
イヤイヤ期はどう対応したらいい? 起こる理由や対処法について詳しく解説
子育ての大きな関門の一つとして知られているイヤイヤ期。対応に苦慮している方も多いのではないでしょうか。この記事では、なぜイヤイヤ期が起こるのか、どのような対応が良いのかなど、大変な時期を乗り越えるために必要な情報をご紹介します。
1. イヤイヤ期はいつからいつまで?
イヤイヤ期とは、自我の芽生え始めた子どもが、何に対しても「イヤ」と返事をするようになる時期を指す言葉です。「魔の2歳児」と表現されることもあるように、一般的には1歳半~2歳頃から始まり、3歳を迎える頃には落ち着く子も多いとされますが、始まる時期や終わる時期には個人差があります。
また、イヤイヤ期が終わると、次は4歳の壁と呼ばれる自己主張の時期もやってきます。欲求にストレートなイヤイヤ期とは異なり、様々な思考や感情も入り交じった複雑さが特徴です。
2. イヤイヤ期はなぜ起こるの? その理由は?
イヤイヤ期は、子どもの成長に伴って自我が芽生え、やりたいことの主張ができるようになることで起こります。
できることが少しずつ増え、もっと挑戦したい、自分でやりたいという気持ちが強くなるのは自然なことです。しかし、思いどおりにできない現実との葛藤や、言葉で上手に希望を伝えられないもどかしさから、「イヤ」という言葉が出てしまいます。
加えて、イヤイヤ期の子どもは、思考や感情を制御する脳の前頭前野が未発達な時期で、理性的な行動や発言ができるようになるのは、もっと大きくなってからになります。未熟ながらも自己主張や気持ちのコントロールを実践的に学んでいる過程がイヤイヤ期なのです。
3. イヤイヤ期でよく見られる行動
あくまで一例ですが、イヤイヤ期の子どもによく見られる行動を3つご紹介します。ただし、必ずしもイヤイヤ期が理由で取っている行動とは限らないこと、すべての子に当てはまるとは限らないことには注意しましょう。
イヤイヤ期の行動は、大人としては困ってしまうもの。しかし、子どもの成長に必要なものであり、悪いことではないという点も覚えておくとよいでしょう。
言われたことすべてを拒否する
「買い物に行こう」「お片付けしよう」など、何気ない声かけであっても「イヤ」と否定的な返事をするのがイヤイヤ期の代表的な行動です。何に対してもイヤと言うので、スムーズに物事が進まなかったり、予定変更が必要になったりすることも珍しくありません。イヤイヤ期の子どもは他にやりたいことや考えていることがあったとしても自力では伝えられないことも多く、対応する大人は困り果ててしまいます。
全部を自分でやりたがる
着替えや食事など、自分のことはすべて自分でやりたがる傾向が強くなります。また、手伝いや大人の真似をしたがることも増えるでしょう。
しかし、不器用だったり身体を上手く使えなかったりするため、やりたくても時間がかかったり、失敗してしまったりすることも多いです。思うようにできない鬱憤(うっぷん)からイヤイヤが激しくなるケースもあります。
物に当たる
イヤイヤ期の子どもは、自分の希望が伝わらないことや思いどおりにできないことに対して苛立ちを覚え、表現する方法として物に当たることもあります。その結果、物が壊れてしまうこともありますが、本人はそこまで予測せず行動してしまいます。
イヤイヤ期は子どもが表現方法を模索している大事な時期です。「子どもは成長過程で感情のコントロールが難しいことがある」と理解し、「自分も子どもと一緒に成長している」と考えると気持ちが楽になるかもしれません。
4. イヤイヤ期の子どもへの対処法やポイント
イヤイヤ期の子どもへの対処法は、自己肯定感を育てるような方法がベストといわれています。感情の表現をサポートしてあげることがベースとなりますが、大人の負担が大きくなりすぎないよう、大らかな気持ちで接することも大切です。具体的な例をご紹介しますので、参考にしてみてください。
子どもが伝えたいことを言葉にしてあげる
イヤイヤ期の子どもは言葉が未熟なため、大人が代わりに言語化してあげると良いでしょう。「◯◯したかったの?それとも△△かな?」といったように選択肢を示しながら声かけをすることで、子どもの行動や希望と言葉を繋げる学習の機会にもなります。
ただし、声かけが子どもの希望と一致していないと、イヤイヤがエスカレートしてしまう可能性もあります。仕草や行動から子どもの希望を予測しきれないときは、無理して声をかけないほうが良いこともあります。
子どもの気持ちに寄り添い共感する
イヤイヤのスイッチが入っているときは、子どもの気持ちに寄り添い共感することを心掛けてみてください。まずは話を聞き、そこから推測できることを「そっか、嫌だったんだね。◯◯したかったのかな?」といった具合に伝えてみるのがおすすめです。自分の感情を受け入れてもらえていることや自分の気持ちややりたかったことが理解されることで覚える安心感や満足感は、自己肯定感の形成にもつながります。
思いどおりに動けるよう手助けしてあげる
やりたいことがあっても年齢的にまだ上手にできず、そのモヤモヤから「イヤ」が出てきてしまうことも多いものです。子どもの気持ちを尊重しながら、自分で取り組みやすい環境作りや段取りなどの工夫も行い、サポートしてあげましょう。
子どもに選択肢を与えてみる
提案してもイヤイヤされてしまう場合は「◯◯と△△、どっちがいい?」といった選択肢を子どもに与えてみるのも一つの方法です。子どもの気持ちを推察しきれないときにも重宝するテクニックですので、ぜひ取り入れてみてください。
しかし、どちらもイヤ、あるいは選ぶこと自体がイヤになってしまうこともあります。そのような場合は少し時間を置き、子どもの気持ちが落ち着くのを待ってみましょう。
ワンクッションおいてみる
イヤイヤ期の子どもは未熟なため、気持ちのコントロールに時間がかかります。そのため、すぐに行動を求めるのではなく、声かけをした後しばらく様子を見てみるのもおすすめです。なんとかしようと躍起になるよりスムーズに物事が進むこともあります。
ワンクッションおく場合は必ず、物理的な安全を確保してください。そのうえで、声かけや手出しはせず距離をおくことがポイントです。
完璧を求めない
子どもはもちろん、大人にも完璧な人はいません。イヤイヤ期だから仕方ない、時間がなかったから仕方ない、といったスタンスでおおらかに考えるように心掛けましょう。できなかったことや失敗に目を向けるのではなく、上手にできた物事に着目することも大切です。
できたことを褒めてあげる
小さなことでも、できたことや良いことをしたときは褒めてあげましょう。身近な大人に認められる経験は、子どもの自信や満足感につながり、次も挑戦したいというモチベーションにもなります。褒めるときは「お片付け上手にできたね」など、具体的な内容も合わせて伝えると効果的です。
ダメなことはちゃんと伝える
社会のルールやマナーに反すること、身の安全にかかわることに関しては、しっかりと線引きをして「ダメ」と伝えることも重要です。子どもの発達段階に応じて、ダメな理由も伝えていきましょう。
ただし、イヤイヤ期の子どもが一度の注意で改善できる可能性はあまり高くありません。根気強く、長い目で見ていきましょう。
スキンシップの時間を増やしてみる
イヤイヤには、親の関心を引きたい意図がある場合もあります。共働きや、下の兄弟が生まれたなどの理由で今までよりも一緒に過ごす時間が少なくなったときに起こりやすいといわれています。もし心当たりがあるなら、抱っこやハグ、手をつなぐなどのスキンシップを増やしてみてください。
時間に余裕を持って行動する
子どもがイヤイヤ期の間は、時間に余裕を持って行動すると良いでしょう。イヤイヤすることで、多くの時間が取られ予定していたスケジュールどおりにいかないことがあります。特に忙しいときや時間がないときにイヤイヤされると、親の余裕がなくなりイライラしてしまうでしょう。イヤイヤ期の子どもは行動に移すのに時間がかかると考え、余裕を持って行動したり事前に予測できるものに対しては事前に対処しておくと心にも余裕がうまれます。
5. イヤイヤ期にやってはいけないNG対応
イヤイヤ期の子どもに対してやってはいけないNG対応は3つあります。絶対にやらないようにするにはハードルが高いですが、極力避けられるように気をつけてみてください。
「ダメ」といってすべてを否定すること
子どもの言動や希望を頭から否定することは、できる限り控えましょう。自分の気持ちを尊重してもらえる機会が少ない子どもは、自己肯定感を育むことが難しくなってしまうためです。どうせできないから、と挑戦の機会を奪ってしまうのもよくありません。苦労や失敗をとおして成長する機会をなるべく持たせて、「○○するともっといいと思うよ」のようにポジティブにアプローチすると良いでしょう。
感情に任せて怒ること
感情的に怒られると、子どもは萎縮してしまうものです。できる限り冷静な対応を心掛け、失敗を責めたり怒ったりしないように気を付けてみてください。時と場合によって怒ることも必要ですが、神経質になりすぎないようにしましょう。
子どもに伝わりにくい言葉を使うこと
大人同士で会話するような感覚で言葉をかけてしまうと、語彙がまだ乏しいイヤイヤ期の子どもには内容が伝わりません。発達段階に合わせた適切な言葉選びと、シンプルな表現を意識しましょう。言葉の発達は個人差が大きいため、同じ月齢でも適した伝え方は異なることも念頭に置いてください。
6. イヤイヤ期に疲れてしまったら?
イヤイヤ期に疲れてしまったときは、大人の気持ちや時間に余裕を作ることが第一です。まわりの力を借りて子育てから離れる時間を作ったり、専門家の知識やアドバイスを取り入れてみたりすることをおすすめします。
ベビーシッターや家事代行を検討してみる
子どものお世話を引き受けてくれるベビーシッターや、家事の負担を減らしてくれる家事代行などのサービスを利用し、気持ちや時間の余裕を作ることを検討してみてはいかがでしょうか。利用の方法や内容は様々ありますので、自分の希望条件に近いサービスを選びましょう。時間や日の単位で保育園に子どもを預けられる一時保育の活用もおすすめです。
まわりに助けを求めることも大事
パートナーや両親、友人など、助けを求められる人がいるなら協力してもらうのも良いでしょう。子どもを預けるだけでなく、話を聞いてもらったり、子育てに関わってもらったりするだけでも、イヤイヤ期と向き合うストレスは軽減できます。お願いするときは事前に現況を説明し、どのようなサポートを求めているのかを伝えるのが、スムーズにお願いする際のコツです。
専門家に相談してみる
保健センターや子育て相談窓口など、児童支援の専門家に相談してみるという方法もあります。イヤイヤ期は多くの子どもがとおる道であり、対応に苦慮している保護者は少なくありません。個別の事例に沿ったアドバイスをしてもらうことができれば、より効果的なイヤイヤ期の対処法を知ることができるでしょう。
7. まとめ
イヤイヤ期は1歳半から3歳前くらいの子どもに見られる成長過程の一つです。なんでも「イヤ」と言うので対応する大人は困ってしまったり、イライラしてしまったりすることも珍しくありません。
しかし、イヤイヤ期には必ず終わりがあります。イヤイヤの理由や対処法を考えつつ、大らかな気持ちで接する時間を増やしていきましょう。