぎにつながり血糖値が高くなる傾向があります。また、睡眠不足でもストレスホルモンが分泌されるため、血糖値の上昇につながります。
このような状態が続くと、空腹時血糖値やHbA1cが高くなる可能性があります。
遺伝的な要因
血糖値の上昇理由のひとつとして、「血糖値が高くなりやすい体質」という遺伝的な要因があることが分かっています。家族で同じ食事をしても自分だけ数値が高い場合は、遺伝的な背景があるかもしれません。主にインスリンの分泌にかかわる遺伝的要因で、一般的に日本人は欧米人と比べてインスリンを分泌する働きが弱いといわれています。
必ずしも同じ体質になるわけではありませんが、家族に糖尿病の方がいる場合はインスリンの分泌が少ない体質を受け継いでいる可能性があります。そのため、健康診断の血糖値の値は特に注意して確認するようにしましょう。
3. 血糖値が高いままだとどうなる?
空腹時血糖値とHbA1cが両方高い場合は、「糖尿病」の疑いがあります。血糖値が高いままだと、口の渇き、多飲(水を大量に飲む)、多尿(尿量が多い)、疲れやすいなどの症状がありますが、気づきにくいことが多いです。
例えば、以下のような症状がある場合は高血糖・糖尿病の可能性があります。
・疲労感
・皮膚が乾燥し痒くなる
・手足の感覚が低下する、または、チクチク刺すように痛む
・感染症によくかかる
・頻尿
・目がかすむ
・性機能の問題
・切り傷などの傷が治りにくい
・空腹感や喉の渇きがひどくなる
また、糖尿病は大きく1型と2型の2つにわけられます。1型は、インスリンをつくる膵臓の細胞が壊れてインスリンが出なくなり、血糖値が高くなる病気です。一方、2型は生活習慣や遺伝的要因などが原因で、インスリンの作用が不足し高血糖が続きます。
糖尿病が進行すると、脳や心臓の血管の病気や、目、神経などに重い合併症を起こす場合もあります。定期的な血液検査の結果に注意し、糖尿病の早期発見、早期治療をすることが大切です。
引用:糖尿病とは?原因と症状(初期症状)| 知りたい!糖尿病
4. 血糖値を下げる3つの方法
血糖値を下げるには、どうしたら良いのでしょうか。厳しい食事制限や運動など、生活習慣を大きく変えるのは大変で、続けるのも簡単ではありません。空腹時血糖値やHbA1cは日々の積み重ねによって変化するため、すぐに結果が現れないこともありますが、毎日のちょっとした心がけが効果を発揮します。ここでは、血糖値を下げる3つの方法をご紹介します。
栄養バランスと水溶性食物繊維を意識した食生活にする

血糖値を下げるには、食事を見直すことが大切ですが、まずは食べすぎに気を付け、腹八分目を目指しましょう。そのうえで、栄養バランスと水溶性食物繊維を意識して摂ることをおすすめします。
栄養バランスの良い食事を摂るためには、できるだけ多くの食品の種類を摂ることを心がけることで、栄養素の種類が増え、自然とバランスが良くなります。主食(米やパンなどの炭水化物)、主菜(肉、魚、卵、豆類などのたんぱく質)、副菜(野菜や海藻、きのこ類の食物繊維)、さらに乳製品や果物を組み合わせて取ることを意識しましょう。
また、水溶性食物繊維を意識して摂ることも大切です。食物繊維には水溶性と不溶性があり、水溶性食物繊維はブドウ糖の吸収を遅らせ、食後の血糖値が上がるのを抑えることで空腹時血糖値とHbA1cが下がるといわれています。食物繊維の摂取目標量は、成人男性20g以上、成人女性18g以上とされており、そのうちの1/3(約6~7g)を水溶性食物繊維で摂ることがすすめられています。
水溶性食物繊維を多く含む食品は以下のとおりです。
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水溶性食物繊維を |
水溶性食物繊維の 含有量(100g中) |
上段)1食の量 下段)水溶性食物繊維の量 |
| キクラゲ(生)油いため | 2.4g | 1食50g 1.2g |
| 蒸し大豆 | 2.3g | 1食50g 1.15g |
| ドライトマト | 6.4g | 1食20g 1.28g |
| ごぼう | 2.3g | 1食40g(中約1/4) 0.92g |
| 納豆 | 2.3g | 1食50g(四角1パック) 1.15g |
水溶性食物繊維が豊富に摂れるおすすめのメニュー例をご紹介します。ぜひ試してみてください。
<キクラゲとトマトの卵炒め>
水溶性食物繊維の豊富なキクラゲを、プリッとした食感を残して炒め、ふんわり火を通した卵と酸味のあるトマトを合わせて、オイスターソースなどで中華風に仕上げるメニューです。
卵からたんぱく質、トマトからビタミン類を摂ることができ、1人前生キクラゲ50gから約1.2g(1日必要量の約20%)の食物繊維を摂ることができます。
<蒸し大豆とひき肉のカレー>
便利なレトルトの蒸し大豆を利用し、うま味豊富なきのこ類をたっぷり使った、お手軽なひき肉カレーのメニューです。
豚ひき肉と蒸し大豆からたんぱく質、蒸し大豆(50g)、ドライトマト(20g)、なす(1/2本(約45g))、きのこ類(しめじ1/4パック(約30g)、まいたけ1/4パック(約30g)から、水溶性食物繊維を約2.7g(1日必要量の約40%)摂ることができます。
よく噛む習慣と栄養バランスを意識する

血糖値を下げるには、よく噛む習慣と栄養バランス、食べる順番やタイミングを意識すると効果的です。
よく噛む習慣を心がけることで消化吸収を助け、血糖値の上昇を抑えたり、満腹感が得られ、食べ過ぎを防ぐことができたりするなどのメリットがあります。
・1回の食事を最低15分以上かけてゆっくり食事をする
・一口を少量にして全体の回数を増やす
・1口で噛む回数を5回増やす
・噛み応えのあるものを食べる
などがおすすめです。
さらに、野菜から食べ始めることで、食後の血糖値の上昇が抑えられることがわかっています。次の①から③の食べる順番を意識しましょう。
①野菜、海藻、きのこ類、こんにゃく
食物繊維が豊富で、糖質の吸収を抑える食材のため、食後の血糖値の上昇を抑えることができます。
②魚介、肉、卵、大豆と大豆製品、牛乳(チーズを除く)、乳製品
たんぱく質や脂質は、インクレチンというインスリンの分泌を促し胃の運動を抑えるホルモンを出すため、血糖値の上昇を抑えることができます。
③穀類、芋、豆(大豆を除く)、果物
食物繊維やたんぱく質・脂質を先に摂ることで、血糖値が上がりにくい体内環境がつくられているため、糖質を摂っても血糖値の上昇が抑えられます。
食事をとるタイミングを工夫することも大切で、夕食が遅い時間になる場合は夕方早い時間におにぎりやサンドイッチなどの軽食を済ませ、帰宅後には「おかず」だけにします。食事を2回にわけることで、帰宅後の血糖値の急上昇や食べ過ぎを抑えることができます。夕方遅い時間の間食は、夜間の血糖値が高くなるため避けます。昼食後のデザートや、外出前、運動前が良いでしょう。
適度な運動を行う

食後30分から2時間の間に運動をすると、血液中の糖が筋肉へ運ばれエネルギーとして使われるため、食後高血糖を抑える効果があります。さらに、空腹時血糖値もHbA1cも下がる可能性があります。例えば、朝食後に掃除をする、昼食は少し遠めの店まで歩く、夕食後に犬の散歩をするのも良いでしょう。特別な運動でなくても、日常の身体活動を増やすだけで効果があります。テレワークなどで屋内にいる時間が長い場合は、室内を歩いたり、簡単なストレッチをしたりしてみましょう。
なお、厚生労働省が、国民の健康増進に関する基本的な方向や目標を定めた「健康日本21 (2次) 」では、年齢や性別ごとに、1日当たりで目標とする歩数が下記のように記載されています。
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年齢 |
性別 | 目標の歩数 |
| 20〜64歳 | 男性 | 9,000歩 |
| 女性 | 8,500歩 | |
| 65歳以上 | 男性 | 7,000歩 |
| 女性 | 6,000歩 |
いきなり目標の歩数まで毎日歩くのは難しく、三日坊主になりかねません。また、ひざなどに負担が大きくケガの原因になることも少なくありません。まずは、歩数にかかわらず10分歩くことなど、小さな目標から始めてみましょう。
5. 低過ぎる血糖値も危険! 低血糖のリスク
ここまで、高血糖の危険性などを説明してきましたが、血糖値が低くなり過ぎる「低血糖」にも大きなリスクがあります。
血糖値が70mg/dL未満を低血糖といい、動悸、発汗、手指の震え、顔色が悪くなる症状が起こります。50mg/dL程度になると、頭痛、目のかすみ、生あくびなどが起こり、さらに下がると意識が朦朧(もうろう)としてけいれんが起こり、意識不明に陥ると命にかかわることもあります。
健康な場合はあまり低血糖になることはありませんが、間違った食事制限や過度な運動には注意が必要です。低血糖の症状に気づいた場合には、砂糖やブドウ糖の入ったあめや飲みものを飲み応急処置をするか、必要であれば救急車を呼んでください。また、低血糖を繰り返さないように、早急に生活習慣を見直すことをおすすめします。
6. まとめ
血糖値が高くなる主な原因には、糖質の摂り過ぎ、運動不足、ストレスや睡眠不足、遺伝的な体質などがあります。高血糖が続くと糖尿病や合併症のリスクも高まるため、空腹時血糖値やHbA1cの値に注目して、高い場合には早い段階から生活習慣改善などの対処をする必要があります。栄養バランスや食物繊維の多い食事、適度な運動を心がけるなど、できることから見直して、血糖値の管理に役立てましょう。



