子育てTips ママ・パパ

1. 産後の抜け毛はいつからいつまで?

産後の抜け毛は分娩(出産)後脱毛症といわれ、出産した女性の多くが経験するといわれています。

「抜け毛が増えてきた」と自覚する時期に個人差はありますが、一般的に産後2~3か月頃が多く、その後4~6か月頃でピークを迎えます。ピークを迎えた後は新しい髪が生えてくるため、産後6か月~1年程度で抜け毛がおさまったと感じるでしょう。

産後の抜け毛は異常なことではありません。時間がたつにつれて、抜け毛の量や薄毛は自然に改善していくので、安心してくださいね。


2. 産後の抜け毛の原因5つ

産後に抜け毛が起こる原因はさまざまです。その中でも主な5つの原因について説明します。

妊娠・出産によるホルモンバランスの変化

妊娠中は女性ホルモンの「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が通常よりも多く分泌されている状態です。プロゲステロンは妊娠を維持するだけではなく、髪の成長を保持する働きがあります。エストロゲンは、妊娠の準備と維持をする働きのほかに、髪の成長を促す働きがあります。

出産後はプロゲステロンやエストロゲンが急激に減少してしまうため、妊娠中に抜けなかった髪が一度に多く抜けてしまうことがあるのです。

育児による睡眠不足

生まれたばかりの赤ちゃんは神経系が未熟なため、昼夜問わず1回の睡眠は1~2時間程度になることが多いようです。少しずつ昼夜のリズムはついてきますが、1歳を迎える頃までは、夜間に何度も起きて赤ちゃんのお世話をするという生活が続きます。

しかし、髪をつくる成長ホルモンは、入眠後3時間の深い眠りの時間帯に分泌されるといわれています。出産後しばらくは、睡眠時間を十分に確保することが難しく、睡眠不足になることもよくあるため、産後の抜け毛を招きやすくなるのです。


妊娠中のつわりや母乳による栄養不足

妊娠中のつわりや偏食が長く続いた場合や、出産後の慣れない生活リズム・育児の忙しさなどが原因で、食生活がみだれがちです。栄養バランスの良い食事を摂ることが難しくなると、髪の成長が妨げられます。

母乳育児が産後の抜け毛や薄毛の原因であるという明確な根拠はありません。しかし、ママが摂取した栄養は母乳を通じて赤ちゃんに届けられるため、産後のママは栄養不足になりやすい状態です。

産後のストレス

出産は女性の体に大きな負担をかけます。さらに、出産後すぐに育児が始まるため、慣れない育児と生活リズムの変化で心身ともにストレスを感じることが多くなります。

ストレスは自律神経をみだし交感神経を優位にしてしまうため、全身の血管が収縮してしまいます。髪の毛は皮下の細い血管を通じて栄養補給をしているため、ストレスを受けることで血流不足になり髪のダメージにもつながってしまうのです。

産後のダイエット

出産したからといって、すぐに妊娠前の体形・体重には戻りません。そのため、産後の変化に不安を感じる方もいるでしょう。しかし、産後に無理なダイエットをしてしまうと、栄養不足を招き、産後の抜け毛を助長させる原因になってしまいます。


3. 抜け毛の時期に気を付けたいこと

産後の抜け毛は個人差がありますが、出産を経験した多くのママが経験するものです。自然に起こる現象なので、あまり心配する必要はありません。しかし、抜け毛による見た目の変化や症状悪化が心配な方は、少しでも症状を防ぐために産後の抜け毛の対策をすることをおすすめします。

できる範囲で睡眠をしっかりとる

睡眠は髪をつくるのに必要な成長ホルモンの分泌を促し、ストレスを軽減する効果があります。とはいえ、産後しばらくは、夜間授乳や夜泣きなどで、まとまった睡眠時間をとることが難しい時期です。

一度に長時間の睡眠が難しい場合は、時間をみつけて昼寝や仮眠をとることを意識しましょう。緊急性の高い家事以外は後回しにしたり、まわりに頼ったりすることも大切です。

また、わずかな時間でも睡眠の質を向上させることも重要です。しっかり休める寝具で寝る、部屋の照明を落とす、就寝前のスマートフォンやテレビは控えるなどして短時間でも心身を休めることを意識しましょう。

栄養をバランスよく摂る

産後は、母体の回復や母乳のためにより多くの栄養が必要になります。また、生活リズムの変化や育児に追われることで食生活が不規則になりがちです。食生活がみだれ栄養が偏ってしまうと、髪の成長を妨げてしまいます。産後の抜け毛対策には、髪の毛に十分な栄養を届けることが大切です。

特に、髪の毛の主成分であるたんぱく質の授乳期推奨量は、非妊娠時に比べ20gも多い1日70gです。これは目安として毎食、お肉や魚、大豆製品や乳製品など、たんぱく質を多く含む食品を摂取することで達成できる量になります。そのほかにも、髪の毛の成長を助ける働きを持つ栄養素には、亜鉛、鉄分、ビタミン類があります。

1食分のバランスの良い食事の目安としては、主食、主菜、副菜の揃った食事がありますが、1日に主食、主菜、副菜の揃った食事が2食以上摂れた場合、栄養素摂取量がより適正となることが報告されています。3食は難しくても、少し余裕があるときには栄養バランスの良い食事にも挑戦してみてください。

無理な食事制限はせず、産後体操や骨盤ケアなどを取り入れながら、少しずつ体のメンテナンスを行なうことが大事です。

ストレスケアを行なう

健康な髪を保つためには、ストレスを溜め込まないことが大切です。育児中はどうしてもストレスが溜まりがちですが、適度にストレスを発散することを心がけましょう。そのためには、自分で何もかも抱え込むのではなく、まわりの家族や友人、第三者のサービスに頼ることも必要です。一人の時間をつくる、運動をする、趣味の時間をもつなど、自分にあったストレスケアをしていきましょう。


4. 産後の抜け毛の時期を上手に乗り切るには?

産後の抜け毛対策を意識して過ごしても、抜け毛が増えることがあるかもしれません。ここでは、産後の抜け毛の時期を上手に乗り切るためにおすすめしたい方法をご紹介します。前述した産後の抜け毛対策と併せて、生活に取り入れやすいものを試してみてください。

頭皮ケアを行なう

産後の抜け毛ケアとして、シャンプーなどのヘアケア用品を見直すことも有効です。出産後は、ホルモンバランスの変化などで体質が変化しやすく、今まで使用していたシャンプーなどが合わなくなることもあります。

また、洗浄力の強いシャンプーを使用すると、頭皮が乾燥し刺激を受けやすくなるため、抜け毛を助長してしまう可能性があります。

抜け毛を最小限に抑えるために、産後は頭皮にやさしいシャンプーを使用するのがおすすめ。すこやかな髪を維持するために、頭皮の血行を促進する頭皮マッサージや、頭皮と髪にやさしいヘアブラシを使用するのもよいでしょう。

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どうしても抜け毛が気になる方は、育毛剤の使用を検討してみましょう。育毛剤は頭皮や髪に必要な有効成分を含んでおり、頭皮環境に良い影響を与えます。産後は、無添加や植物由来といった低刺激の育毛剤がおすすめ。使用する際は、頭皮になじませるようにマッサージすることで、頭皮の血行を促し、頭皮環境を整えます。

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サプリメントを取り入れる

産後の女性は毎日忙しく、バランスの良い食事を続けることが難しい方も多くいます。その場合は、サプリメントをうまく活用しましょう。不足しがちな栄養を手軽におぎなうことができ、食事に対するストレスも軽減できます。また、サプリメントを取り入れることは、自分の食生活や足りてない栄養素を見直すきっかけにもなります。

産後の抜け毛には、髪の毛の主成分であるたんぱく質を効率良く摂取することがおすすめです。また、髪の毛の成長を助ける栄養素であるビタミン類や亜鉛・鉄分などのミネラル類は、産後も不足しやすいため、サプリメントで補いましょう。

ヘアスタイルを変えてみる

髪型を変えることは気になる髪を目立たなくするだけでなく、ママにとって良い気分転換にもなります。産後の抜け毛をきっかけに、これまで試したことのない髪型に挑戦してみるのも良いでしょう。

<ショート>
もともと短めの髪の方や、生え際や分け目の地肌を隠したい方にはショートヘアがおすすめ。分け目が目立ちにくく、髪を洗う・乾かす時間も短くて済むのでとても便利です。また、子どもに髪を引っ張られる心配が少ないのもメリットといえるでしょう。

<ボブ>
肩にはつかないけども結べる長さのボブヘアは、丸みのあるフォルムが女性らしさを引き立てるだけではなく、手入れしやすいヘアスタイルです。また、ショートヘアよりも美容院でのメンテナンスの回数が少ないのもメリット。今、ロングヘアでトップのボリュームが気になる方は、ショートよりも気軽に挑戦できるでしょう。

<ミディアム>
ミディアムヘアは、髪を簡単にまとめることができ、ヘアアレンジの幅も広くおしゃれを楽しめることができるヘアスタイル。パーマをかけて髪の動きをつけることで、お世話のときサッと結ぶだけでもおしゃれにまとまり、女性らしさをしっかり演出できます。

<ロング>
ロングヘアのメリットは、髪を素早くまとめられることです。セミロングはロングより扱いやすく、多様なヘアアレンジを楽しむことができます。また、フォルムが大きく変わらないので、美容院に頻繁に行くのが難しいママにもおすすめです。


帽子やヘアアレンジを楽しむ

ヘアアレンジのなかでも簡単にできるのは、今までと違う位置に分け目をつくること。ずっと同じ分け目のままだと、産後の抜け毛により地肌部分が目立つことがあります。違う位置に分け目をつくる際は、これまでの癖で髪がなじんでくれないこともあるため、ドライヤーとブラッシングで髪を整えていきましょう。産後に使用するスタイリング剤は、髪にやさしいタイプを選択してください。

帽子やヘアバンドなどを一緒に使用することで、気になる部分を目立たなくし、一緒におしゃれを楽しむことができます。産後のおでかけが楽しくなるようなアイテムを選ぶとよいでしょう。

例えばショートヘアやボブヘアのような髪が短めのヘアスタイルでは、ヘアスタイリング剤で動きを出すと、薄毛が目立ちにくくなります。キャップやニット帽、ヘアバンドを使用する際は、前髪を上げる、前髪をゆるく編み込むなどでおしゃれな印象になります。

また、ミディアムヘアやロングヘアのような髪が長めのヘアスタイルでは、分け目をつくらないヘアスタイルがおすすめ。ハーフアップや抜け毛が気になるような位置で結ぶことで雰囲気を変えるだけではなく、薄毛を目立たなくすることができます。つばのあるハットやキャップ、ヘアバンドやヘアアクセサリーを使用することで、編み込みやシニヨンなどを華やかに見せることができます。

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とにかく気にしないこと

産後の抜け毛は「とにかく気にしない」ことも大切。産後は多くのストレスがかかります。さらに抜け毛のことでストレスを抱え込んでしまうと、状態を悪化させてしまう可能性があります。時間が経てば落ち着く現象です。できる範囲で産後の抜け毛の対策をおこなって、後は気にし過ぎないようにしましょう。


5. まとめ

産後の抜け毛は誰にでも起こることであり、産後に起こる生理現象の一つです。抜け毛がひどい状態が続くと、この状態がいつまで続くのか不安になることもあるでしょう。しかし、必ず抜け毛の時期は終わりますので、あまり心配しないでくださいね。それでも心配な方、産後の抜け毛に悩んでいる方は、今回ご紹介した対策や乗り切る方法をぜひ試してみてください。


執筆・監修古市 菜緒(ふるいち なお) バースコンサルタント代表(助産師・看護師・保健師)

助産師として1万件以上の出産に携わり、8千人以上の方を対象に産前・産後のセミナー講師を務める。海外での生活を機にバースコンサルタントを起ち上げ、現在「妊娠・出産・育児」関連のサービスの提供、アドバイスを行なう。関連記事の執筆・監修、商品・サービスの監修、産院のコンサルタント、国・自治体の母子保健関連施策などに従事。現在2児の母。

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