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 1. 大豆イソフラボンとは? 

大豆イソフラボンとは、大豆の胚芽部分に多く含まれる成分で、強い抗酸化作用のあるポリフェノールの一つです。大豆イソフラボンには、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインの3種類があり、いずれも化学構造が女性ホルモンのエストロゲンと似ていることから、植物性エストロゲンと呼ばれます。そのため、大豆食品を食べて消化吸収されると、大豆イソフラボンがエストロゲンと似た働きをすることがわかっています。


 2. エクオールとの違い 

エクオールは、更年期の女性をサポートする成分のひとつで、大豆イソフラボンが体内で変化してできる成分です。この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。

エクオールは、大豆イソフラボンのひとつであるダイゼインが、数種類の腸内細菌(エクオール産生菌)によって代謝されて産みだされる成分で、ダイゼインよりもエストロゲン様作用が強いという違いがあります。

しかし、日本人女性の約半数はエクオール産生菌を持っていないといわれており、大豆イソフラボンをとってもエクオールをつくれません。その場合、大豆イソフラボンをとってもダイゼインのまま吸収されるため、エクオールをつくれる人よりも、エストロゲン様作用は穏やかといえるでしょう。


 3. 大豆イソフラボンの役割や働き 

大豆イソフラボンには、どのような役割や働きが期待できるのでしょうか。

女性ホルモン(エストロゲン)の働きを補う

更年期には、ほてり、のぼせ、発汗、ドキドキ感、頭がすっきりしない、冷え、倦怠感、意欲低下、イライラ感、睡眠の質の低下などに悩まされる方も多く、日常生活に支障が出ることがあります。これは、卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌が減少することが原因です。

大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た作用を生じるため、更年期には大豆イソフラボンを積極的にとることで、不足したエストロゲンの働きを補うことが期待できます

骨の代謝をサポートしてくれる

骨密度が低下し骨折のリスクが高まる骨粗鬆症の患者数は、女性が男性の3倍多く、60代女性では5人に1人、80代女性では2人に1人といった調査データがあります。

なぜ高齢女性に多いのかというと、古い骨が壊され新しい骨がつくられるという骨の代謝に、エストロゲンが関わっているからで、閉経後にエストロゲンが減少すると、骨の代謝のバランスが崩れて新しい骨をつくるスピードが間に合わなくなり、骨密度の低いもろい骨となってしまうのです。

大豆イソフラボンは減少したエストロゲンの働きを補うことで、骨の代謝をサポートし、骨の健康を維持する効果が期待できます。

※参照:公益財団法人 骨粗鬆症財団「数字でみる骨粗しょう症」

肌や髪の健康維持に関わる

年齢を重ねると、肌のハリがなくなり、ほうれい線が気になってきたと感じる方も多いと思います。また、髪のつやが失われたり薄毛が気になったりすることもあるでしょう。これは加齢によるものもありますが、女性ホルモンのエストロゲンの減少が大きく影響しています。

エストロゲンは肌の弾力や潤い、髪の健康に関与しているため、年齢とともに不足しがちなエストロゲンを意識することが大切です。大豆イソフラボンを積極的に摂り入れることは、肌や髪の健康維持も期待できます。


 4. 大豆イソフラボンの摂取量の目安 

大豆イソフラボンは、むやみにたくさんとっても効果が増すわけではありません。また、健康を求めて大豆イソフラボンをとっているつもりでも、とり過ぎると健康被害の可能性があることから、目安となる摂取量の上限が設定されています。以下に、「1日の目安量の上限」と「サプリメントで上乗せする場合の上限」をご紹介します。

安全に摂取できる1日の目安量の上限

大豆イソフラボンを1日に安全に摂取できる目安量の上限は、70~75mg(アグリコン換算)です。これは、長年大豆食品を食べてきた日本人の食経験に基づいた安全な量と、臨床研究の結果から設定されています。

サプリメントで上乗せする場合の上限 

日常的に大豆食品をとっている方が、大豆イソフラボンをサプリメントで追加する場合には、臨床試験の結果から1日30mg(アグリコン換算)が上限です。1日30mgまでであれば、日常の食生活にサプリメントで上乗せしても、安全に摂取できる目安量の上限の1日75mgを超えないと考えられています。

※アグリコン換算について
食品中の大豆イソフラボンは糖と結びついた形で存在していますが、腸内細菌によって分解され糖が切り離されると、アグリコンという形になり吸収されます。食品中の大豆イソフラボンの量や摂取量は、体内に吸収されたアグリコンの量に換算して表します。


 5. 実際に摂取できている大豆イソフラボンはどれくらい? 

実際に摂取できている大豆イソフラボンの量は、平成14年2002年国民健康・栄養調査によると、日本人の約半数の方は16~18㎎で、大豆イソフラボンの摂取目安量の上限である75㎎と比較して、4分の1にも満たないことが分かっています。もちろん、大豆イソフラボンを上限に近いほど摂取されている方もいますが、全体の5%に過ぎません。

大豆イソフラボンの元となる大豆食品の摂取量は、2004年以降1日に50~60gで推移しており、全体として大きな変化はありません。ただ食の欧米化にともない、40歳未満の若い方では大豆食品を食べる機会が減っており、高齢者に比べて少ない傾向にあります。そのため、若い世代の方がとっている大豆イソフラボンの摂取量は、さらに少ないと考えられます。

※大豆イソフラボンアグリコン摂取量(換算値)(1日の大豆食品の摂取量と各種大豆食品中の大豆イソフラボン含有量から算出)


 6. 大豆イソフラボンの摂りすぎはNG? 

前述の大豆イソフラボンの摂取目安量の上限の70~75mgは、長期間毎日摂取した場合の平均値としての上限のため、上限を超えた日があってもすぐに健康に影響が出るわけではありません。

ただ、例えば朝豆乳を飲んだうえに、3食とも納豆を食べ、毎晩豆腐を1パックずつ食べるという生活を何年も続けるのは、NGといえるでしょう。

豆乳:コップ1杯半(1杯200g)=24mg
納豆:3パック(1パック50g)=110.25mg
豆腐:豆腐350g約1パック=20.3mg
ーーー
154.55mgを1日で摂取することになるので、1日の目安量を超えてしまいます。

また、大豆イソフラボンをサプリメントで長期にわたって摂り過ぎるのもNGです。大豆イソフラボンには、エストロゲンと似た作用があるものの、摂り過ぎると女性ホルモンのバランスが崩れて健康に悪い影響が出る可能性があるからです。

例えば、閉経女性が大豆イソフラボン1日150mgを5年間摂ったところ子宮内膜増殖症が発症したという報告があります。一方、3年間では子宮内膜増殖症は報告されなかったことから、直ちに健康被害に結びつくわけではないようです。そのほか、閉経前女性の月経期間の延長や男性の乳房が膨らむ女性化乳房などが報告されています。


 7. 大豆イソフラボンが含まれている食品例 

大豆イソフラボンを多く含む代表的な食品として、納豆、豆腐、豆乳があります。毎日の食事に取り入れている方も多く、大豆イソフラボンの含有量は心得ておきたいものです。

例えば、納豆と豆腐の100g中に含まれる大豆イソフラボンと目安量は以下のとおりです。

・納豆

100g中に「65.6~81.3㎎」の大豆イソフラボンが含まれている。
50g入りのパックの場合、2パックで1日に安全に摂取できる目安量の上限は70~75mg
・豆腐
100g中に「17.1~24.3㎎」の大豆イソフラボンが含まれている。
350g入りのパックの場合、約1パックで1日に安全に摂取できる目安量の上限は70~75mg

また、豆乳は大豆を水と蒸してすりつぶした物を濾した後の乳状の液で、濾した物はおからです。「無調整豆乳」と「調整豆乳」があり、大豆固形分の割合が高いほど大豆イソフラボンも含めた栄養成分も多くなります。

・無調整豆乳
絞った乳状の液に水分だけを加えたもので、大豆そのものの味を感じることができる。大豆固形分が8%以上含まれている。
・調整豆乳
砂糖や食塩、植物油脂、香料を加えて飲みやすくしたもの。大豆固形分は6%以上含まれている。

メーカーや製品によって、大豆イソフラボンの含有量は100g中に7.6~59.4㎎と幅があり、平均24㎎含有されているとすると、コップ1杯半(200g)程度で1日に安全に摂取できる目安量の上限70~75mg*になります。

大豆製品をあまり食べない方や、食が細く食品から十分な量の大豆イソフラボンがとれない方は、サプリメントで補うのも良いでしょう。

以下に大豆イソフラボンを多く含む食品と、75mgをとるために必要な分量を一覧にしてご紹介します。

75mgの大豆イソフラボンを摂るために必要な食品とその量(アグリコン換算量)

食品名

(調査に使用した検体数)

含有量
(mg/100g ) 
 平均含有量
(mg/100g )

75mg摂取に

必要な量(g)

食品の分量目安
黄粉
(2検体)
211.1~321.4 266.2

28.2 

大さじ4杯
(大さじ1約7g)

凍り豆腐
(1検体)
88.5 88.5 84.7  5枚
(1枚17gのもの)
納豆
(2検体)
65.6~81.3 73.5 102.0  2パック
(1パック50g)
煮大豆
(3検体)
69.0~74.7 72.1 104.0  大豆水煮2/3袋
(1袋150g)
味噌
(8検体)
12.8~81.4 49.7 150.9  みそ汁約9杯
(1人前味噌17g)
油揚げ類
(3検体)
28.8~53.4 39.2 191.3   薄揚げ約3枚
(1枚60g)
豆乳
(3検体)
7.6~59.4 24 312.5 

コップ1杯半

(1杯200g)

豆腐
(4検体)
17.1~24.3 20.3 369.5 

豆腐350g

約1パック

出典:厚生労働省「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」



 8. 大豆イソフラボンを摂取する際の注意点 

大豆イソフラボンを上手に摂取する際には次の点に注意しましょう。

バランスよく食べること

大豆や大豆食品は、低脂肪で良質な植物性たんぱく質源であり、不足しがちな食物繊維、ミネラル、ビタミンなどが摂れる有用な食品です。しかし、大豆食品ばかり摂っていては、栄養が偏り健康的な食事とはいえません。大豆や大豆食品(例えば、豆腐や納豆、味噌など)をうまく取り入れながら、多くの食品を使ったバランスの良い食事を摂ることが、健康につながります。

また、大豆イソフラボンの摂り過ぎを心配して、大豆食品を避けようと考えてしまう方もいるかもしれません。しかし、前述でも説明したように、すぐに健康に影響がでるわけではなく、通常の食生活においては摂りすぎるといったことになる可能性は低いです。そのため、大豆食品から大豆イソフラボンを摂る場合には、健康への影響を心配する必要はありません。

妊娠中や乳児の過剰摂取量に気をつける

妊娠中の方(妊娠の可能性のある方を含む)や乳児・小児は、通常の食生活に上乗せして、大豆イソフラボンのサプリメントを摂ることはすすめられません。

妊娠中の方が大豆イソフラボンを摂ると胎盤を通じて、胎児に移行することが分かっていますが、胎児への影響は明らかになっていないからです。

また、乳児や小児も、安全性が明確でないため、通常の食生活に上乗せして大豆イソフラボンを摂ることはすすめられません。


 9. まとめ 

更年期の女性のさまざまな悩みをサポートする成分として、大豆イソフラボンやエクオールが注目されています。大豆や大豆食品から日常の食生活でとることができ、日本人の健康をサポートする栄養成分ともいえます。大豆イソフラボンは、大豆の胚芽に含まれる栄養成分で、強い抗酸化作用のあるポリフェノールの一つのため、エストロゲンの低下に伴う更年期には積極的にとりたい栄養成分としておすすめです。

大豆イソフラボンを大豆食品などからとることは、長い経験から健康に影響がないことは知られていますが、とり過ぎには注意が必要です。1日の摂取量の目安や、通常の食事にサプリメントとして上乗せして摂取できる上限をしっかりと把握し、サプリメントを利用する場合には、製品に記載してある大豆イソフラボンの量に注目しましょう。

また、大豆イソフラボンをとる場合には、その量だけに注目するのではなく、大豆や大豆食品を上手に食生活に取り入れ、バランスよく食べることが健康につながります。ただ、食習慣から大豆や大豆食品をあまりとらない方、食が細い方、更年期以降のエストロゲンの低下の影響が気になる方などは、大豆イソフラボンをサプリメントとしてとることは、健康のサポートにつながることが期待できます。

執筆・監修小谷 敦子 薬剤師、医療系ライター

薬剤師の知識と経験に基づき、多方面の領域に対して豊富な実績を有する医療系ライター。ウェブや冊子で医療や薬物療法を一般の人にも分かりやすく解説。美容と生活習慣病予防を目的とした食事療法や運動療法などを踏まえたダイエット法を提唱。

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