
赤ちゃんの喃語(なんご)とは? 言葉の成長ステップや喃語が出ないときに試したいこと
赤ちゃんの喃語(なんご)は、言葉を話す前の重要な成長のステップ。赤ちゃんが発する「あう」や「ばぶばぶ」といった音は、言葉の基礎となります。喃語がなかなか出ないと心配になることもあるでしょう。
ここでは、喃語の意味や言葉の発達段階、喃語が出ないときに試したいことなどをわかりやすく解説します。また、さまざまな相談先についても紹介しますので、赤ちゃんのすこやかな成長を支えるためにも、ぜひ参考にしてください。
1. 赤ちゃんが話す喃語(なんご)とは?
喃語とは、赤ちゃんが発する意味を持たない音声のことです。生後4〜6ヵ月頃からみられ、始めは「あう」「ばぶ」といった、2音以上の声を出しますが、7~10ヵ月頃を過ぎる頃には「ばばば」「だだだ」などの子音と母音が連続する音を出すようになります。
喃語に意味はあるの?
喃語には、言葉の意味はありません。意味のある言葉を話す前の重要な成長段階であると捉えられています。最初のうちは、音遊びとして口や舌を使い、赤ちゃん自身でさまざまな音声を楽しみますが、次第に言葉の獲得へとつながっていきます。そして、喃語を通して赤ちゃんは周囲とのコミュニケーションを試みているのです。
クーイングとの違い
クーイングとは生後1~2ヵ月頃から始まる赤ちゃんの発声で、喃語の前の段階にみられるものです。喃語が子音と母音を組み合わせた連続音なのに対し、クーイングは「あー」や「うー」などの母音中心の音から成ります。
唇や舌を使う複雑な発声をする喃語とは異なり、クーイングは赤ちゃんの機嫌が良く、リラックスしている状態で自然に出てくるのが特徴です。
2. 赤ちゃんの言葉の発達段階を知っておこう
赤ちゃんが言葉を使ってコミュニケーションをとれるようになるまでには、さまざまな段階があります。ここでは、赤ちゃんの言葉の発達プロセスについてご紹介します。それぞれのステップには個人差があり、紹介する月齢はあくまで参考程度にしてください。
泣く
生まれたばかりの赤ちゃんにとって、泣くことは唯一のコミュニケーション手段です。空腹、排泄、睡眠など、体の内部で感じる不快な状態や欲求を泣き声で表現します。
クーイングや喃語を話す
生後1~2ヵ月頃になると「泣く」以外に、機嫌の良いときには「クーイング」がみられるようになってきます。赤ちゃんは「あー」「うー」といった単音を繰り返し、成長とともに口や声帯が発達して喃語へと移行していくのです。
そして、生後4~6ヵ月頃からになると、「あう」「ばぶ」といった子音と母音が組み合わさった「喃語」がみられるようになり「クーイング」は少しずつ減っていきます。
喃語は、最初は遊びのようなものですが、徐々に周囲とのやり取りの中で感情表現として使うことができるようになってきます。生後8~9ヵ月頃には発音も明瞭になり、同時に赤ちゃん自身の名前も認識し始めるなど、言葉への理解が深まっていくのです。
指差しをする
生後7~9ヵ月頃から、赤ちゃんは指さしや身ぶりを通じて、自分の「うれしい」「楽しい」といった感情を伝えられるようになります。
この時期、大人の話し声や周囲の音を真似することで興味を示し、その結果、喃語は次第に減少し、コミュニケーション方法として指差しや身ぶりが増えていきます。まだ言葉の意味は理解できませんが、興味を持った物の名前を教えることで、言葉や知識の習得を促すことができるのです。
一語文や二語文を話す
1歳前後になると、「わんわん(犬)」「ぶーぶ(車)」のように特定の意味を持つ一語文を話し始めます。これは喃語とは異なり、意味を理解したうえで発せられる言葉であり、まわりの言葉の繰り返しではありません。
その後、1歳半から2歳にかけて「まんま、ちょうだい」といった二語文を話すようになります。最初は不明瞭でも、徐々に言葉をしっかり言えるようになっていき、コミュニケーションを楽しむことができるでしょう。
言葉の発達を促すためには、コミュニケーションの楽しさを伝えることを意識して、たくさん話しかけてあげることが大切です。
3. なかなか喃語が出ないときは?
喃語がなかなか出てこないと、ついまわりの子と比べて心配になってしまうこともあるかもしれません。まずは、赤ちゃんの言葉の成長には個人差があることをしっかりと理解しておくことが大切。赤ちゃんによって喃語がみられる時期や量はさまざまです。とはいえ、赤ちゃんの言葉の発達のために「何かできることはないか」と考えるパパ・ママもいるでしょう。ここでは、赤ちゃんとのかかわり方のポイントについてご紹介します。
焦らず成長を見守る
赤ちゃんの言葉の発達は個人差が大きく、喃語がみられる時期や頻度は一人ひとり異なります。喃語があまりでなかった子でも、1歳を過ぎてから急に意味のある言葉を話し始めるケースもあるため、決まった月齢での発語にこだわる必要はありません。さまざまな情報に触れて不安になることもありますが、焦らずに子どもの成長を見守ることが大切です。まずはママ・パパが子どもの発達について正しく理解し、コミュニケーションを楽しむことを大切にしながら成長を見守っていきましょう。
赤ちゃんとのコミュニケーションに変化をつけてみる
赤ちゃんの喃語を促すために、コミュニケーションに変化をつけることが大切。赤ちゃんが発した声には、返事やリアクションを返し、たくさんの笑顔を見せながらスキンシップをとってみましょう。自分の声に対するまわりの反応を楽しむことで、発声に興味を持つことができます。
話し掛けるときは、赤ちゃんと視線を合わせ、ゆっくりはっきりと口の動きを見せながら語りかけましょう。また、絵本を読み聞かせる際は、赤ちゃんと会話するように楽しく読んであげることで、言葉の発達を促すだけではなく、赤ちゃんが新しい世界に興味を持つきっかけを作ることができます。
そのほかにも、歌を歌って聞かせたり、音楽を一緒に楽しんだりするのも効果的です。このようなさまざまなコミュニケーションのなかで、赤ちゃんの言葉の発達をサポートしていきましょう。
喃語を使って話しかけてみる
喃語を促すためには、赤ちゃんが発する喃語を使って積極的に話しかけたり、オウム返しをしたりするのも良いでしょう。赤ちゃんはまわりの言葉を聞いて真似をすることで、お話をするようになります。ママやパパが「あー」「うー」「ばばば」といった音を使って話しかけることで、赤ちゃんはリズムやイントネーションを自然に学び、発声を真似することが期待できます。
4. 悩んだときの相談先はどこ?
赤ちゃんの喃語について不安や悩みがあるときは、一人で悩まず、早めに専門家に相談するのも良いでしょう。アドバイスなどを受けることは、今後の成長について知るだけでなく、ママやパパの安心にも大きくつながります。ここでは、赤ちゃんの発達について相談できる専門機関をご紹介します。
小児科
小児科は、診療だけではなく子どもの発達に関する相談もできる場所です。医師は多くの子どもたちの成長を見てきた専門家であり、特にかかりつけ医であれば、これまでの発達過程を踏まえて具体的なアドバイスや必要があれば専門機関の紹介もしてくれます。
相談のタイミングとしては、定期健診や予防接種時、または事前に診察予約を取って相談することも可能です。
乳幼児健診
乳幼児健診は自治体が実施する赤ちゃんの健康と発育を確認するための重要な健診です。主に、赤ちゃんの病気の早期発見や予防を目的としていますが、専門家に育児の疑問や不安を相談できる貴重な機会でもあります。
また、同じ月齢の子どもを持つ保護者との情報交換の場としても活用できます。事前に相談したい内容をまとめたうえで、自治体からの案内に従って受診すると、よりスムーズです。
児童相談所
0歳から18歳未満の子どもを対象に、育児、健康、発達に関するさまざまな相談を受け付けています。専門スタッフによる発達検査や支援が無料で提供され、家庭訪問やカウンセリングも可能です。利用には基本的に予約が必要です。まずはお住まいの市町村の窓口やホームページで相談方法を確認しましょう。
地域子育て支援センター
地域子育て支援センターは、自治体が運営する子育て支援施設です。子育て中の親子が気軽に集まって、相談や交流が行なえる場を提供しています。ここでは、子育てに関する不安や悩みを無料で相談でき、育児のアドバイスや情報提供を受けられます。
また、子育て広場や育児相談会などのイベントも開催されており、親同士の交流の場としても利用されています。利用の際には、センターのウェブサイトや自治体の広報誌で情報を確認して、必要に応じて予約をしましょう。
5. まとめ
喃語は赤ちゃんの言葉の発達過程における大切なステップの一つです。しかし、発達には個人差があり、喃語が出始める時期や量もさまざま。そのため喃語がなかなか出なくても心配し過ぎる必要はありません。赤ちゃんのペースに合わせて、焦らず、親子でコミュニケーションを楽しむことが大切です。それでも喃語のことや、赤ちゃんの発達などで気になることや不安があれば、一人で抱え込まず専門家に相談してみてくださいね。