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カルシウムは、人の体の中に最も多く存在するミネラルで、乳製品や大豆製品から多く摂取できます。健康のためにはカルシウムだけではなく、さまざまな食品を組み合わせてバランスよく栄養素を摂取することが大切です。

この記事では、カルシウムの特徴や推奨量、カルシウムを多く含む食品、効率よく摂取するポイントなどを詳しく解説します。

さらに、カルシウムを手軽にとり入れられる家庭料理のレシピもご紹介します。主菜や副菜、ヘルシーなおやつまで、毎日の食事にとり入れやすいメニューを揃えました。


 1. カルシウムとは

カルシウムは人体の中に最も多く存在するミネラルです。

体重の12%を占めており、50kgの成人で約1kgものカルシウムが体内に存在するのです。そのうちの99%は骨や歯にヒドロキシアパタイト(カルシウムとリン酸を主成分とする無機物質)として存在し、骨や歯の形成に必要な栄養素です。

最も多く存在するということは、それだけ体の中で使われる機会も多いということです。

カルシウムが不足すると、健康に影響をおよぼすため、適量つまり推奨量を摂取することが大切です。カルシウムを多く含む食品や、より良い摂取方法は後述するので、ぜひ参考にしてください。

 2. カルシウムの1日の摂取目安量

カルシウムは年齢や性別によって必要量が異なり、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版) 」では、以下のように策定しています。

1日の推奨量(mg

年齢

男性

女性

89

650

750

1011

700

750

1214

1,000

800

1517

800

650

1829

800

650

3049

750

650

5064

750

650

6574

750

650

75歳以上

750

650

*出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」


カルシウムは、成長期の10代の推奨量が特に高くなる栄養素です。3070代の男性は1日に750mg、15歳以上の女性は650mgが推奨量であることがわかります。一方で、具体的な量がピンとこない方もいるかもしれません。

以下にカルシウムを多く含む食品と含有量を紹介するので、推奨量とあわせて覚えておくと良いでしょう。

 3. カルシウムを多く含む食品は?

カルシウムは、関心をもって摂取しなくていけない栄養素のひとつです。乳製品や小魚などが大切な給源となっています。

さらに、ひとつの食品に限定せずに複数の食品をバランス良く食べると、カルシウム以外の栄養素の摂取にもつながります。紹介する内容を参考に、さまざまな食品をとり入れましょう。

この項目では、カルシウムを多く含む食品を以下の分類ごとに解説します。

  • 乳製品
  • 葉野菜(特に緑色の葉野菜)
  • 海藻
  • 小魚
  • 大豆製品


カルシウムを多く含む食品①:乳製品

カルシウムといえば、牛乳やチーズをイメージする方が多いのではないでしょうか。牛乳を原料とする乳製品は、カルシウムが豊富に含まれており、体への吸収率も高い食品です。

主な乳製品のカルシウム含量は以下のとおりです。

食品

100g当たりの含有量(mg)

チェダーチーズ

740

プロセスチーズ

630

モッツァレラチーズ

330

生乳

140

ヨーグルト

140

*出典:文部科学省「食品成分データベース」

乳製品は調理をせずに摂取できるものも多いため、手軽にとり入れやすい食品です。

しかし、牛乳はにおいが苦手で飲めない人もいるかもしれません。もし牛乳のにおいが苦手な場合は、冷やすか温めて飲む方法がおすすめです。人肌程度の温度では、においをより感じやすくなるため、温めるときは熱めにしましょう。

カルシウムを多く含む食品②:葉野菜

カルシウムは一部の緑色の葉野菜からも摂取できます。

葉野菜のうち、カルシウムを多く含む食品は以下のとおりです。

食品 100g当たりの含有量(mg)

かぶの漬けもの

240

茹でた大根葉

220

茹でた小松菜

150

ほうれん草の油炒め

130

チンゲン菜

100

*出典:文部科学省「食品成分データベース」

大根葉や小松菜、ほうれん草は生の方がカルシウムは豊富ですが、生では食べにくさもあるため、調理して摂取すると良いでしょう。

カルシウムを多く含む食品③:海藻

乳製品に比べると吸収率が低くなりますが、海藻類にもカルシウムが含まれます。

海藻類にはカルシウムだけでなく、食物繊維やミネラル、ビタミンも豊富に含まれるため、健康のために摂取してほしい食品です。

カルシウムを多く含む食品は以下のとおりです。

食品

100g当たりの含有量(mg)

焼き海苔

280

昆布の佃煮

150

寒天

120

干しひじき

90

わかめ

70

*出典:文部科学省「食品成分データベース」

海藻はそのまま食べるのは難しいものが多いため、佃煮や和え物にして食べるのがおすすめです。

焼き海苔は手軽に食べられ、おにぎりやお弁当にとり入れやすい食材として人気があります。ひじきは煮ものや炒め物、わかめは味噌汁の具材として日常的に使用しやすい食品の代表といえるでしょう。

カルシウムを多く含む食品④:小魚

乾燥して丸ごと骨まで食べられる小魚はカルシウムを多く含みます。煮干しやしらす干しは食べやすい食品のため、普段の食事量が減っている場合には積極的に摂取してください。

小魚のうち、カルシウムを多く含む食品は以下のとおりです。

食品

100g当たりの含有量(mg)

かたくちいわしの煮干し

(ちりめんじゃこ)

2,200

さくらえびの煮干し

2,000

しらす干し
(半乾燥品)

520

焼きししゃも

380

*出典:文部科学省「食品成分データベース」

小魚は、カルシウムだけでなくDHAEPAも豊富に含んでいます。

煮干しは出汁としても活用でき、残った出汁殻も佃煮にすれば丸ごと食べられるのが特徴です。しらす干しは丼や炒め物、サラダのトッピングとしても使いやすく、焼きししゃもは食卓のおかずとして親しまれています。

カルシウムを多く含む食品⑤:大豆製品

大豆製品と言えば、たんぱく質を多く含むイメージが強いかもしれませんが、実はカルシウムも多く含んでいます。カルシウムの吸収率は乳製品の次に高いことも特長です。

大豆製品のうち、カルシウムを多く含む食品は以下のとおりです。

食品

100g当たりの含有量(mg)

油揚げ(焼き)

320

おから

310

がんもどき

270

きな粉

190

木綿豆腐

93

糸引き納豆

90

絹ごし豆腐

75

*出典:文部科学省「食品成分データベース」

油揚げは味噌汁の具材や煮もの、焼き物などさまざまな料理に活用でき、おからはハンバーグやコロッケの具材として使えます。

きな粉は牛乳や豆乳に入れたり、餅やわらび餅にかけたりと、デザートとしても楽しめるでしょう。豆腐は和洋中さまざまな料理に使える万能食材で、毎日の食事にとり入れやすいのが特徴です。


 4. カルシウムを摂取する際のポイント

カルシウムを効率良く摂取するためには、以下のポイントを押さえると良いでしょう

    • ビタミンDを一緒に摂取する
    • 一度に摂取しようとせず毎食バランスよくとり入れる
    • カルシウムの吸収を妨げる食品の摂り過ぎに気をつける

ビタミンDを一緒に摂取する

摂取したカルシウムを効率良く吸収するために、ビタミンDは必須の栄養素です。ビタミンD不足の状態では、カルシウムの吸収率が低下してしまいます。ビタミンDはきのこ類や魚類に多く含まれているため、カルシウムを含む食品と合わせて摂取しましょう。

また、カルシウムを効率良く摂取するためには、カルシウムの吸収率も大切です。カルシウムを多く含む食品の項目でも解説したように、吸収率の高い食品は乳製品や大豆製品です。

一度に摂取しようとせず毎食バランスよくとり入れる

カルシウムの体内への吸収は主に小腸で行われますが、成人の場合その吸収率は2030%程度にとどまることがわかっています。

また、体内では活性型ビタミンDや各種ホルモンの働きにより、血液中のカルシウム濃度が一定に保たれるしくみが備わっています。そのため、一度に大量のカルシウムを摂取しても効率的な吸収は望めません。毎食バランスよくとり入れることで、着実な吸収が期待できるのです。

カルシウムの吸収を妨げる食品の摂り過ぎに気をつける

カルシウムを多く含む食品を意識して摂取しても、吸収を妨げる食品を一緒に過剰に摂取していると、効率良く体に吸収できない可能性があります。

カルシウムの吸収を妨げるのは、リンを多く含む食品です。リンはインスタント食品やスナック菓子などに多く含まれているため、摂りすぎには注意しましょう。

また、カルシウムをほとんど含まない食品も知っておくと日々の食生活の参考になります。肉類や米・麦などの穀類、果物にはカルシウムがほとんど含まれていません。

しかし、たんぱく質やビタミンなど、そのほかの栄養素は摂れるため、バランス良くさまざまな食品を摂取しましょう。


5.カルシウムを多くとり入れられるレシピ

カルシウムを効率よく摂取できる、おすすめの家庭料理をご紹介します。主菜となるメイン料理からおやつまで、バラエティ豊かなレシピを揃えました。

どれも手軽に作れて栄養たっぷり。毎日の食事にとり入れやすいレシピのため、ぜひおためしください。

鮭ときのこのクリームシチュー

カルシウムとビタミンDを同時に摂取でき、彩り豊かな野菜も一緒に楽しめる栄養豊富な一品です。

【材料2人分】(カルシウム含量:約400 mg)

  • 生鮭 2切れ(160g
  • 玉ねぎ 1/2個(75g
  • にんじん 1/2本(75g
  • じゃがいも 中1個(75g
  • ブロッコリー 1/2株(15g
  • まいたけ1/2パック(50g
  • しめじ 1/2パック(50g
  • 牛乳 (300ml
  • バター (10g
  • 小麦粉 小さじ26g
  • コンソメ 小さじ1(3g)

【作り方】

    1. 鮭は一口大にきり、塩こしょう(分量外)をふっておく
    2. 玉ねぎは、にんじんとじゃがいもは一口大にきる
    3. ブロッコリーは小房にわけ、固めに下ゆでする
    4. きのこ類はほぐしておく
    5. フライパンにバターを溶かし、鮭を皮目から焼く
    6. 鮭の両面に焼き色がついたら、玉ねぎ、にんじん、じゃがいもを加えて炒める
    7. 野菜がしんなりしてきたらきのこを加え、さらに炒める
    8. 全体に小麦粉を振り入れ、粉っぽさがなくなるまで炒める
    9. 牛乳を少しずつ加え、コンソメを入れて中火で23分煮る

チンゲン菜とちりめんの中華炒め

カルシウムたっぷりのちりめんじゃこと相性抜群のチンゲン菜を組み合わせた、手軽に作れる副菜メニューです。ちりめんじゃこの塩味と野菜の甘味が絶妙なバランスで、ご飯のおかずにぴったりです。

【材料4人分】(カルシウム含量:約760 mg)

  • チンゲン菜 3株(320g
  • ちりめんじゃこ 大さじ420g
  • 鶏ガラスープの素 大さじ2/35g
  • 片栗粉 小さじ13g
  • ごま油 小さじ28g

【作り方】

  1. チンゲン菜は根もとと葉をわけて、食べやすい大きさにきる
  2. フライパンにごま油を熱し、チンゲン菜の根もとから炒め始める
  3. 根もとがしんなりしてきたら葉の部分も加える
  4. 全体がしんなりしてきたら、ちりめんじゃこを加えて炒める
  5. 鶏ガラスープの素を加えて全体を混ぜ合わせる
  6. 水溶き片栗粉を回し入れ、トロミをつける

豆腐のドーナツ

カルシウム豊富なスキムミルクと豆腐を使用した、罪悪感なく楽しめるヘルシーなドーナツです。砂糖不使用でも、豆腐の自然な甘味が活かされたやさしい味わいに仕上がります。

【材料6個分】(カルシウム含量:約540 mg)

  • 木綿豆腐 (150g
  • ホットケーキミックス (200g
  • スキムミルク 大さじ318g
  • 揚げ油 適量
  • きな粉(アレンジ用) 適量

【作り方】

  1. 木綿豆腐はキッチンペーパーで包み、軽く水けをきる
  2. ボウルにホットケーキミックスとスキムミルクを入れる
  3. 水けをきった豆腐を手で細かく崩しながら加える
  4. 生地が均一になるまでよく混ぜ合わせる
  5. 6等分にして丸め、真ん中に指で穴をあける
  6. 170度の油でこんがりときつね色になるまで揚げる

【アレンジポイント】

  • 生地に黒ごまを混ぜ込むと、香ばしさがアップ
  • きな粉や黒ごまをココアパウダーに変えると洋風な仕上がりに

6.バランスよくカルシウムを摂取しよう

カルシウムの推奨量や多く含む食品、効率よく摂取するポイントはご理解いただけましたでしょうか。

カルシウムは体内に最も多く存在するミネラルです。小魚、海藻や葉菜にも多く含まれていますが、体への吸収率が高いのは乳製品や大豆製品です。

しかし、小魚、海藻や葉菜をとり入れることで、バラエティが高くかつ栄養バランスが良い食事を続けることができます。

まずは日々の食生活の中で、カルシウムを意識的に摂取しましょう。


監修柴田 克己(しばた かつみ)

京都大学大学院博士課程修了。帝国女子大学、滋賀県立大学、甲南女子大学に勤務。文部科学省学校給食摂取基準策定に関する調査研究者協力会議委員、日本人の食事摂取基準策定委員会委員(2005年版、2010年版、2015年版、2020年版)、滋賀県食の安全・安心審議会会長などを歴任。現在、滋賀県立大学名誉教授、藤田医科大学客員教授、ビタミンB研究委員会顧問、ビタミン・バイオファクター協会監事など。 *専門家が、特定の商品を推奨しているわけではありません。



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