子育てTips ママ・パパ

1. たんぱく質は子どもの成長に欠かせない重要な栄養素

子どもが元気に成長するためには、栄養バランスのよい食事が欠かせません。中でもたんぱく質は、筋肉や内臓、肌や髪など体のあらゆる部分をつくる材料になる、とても大切な栄養素です。

たんぱく質がなぜ子どもの成長に欠かせないのか、その役割や働き、重要性について解説します。

たんぱく質の役割

たんぱく質は、私たちの体をつくるために欠かせない栄養素です。筋肉はもちろん、臓器、皮膚、髪、爪、歯、そして血液など、体のあらゆる部分に使われています。

また、体の機能を調整するホルモンや酵素などの材料にもなり、代謝や血圧の調整、病気から体を守る仕組みにも深く関わっています。まさに「体をつくり、支える」ための栄養素なのです。

たんぱく質が成長期の子どもに必要な理由

成長期の子どもは、筋肉や内臓、骨などの体のパーツがぐんぐん発達していく大事な時期です。この時期にたんぱく質が不足してしまうと、体づくりに必要な材料が足りなくなり、すこやかな成長の妨げになることも。

また、たんぱく質は免疫を保つ働きにも関わるため、元気に毎日を過ごすためにも欠かせません。将来の健康な体の土台をつくるという意味でも、子どものうちからしっかりとたんぱく質を摂ることが大切です。


2. 子どもはどれぐらいたんぱく質が必要? 年齢別の推奨量

年齢ごとに、たんぱく質の推奨量を以下の表にまとめました

年齢 男の子 女の子
1~2歳 20g 20g
3~5歳 25g 25g
6~7歳 30g 30g
8~9歳 40g 40g
10~11歳 45g 50g
12~14歳 60g 55g
15~17歳 65g 55g

引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

たんぱく質が不足すると、疲れやすくなったり、傷の治りが遅くなったりすることが考えられます。

 一方で、たんぱく質を摂り過ぎることは小さな体には負担になる場合も。バランスよく適量を摂ることが大切です。


3. 子どもにたんぱく質を摂らせるには? 食事の中でできる工夫

たんぱく質を摂るには、お肉をたくさん食べればいいと思っていませんか? たしかに肉はたんぱく質が豊富ですが、魚や卵、乳製品、大豆製品など、ほかにも良質なたんぱく質を含む食材はたくさんあります。

大切なのは、さまざまな食材からたんぱく質をバランスよく取り入れること。子どもの食事にうまく組み込むことで、無理なくしっかり必要量を満たすことができます。

ここでは、食事の中でたんぱく質を上手に摂るための工夫やポイントを紹介します。

たんぱく質が成長期の子どもに必要な理由

たんぱく質には「動物性」と「植物性」の2種類があり、それぞれに違った良さがあります。どちらかに偏るのではなく、両方をバランスよく摂ることが、子どもの健康的な成長につながります。

● 動物性たんぱく質(肉・魚・卵・乳製品)
必須アミノ酸がバランスよく含まれており、消化吸収もスムーズ。鉄分やビタミンB12、カルシウムなど、成長に欠かせない栄養素も豊富です。

● 植物性たんぱく質(大豆製品など)
食物繊維やミネラル、抗酸化物質が一緒に摂れるのが魅力。免疫力アップや腸内環境の改善にも役立ちます。

例えば、おかずが毎回お肉だけに偏らないように、魚や卵、大豆製品もローテーションで取り入れてみましょう。主菜だけでなく、副菜に豆腐や大豆を使ったサラダを添えたり、ハンバーグを豆腐ハンバーグにしたり、納豆ご飯にしたりと、身近な大豆製品をうまく取り入れることで、植物性たんぱく質をしっかり補えます。

また、朝食や間食にヨーグルトや牛乳などの乳製品をプラスすれば、不足しやすいカルシウムも同時に摂取できます。

以下に、食材に含まれるたんぱく質量の目安をまとめました。毎食1~2品、どれかを取り入れることで、たんぱく質を無理なくしっかり摂ることができます。

【食品とたんぱく質量の例】
食品群 量(目安) たんぱく質量(g)
魚(銀鮭の場合) 1切れ(60g) 11.8g
肉(鶏むね肉の場合) 50g 9.8g
1個(50g) 約6.1g
牛乳 コップ1杯(200ml) 約6.6g
ヨーグルト 100g 約4.3g
納豆 1パック(45g) 約7.4g
豆腐 1/3丁(100g) 約5.1g
チーズ 薄切り1枚(18g) 約4.1g

参照:文部科学省「食品成分データベース」

【6~7歳(たんぱく質量合計30g前後)の食事内容の一例】
※たんぱく質を多く含む食品に着目しているため、主食や副菜は省略
朝:納豆ごはん → 9.9g
昼:卵焼き → 5.3g
おやつ:牛乳 → 6.6g
夜:魚(銀鮭の場合)60g +豆腐のみそ汁→ 14.8g

参照:文部科学省「食品成分データベース」

子どもが食べやすい食材を選ぼう

カレーやハンバーグ、親子丼など、子どもが好きなメニューにすると、食べる意欲がアップします。

ただ、お肉やお魚は「かたい」「パサパサする」と感じて苦手に思う子もいます。そんなときは、調理の前にお酒(お好みで生姜やにんにくもOK)に少し漬けておくと、やわらかくなって食べやすくなります。

また、豆腐を混ぜてふんわりしたハンバーグにしたり、小さく切ったお肉や魚をチャーハン、おにぎり、スープ、オムレツなどに混ぜるのもおすすめです。いつものメニューにちょっと工夫を加えるだけで、たんぱく質を摂りやすくなります。

さらに、おやつにチーズやヨーグルト、ゆで卵など、栄養たっぷりの食材を取り入れるのも◎。おいしく楽しく、無理なくたんぱく質を摂れる工夫をしていきましょう。


4. たんぱく質が摂れるメニュー例とアイデアを紹介

毎日ごはんを作るのって、本当に大変。特に仕事や育児でバタバタしていると、栄養バランスまで気がまわらない......という日も多いですよね。

そんなときでも大丈夫です。手軽に作れて、しっかりたんぱく質が摂れるメニューやアイデアを知っておけば、忙しい日でも子どもの栄養をしっかりサポートできます。

簡単・お手軽

たんぱく質を多く含む食品は、あらかじめストックしておくのがおすすめです。豆腐、納豆、ヨーグルトなどは手軽に取り入れやすく、冷蔵庫にあると安心。

みそ汁に豆腐や油揚げ、おからパウダーを加えたり、ごはんに卵や納豆、ツナや鮭フレークをかけたり、冷凍枝豆を白米に混ぜて枝豆ごはんにしたりと、いつものメニューにひと工夫加えるだけでも、たんぱく質をプラスできます。

【簡単・お手軽メニューの一例(約940kcal、たんぱく質 約50g)】
朝:たんぱく質(約12g)
・卵かけごはん飯(150g)
・豆腐とわかめの味噌汁(100ml)
・バナナ(75g)

昼:たんぱく質(22g)
・白米白ご飯(100g)
・チキンの照り焼き(約80g)
・ツナ入り野菜サラダ(約80g)

夕:たんぱく質(15g)
・枝豆ごはん飯(120g)
・厚揚げと豚肉の野菜炒め(約70g)
・野菜スープ(150ml)

食が細い子向け

食が細い子は、必要なたんぱく質をしっかり摂れているか心配になりますよね。

そんなときは、好きなメニューにたんぱく質食材を混ぜ込んだり、小さく盛りつけたりして、見た目から食欲を引き出す工夫をしてみましょう。ピンチョス風にしたり、型抜きを使ったりと、楽しく食べられる仕掛けも効果的です。

また、1回の食事で多く食べられない場合は、間食で補うのも◎。きな粉ヨーグルト、果物と牛乳や豆乳を使ったスムージー、ホットケーキ、豆乳などをおやつに活用すると、自然にたんぱく質を摂ることができます。

ただし、摂取量を気にしすぎて無理に食べさせようとするのはNG。「楽しく食べられた」という経験が、食への関心や意欲につながります。

【食が細い子向けのメニューの一例(約1,000kcal、たんぱく質 約53g)】

朝:たんぱく質(約11g)
・卵かけごはん(150g)
・豆腐とわかめの味噌汁(100ml)

昼:たんぱく質(約22g)
・白米(100g)
・チキンの照り焼き(約80g)
・ツナ入り野菜サラダ(約80g)

15時のおやつ:たんぱく質(約6g)
・バナナスムージー(200ml)

夕:たんぱく質(約14g)
・枝豆ご飯(120g)
・厚揚げと豚肉の野菜炒め(約70g)

アレルギーがある子向け

たんぱく質を多く含む食品を食べたあとに発疹、下痢、嘔吐などが見られた場合は、すぐに医師の診察を受けましょう。アレルギーの種類や重症度に応じて対応が変わるため、自己判断せず専門家に相談することが大切です。

食材にアレルギーがある場合は、代替食品でたんぱく質を補いましょう。たとえば乳アレルギーがある場合は、豆乳やアーモンドミルクを使うのがおすすめ。また、小魚や納豆を取り入れることで、カルシウムやビタミンも一緒に補えます。
※大豆(豆乳)およびアーモンドにおいても、「アレルゲン28品目(特定原材料に準ずるもの)」に含まれます。アレルギーをお持ちの方はご注意ください。

【アレルギーがある子向けのメニューの一例※乳アレルギーがある場合(約940kcal、たんぱく質 約52g)】

朝:たんぱく質(約11g)
・卵かけごはん(150g)
・豆腐とわかめの味噌汁(100ml)

昼:たんぱく質(約22g)
・白米(100g)
・チキンの照り焼き(約80g)
・ツナ入り野菜サラダ(約80g)

15時のおやつ:たんぱく質(約5g)
・豆乳スムージー(約160ml)

夕:たんぱく質(約14g)
・枝豆ご飯(120g)
・厚揚げと豚肉の野菜炒め(約70g)


5. たんぱく質は摂りすぎNG? 注意しておきたいポイント

最近では、子ども向けのプロテインを見かけますが、自己判断で摂ると、必要以上にたんぱく質を摂りすぎてしまうことがあります。プロテインは、運動量が多い子や、特別に体づくりが必要な場合に限って、医師や管理栄養士のアドバイスを受けながら使うのが安心です。

まずは、毎日の食事の中でバランスよくたんぱく質を摂ることを大切にしましょう。無理なく、自然に取り入れることがポイントです。


6. まとめ

子どもの成長に欠かせないたんぱく質は、肉だけでなく魚や卵、大豆製品、乳製品などさまざまな食材からバランスよく摂ることがポイントです。ママ・パパが忙しい日でも、手軽に取り入れられる食材や間食を上手に活用すれば、無理なく続けられます。

また、食が細い子やアレルギーがある子には、それぞれに合った工夫が大切です。食事の量だけでなく「楽しく食べること」も忘れずに、少しずつ成長を見守っていきましょう。

今日からできる小さな工夫が、子どもの健康で元気な成長につながります。ぜひこの記事を参考に、毎日の食事作りに役立ててくださいね。

監修・執筆牧 咲 管理栄養士 / 食事健康系ライター / 離乳食アドバイザー / 妊産婦食アドバイザー

大分県、茨城県内の医療施設(急性期病院・回復期病院)、介護施設に6年間勤務。栄養管理業務、栄養指導、レシピの提案、食や健康に関する情報発信を行ってきた。現在は、フリーランスとして、特定保健指導における栄養指導員、一般向けに食事の情報発信やレシピの提案、コラム執筆、離乳食のアドバイスなどを行い活動している。

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