
産後の足のむくみがつらい!原因と解消方法を紹介
産後のむくみは多くのママが悩む症状のひとつ。ここでは、なぜ産後に足のむくみが起きるのか、その原因と起こりやすい時期について詳しく説明します。また今日からできる、足のむくみ解消法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1. むくみってどんな状態?
むくみとは、皮膚の下にある皮下組織に余分な水分がたまっている状態で「浮腫(ふしゅ)」ともいわれます。一般的な症状としては、手足や顔がむくむことが多く、特にひざ下のふくらはぎから足先は重力の影響で症状がよくあらわれる部位です。
産後は多くのママに「むくみ」がみられますが、妊娠・出産による骨盤の歪みや産後の食生活の乱れなどが原因で起こる「産後太り」とは異なります。
2. 産後に足がむくむのはなぜ?
産後のむくみは特に足にあらわれることが多く、すねを押すと痕が残ったり、足首がむくんでゾウのような足になったりするような症状がみられます。産後の足のむくみの原因はさまざまありますが、ここでは主な4つの原因について解説します。
ホルモンバランスの変化
ホルモンは体の機能を整える大切な物質で、体液の調整などにも関わっています。産後は、妊娠中に分泌されていたエストロゲンやプロゲステロンという女性ホルモンが急激に減少します。この産後の急激なホルモンバランスの変化で、血液の量や血流に変化が生じ余分な水分を蓄えやすくなるため、むくみが生じやすくなるのです。
水分バランスの変化
妊娠中は血液量が1.5倍程度に増加しますが、出産後は羊水の流出や出血などで体内の水分量が急激に減少します。水分バランスの急な変化により、体内の水分不足から体が水分を溜め込むように働くため、むくみやすくなります。
運動不足
産後は体が妊娠前の状態に戻ろうとする「産褥(さんじょく)期」のため、ママは体を休めることが優先となり、必然的に運動不足になってしまいます。運動不足になると血液の流れが悪くなり水分が滞りやすくなるため、むくみが生じやすくなります。さらに、育児で同じ姿勢が続くことも多くなるため、むくみがさらに悪化する原因になるのです。
疲れやストレス
産後は出産によるダメージの回復を待つ前に、赤ちゃんのお世話がはじまり睡眠不足や疲労・ストレスが溜まりやすい状況です。これらが原因で全身の器官をコントロールしている自律神経が乱れ水分の排出が滞ってしまいます。
また、妊娠・出産で筋肉量が落ちてしまうことや疲労が重なることが原因で、基礎代謝も低下してしまいます。基礎代謝が低下してしまうと、血流が悪くなり体内の水分排出がスムーズにできないため、むくみが起きやすくなるのです。
3. 産後の足のむくみはいつまで続く?
産後のむくみが生じる時期は個人差がありますが、一般的には産後2〜3日目でむくみのピークがみられ、1ヵ月児健診の頃までに落ち着くことが多いです。帝王切開のママは、手術前後に必要な輸液(点滴による水分・電解質・栄養補給など)の量が多く手術後も安静にしている時間が長いため、むくみが生じやすく長引くことがあります。
4. 産後の足のむくみを解消するには?
産後の足むくみのほとんどは、自然によくなるため気にしすぎる必要はありません。しかし、症状がつらいと感じる場合は、これから紹介する、足のむくみを解消・軽減するための対処法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
着圧ソックスを使う
着圧ソックスは、足に適度な圧力をかけて血液やリンパの循環を改善し、足のむくみにも効果が期待できる靴下。履くだけなので、育児や家事をしているときなど普段の生活の中に手軽に取り入れることができて便利ですし、睡眠時にも着用できる商品もあります。しかし、長時間の着用は血行障害につながり、逆効果になる場合があるため注意しましょう。
フットピローを使う
横になって休むときは、足の下にフットピローやクッションなどを使用して足を高くするのもおすすめ。足の位置を高くすることで、足にたまった血液や老廃物の循環を促してくれるため、むくみ解消にも効果が期待できます。
マッサージをする
ふくらはぎのマッサージは、足の血液の流れを促しむくみが軽減できるだけではなく、リラックス効果もあるので疲れているママにおすすめです。むくみが気になったときには、お風呂上りや寝る前のタイミングで以下のマッサージを取り入れてみましょう。
【ふくらはぎのマッサージ】
(1)クリームやオイルをふくらはぎ全体を覆うぐらいたっぷり使用しながらマッサージを行なう。手を温めるとより効果UP
(2)ふくらはぎを足首からひざに向かって、両手で軽く圧を加えながら包み込むように引き上げる
(3)片足30回ずつ両足に行なう
ストレッチや軽い運動をする
産後の足のむくみを解消するには、軽いストレッチや体操が効果的です。これらの運動は血液循環を改善し、体内に溜まった余分な水分や老廃物の排出を促します。ストレッチや体操は、ふくらはぎや足首を中心に、無理のない範囲でゆっくりと行ないましょう。筋肉を伸ばすことで血行が促進され、むくみが軽減されます。
ここでは、産後すぐに始められるストレッチと体操の方法をご紹介します。経腟分娩の方は以下の日数を目安に、帝王切開の方は歩行を開始した日から体調に合わせて行ないましょう。
【産後1日目から始める:足首のストレッチ】
(1)あおむけに寝て両手を体のわきに置き、両足を肩幅に広げ足首を直角に起こす
―――
(2)かかとを床につけたまま、足の裏が下に向くように指先をたおし足の甲を伸ばす
―――
(3)伸ばしたらまた、指先をゆっくり上にむけるよう足首を直角に起こします
―――
(4)上記の動きを、呼吸を意識しながらゆっくり5回繰り返す
【産後3~4日目から始める:足の体操】
(1)あおむけに寝て足を組む
―――
(2)上の足のふくらはぎで下の足のすねを3回「とん・とん・とん」とたたく
―――
(3)息をゆっくり吐きながら、足を組んだまま、腰・太もも・つま先までを筋肉を引きしめるように緊張させ、つま先までしっかりと伸ばしていきます
―――
(4)息を吐き終えたらゆっくり力を抜く
(5)上の足と下の足を入れ替えて同じ動きを行なう
(6)左右1回ずつを1セットとして3セット行なう
産後の体はデリケートであるため、運動を始める際は必ず医師に相談し、無理せず自分のペースで行なうようにしましょう。体が痛む場合はすぐに中断してください。産後は何かと大変な時期ですが、自分の体と向き合いながら、少しずつ体調を整えていきましょう。
足浴(そくよく)をする
足浴(そくよく)とは足湯のことで、足を温めると血行が良くなりむくみの改善が期待できます。産後1ヵ月は湯舟につかることができませんが、足浴であれば問題ありません。
また、育児に追われてゆっくりお風呂で温まる時間もない場合もあるでしょう。足浴は準備も簡単にできるので、両親や旦那さんがいるときは、少しの時間お子さんをみてもらってるときに行いましょう。ママひとりのときは、赤ちゃんが寝ているときや、落ち着いている時間に、赤ちゃんの顔が見える位置(リビングなど)で足浴するとより安心でしょう。更に、アロマオイルを垂らすことで癒し効果も得られますので忙しいママにもおすすめです。
塩分の摂りすぎに注意する
塩分の摂りすぎは、細胞に水分を蓄えやすくするため、むくみが生じやすくなります。産後も妊娠期と同様、塩分を摂りすぎないようにしましょう。一方で水分代謝を良くするカリウムが含まれているバナナ・豆類・いも類・きのこ類などを意識して摂るとよいでしょう。
水分を摂る
産後のむくみの原因のひとつに体内の水分不足があります。出産によって、急激に体内の水分量が減少し授乳によっても水分が奪われるため、産後は適度な水分補給が大切です。むくみがあるからといって、無理な水分制限をしないようにしましょう。産後のママの水分摂取の目安は1日2リットルほど。一気に飲むのではなく、こまめに水分補給をすることが大切です。
意識してカリウムを摂る
むくみの解消に役立つ栄養素は、水分代謝を促すカリウムです。カリウムはバナナ、納豆、イモ類、きのこ類などに多く含まれています。これらの食品を意識して摂取することも大切です。
カリウムの多い食品を摂取するのが難しい場合は、授乳期にも摂取できるカリウムを含んだサプリメントを試してみるのもよいでしょう。サプリメントを摂取する際は、必ず医師に相談してください。また、むくみの症状が強い・つらい状態が続く場合も、早めに産婦人科の医師に相談しましょう。
休息の時間を作る
疲労やストレスの蓄積も産後のむくみを助長させる原因のひとつ。休息の時間をもつことで、体も心もいたわることができ、疲れやストレスの解消につながります。家族や産後サービスなどを頼りながら、意識して休息する時間をつくっていきましょう。
5. まとめ
産後のママは、さまざまな原因が重なって足のむくみが起きやすい状態です。特にむくみが生じやすい産後1ヵ月間は、体にダメージが残った状態で赤ちゃんのお世話を行なうため、疲労も蓄積されやすくなります。
この時期をすこやかに過ごすためにも、まずは体をなるべく休ませることを優先し、無理のない範囲でご紹介したストレッチや体操などの解消法を取り入れてください。また、歩きにくい、痛くて眠れないほどのむくみがある場合や、むくみの症状が2~3ヵ月以上と長く続くときは、我慢をせず早めに医師へ相談しましょう。