子育てTips ママ・パパ

1. 寝かしつけの方法6選

赤ちゃんにとって、睡眠は成長のために欠かせないもの。「赤ちゃんは寝るのが仕事」ともいわれるように、1日のほとんどを寝て過ごします。しかし、長時間続けて寝るのではなく、個人差はありますが2〜3時間ごとに起きてしまうのが一般的。そうなると1日に何度も寝かしつけをしなければならず、大変ですよね。特に寝ない子の場合は、寝かしつけること自体とても苦労しているママも多いと思います。ここでは、赤ちゃんの寝かしつけの具体的な方法についてご紹介します。月齢や個人差によって向き不向きがあるので、いろいろと試してみて自分の赤ちゃんに合った寝かしつけの方法を見つけてくださいね。

おくるみに包む

おくるみで包まれる姿勢は、子宮の中にいたときと同じような姿勢になるため、赤ちゃんに安心感を与えるともいわれています。また、おくるみで赤ちゃんを包むと、赤ちゃんがモロー反射(※)で目が覚めてしまうことを防ぐ効果も期待できます。

※生後すぐから4ヵ月頃までの赤ちゃんにみられる、外からの刺激に手足がビクッと広がる原始反射のひとつ。

おなかや背中などトントンと叩いてあげる

赤ちゃんのおなかや背中をトントンとやさしくたたいてあげる方法は、寝かしつけの方法としてよく知られていると思います。このトントンのリズムが、胎内で聞いていたママの心音や自身の脈のリズムを感じさせることで、赤ちゃんに安心感を与え、眠気を誘うとされています。

トントンのリズムは、寝かし始めは早めのリズムから始め、赤ちゃんが眠くなってきたらゆっくりとしたリズムに変えていくのがおすすめ。また、トントンする場所は、おなかや背中のほかにも、肩や太もも、おしりなど、赤ちゃんの好みに合わせて場所を選ぶとよいでしょう。

肌をやさしく撫でる

赤ちゃんの肌をやさしく撫でることは、効果的な寝かしつけ方法のひとつです。心地の良いスキンシップを与えることで、赤ちゃんは安心し、自然な眠りへと導くことができます。

撫でる場所は、赤ちゃんが落ち着き、気持ち良さそうにする部位を選びましょう。赤ちゃんによって違いますが、頭や眉間、こめかみなどはウトウトしやすくなるようです。また、安眠のツボである耳の後ろもおすすめです。

また、手や足の裏をにぎにぎする、ふくらはぎや手首などをさするといったマッサージもよいでしょう。このとき、大人向けのマッサージとは異なり、力を入れすぎずにそっと触れるようにやさしくなでることが大切です。赤ちゃんが眠くなってきたら、さらに力加減を緩めていきましょう。

添い寝をする

添い寝は、親の体温や呼吸を赤ちゃんに伝えることで安心感を与え、自然な眠りに誘うことが期待できます。

赤ちゃんは親の存在を感じられないと不安で眠れません。このとき、ママやパパも一緒にリラックスすることが大切。赤ちゃんの隣に寝転がり、やさしく触れたり、手を握ったりしながら、呼吸を合わせてみてください。ママやパパが先に寝てしまわないように注意しながら、赤ちゃんが落ち着いて眠りにつけるように寄り添ってあげましょう。

音楽を聴かせてみる

赤ちゃんを寝かしつける際、音楽を活用するのもおすすめです。静かなクラシック音楽やオルゴールの音、ヒーリングミュージックは赤ちゃんをリラックスさせ、眠りへと誘います。そして毎日同じ音楽を流すことで「寝る時間」の合図として認識し、習慣化が期待できます。

また、子守唄をやさしく歌ってあげるのもひとつの方法です。音楽と併せて、体をやさしくトントンしたり、添い寝をしてあげたりすることで、より効果が期待できます。さらに、赤ちゃんによっては、胎内の音を再現した「胎内音」などで落ち着く子もいます。赤ちゃんの様子を見ながら、安心して眠りにつける音楽を見つけていくとよいでしょう。

抱っこして歩く

抱っこやおんぶで歩くことは、密着による安心感と心地の良い揺れのリズムで、赤ちゃんの眠りを誘いやすくします。歩く際は、赤ちゃんの好奇心を刺激しないよう、決まったコースをゆったりと歩くのがおすすめ。

ある研究によると、5分間一定のペースで歩くと赤ちゃんの心拍が落ち着き、泣き止みやすくなるという報告があります。また、同研究で眠った後はすぐベッドに寝かせるのではなく、5~8分ほど待ってからベッドに寝かせる方が起きづらいこともわかってきました。


2. 寝かしつけはいつまで必要?

寝かしつけがいつまで必要かについては、子どもの発達状況や家庭環境によって大きく異なるため、明確な年齢の基準はありません。子どもの状況を見ながら、徐々に自分で眠れるような環境づくりを考えていくとよいでしょう。

寝かしつけの卒業時期を考える際は、まず子どもの様子を観察することが大切。焦らず子どものペースに合わせて進めていきます。例えば、1人で布団に入るようになった、下の子が生まれたなど、環境の変化や子どもの成長に応じたきっかけがあれば、段階的に寝かしつけ方法を変えていくことができます。その際、入眠前のルーティンを作りながら、子どもが自分で眠れるようにサポートをしていきましょう。


3. 寝かしつけのためのコツやポイント

赤ちゃんがスムーズに寝てくれるために、寝かしつけの際に知っておきたいコツや押さえておきたいポイントについてご紹介します。

生活リズムを整えてあげる

赤ちゃんの寝かしつけをスムーズに行うには、まずは赤ちゃんの生活リズムを整えてあげることが大切です。毎日決まった時間に起床・就寝することで、赤ちゃんの体内時計が整い、時間がくると自然に眠たくなります。

特に、寝る前の「夜のルーティン」を決めておくことがポイント。例えば「お風呂 → 授乳 → 絵本を読む → 部屋を暗くする」といった一連の流れを、毎晩同じ時間帯に同じ順序で行うことで、赤ちゃんは「これをしたら寝る時間だ」と無意識に認識するようになります。実際は不規則になってしまうこともありますが、日々意識付けを行っていくことが大切。このような習慣づけは、赤ちゃんの寝つきを良くするだけでなく、夜泣きや寝ぐずりの対策にも効果的です。

日光を浴びさせる

日中に赤ちゃんへ太陽の光をたっぷり浴びさせておくことも、寝かしつけがスムーズになるポイントのひとつです。太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、夜になると自然と眠くなるリズムが作られます。

朝のお世話が済んだら、午前中に日光を浴びる時間を作りましょう。低月齢の赤ちゃんの場合は、窓際で過ごしたり、ベランダで外気浴をしたりする程度でも構いません。

さらに、日中は活動的に過ごすことで、夜は程よい疲労感を得られ、スムーズに眠りにつくことができます。お散歩に出かける、自宅では赤ちゃんと一緒に手足を動かして遊ぶ、寝返りの練習やハイハイを促すなどして、赤ちゃんの体を動かすのも良いでしょう。これらを習慣化することで、より寝かしつけがしやすくなります。

眠れる環境を整えてあげる

赤ちゃんが快適に眠れるよう、眠れる環境を整えてあげることが大切です。部屋は暗めにして、テレビやスマートフォンなどの余計な明かりは避けましょう。昼寝の際はカーテンを閉めて少し薄暗くする、夜は照明を落とすなどの工夫も効果的です。

また、季節に応じた快適な室温管理も重要で、夏は25~27℃程度、冬は18~20℃程度を目安に調整します。お住まいの場所や住環境によっても違うため、赤ちゃんが過ごしやすい室温調整を心がけましょう。

さらに、赤ちゃんが安心できるように、シーツなどの寝具の素材を肌ざわりの良い素材に変えてみるのもよいでしょう。外部の騒音が気になる場合は、窓を閉めるなどして静かな環境を確保してください。

月齢によって寝かしつけ方を変えてみる

赤ちゃんの月齢によって、必要な睡眠時間や生活リズムは大きく変化します。そのため、成長に合わせて寝かしつけ方を工夫することが大切です。例えば、新生児期は昼夜の区別がなく、短い睡眠を繰り返すため、おくるみや胎内音で安心できる環境をつくりましょう。

2~5ヵ月になると昼寝のリズムが整い始めるため、夜の就寝前は絵本や音楽を取り入れた寝かしつけの流れを作り始めるのも良いでしょう。6ヵ月以降は、昼間の活動を増やし就寝前のルーティン(お風呂、授乳、読み聞かせなど)を確立させ、1歳以降もその習慣を継続させます。1歳以降は子どもによっては、安心できるアイテムなどを活用することで、スムーズな入眠が期待できます。

起きてしまったらまずは様子を見る

赤ちゃんが夜中に起きてしまった場合、まずは少し様子を見てみましょう。これは、赤ちゃんが浅い眠りの状態で寝言を言っているだけの場合もあるためです。すぐに抱き上げたり授乳を始めたりすると、かえって赤ちゃんを目覚めさせてしまうことがあります。2~3分ほど見守りながら、赤ちゃんが自分で再び眠りにつくかを確認しましょう。

もし泣き続ける場合や不安そうな様子があれば、やさしく赤ちゃんをトントンしてみましょう。それでも落ち着かない場合は、抱っこをして落ち着かせる、おむつのチェックをする、体調の確認などを行いましょう。大切なのは、赤ちゃんが自然に眠る余裕を与えつつ、必要に応じてサポートを再開することです。


4. 寝かしつけに関する疑問

赤ちゃんの寝かしつけに対し、心配や疑問に思うこともあるでしょう。ここでは、寝かしつけに関するよくある疑問についてお答えします。

おしゃぶりはつけたままでもいい?

おしゃぶりは、赤ちゃんの気持ちを落ち着かせ、寝る前のぐずりを軽減する効果があります。そのため、寝かしつけにおしゃぶりを使うこと自体は問題ではありません。むしろ、気持ちを安定させ、スムーズな入眠につながるメリットがあります。

しかし、おしゃぶりだけに頼った寝かしつけは、泣きやぐずりの原因(おなかが空いた、不快感があるなど)を探る機会を逃してしまう恐れや、おしゃぶりがないと寝付けなくなる状態になってしまう可能性があります。

そのため、おしゃぶり以外の方法でも寝かしつけができるようにすることも大切です。おしゃぶりを使用する際は安全面に十分配慮し、2歳半頃までには卒業することを目指しましょう。

抱っこはクセになると聞くが大丈夫?

抱っこは、赤ちゃんにとって安心感を得られる大切なスキンシップで、抱っこによる寝かしつけは、親子の絆を深める貴重な時間です。抱っこでの寝かしつけは、親子ともに心地よく眠れているなら問題はありません。

ただし、赤ちゃんが成長し自分で寝る姿勢を自由にとれる月齢になったら、抱っこしない方法も検討できます。抱っこが負担になる場合は、ネントレ(ねんねトレーニング)を試してみるのもよいでしょう。ネントレでは、布団に入ったら基本抱っこはせず、本当にお世話が必要な場合を見極めながら、少しずつ自分で寝られるよう促していきます。ママやパパの体調や赤ちゃんの様子を見ながら検討していくとよいでしょう。

添い乳はしてもいいの?

添い乳は、授乳中にママが寝てしまわないように心がけていれば赤ちゃんの寝かしつけが容易になるため、決して悪い方法ではありません。

添い乳はママが横になりながら授乳できる方法で、赤ちゃんはママのぬくもりを感じながら安心して眠りにつけます。ママにとっても夜間の授乳が楽に行えるため、体への負担が軽減できることから、実践するママも多くいるでしょう。

しかし、添い乳は、ママが添い乳中に寝てしまうと赤ちゃんの窒息の危険を招き、授乳後にゲップをさせないと吐き戻しや中耳炎の原因となるといったデメリットがあります。添い乳による寝かしつけは、ママの眠気や疲労感が強いときはしないことが重要です。安全に十分気をつけて行いましょう。


5. まとめ

赤ちゃんの寝かしつけは、赤ちゃんの成長やそのときの環境によっても方法が変わります。今回ご紹介した寝かしつけの方法と、コツやポイントを押さえつつ、赤ちゃんの状況をみながらさまざまな寝かしつけ方法を取り入れてみてください。また、生活のリズムをつけ、寝る前のルーティンを習慣化させるためには、ママとパパの意思も大切。家族で協力しながら無理のない範囲で、少しずつ赤ちゃんに合わせた生活スタイルをつくっていってくださいね。

執筆・監修古市 菜緒(ふるいち なお) バースコンサルタント代表(助産師・看護師・保健師)

助産師として1万件以上の出産に携わり、8千人以上の方を対象に産前・産後のセミナー講師を務める。海外での生活を機にバースコンサルタントを起ち上げ、現在「妊娠・出産・育児」関連のサービスの提供、アドバイスを行なう。関連記事の執筆・監修、商品・サービスの監修、産院のコンサルタント、国・自治体の母子保健関連施策などに従事。現在2児の母。

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