アピアランスケアの「不」をなくしたい。
情報サービス「Nagomi time」の挑戦
こんにちは。ファンケル編集部です。 今回は、がん治療に伴う外見の変化に悩む方の支援のための、ファンケルのアピアランスケアの活動についてお伝えします。
外見変化は社会生活に大きく影響する
国立がん研究センターの統計によれば、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性で61.1%、女性で50.1%。※1
2人に1人ががんになる可能性があるとされる今、このテーマは自分や家族にとって他人事ではないものとなっています。
また、仕事や家事、学業などの社会生活を続けながら治療を受ける方が増えています。
※1 国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」(2023年データに基づく)より
しかし、アピアランス(外見)の変化は、人と会うことを負担に感じたり、家を出る機会が減ったりするなど、社会活動に大きな影響を及ぼすことがわかっています。

そこで重要視されているのが、外見の変化に伴う悩みに寄り添うケアです。治療によって髪や肌、爪などにあらわれる外見の変化に対し、適切なスキンケアやメイク、装いの方法を知ることで、自らしさを保ちながら社会生活を送れるよう支える「アピアランス(外見)ケア」が、今注目されています。
変化による苦痛に悩む患者さんと日々向き合っている医療現場でも、その必要性は高まっています。※2
※2 厚生労働省「がん対策推進協議会」(2026年3月)では、拠点病院等に対し、がん治療に伴う外見の変化について、アピアランスケアに関する情報提供・相談に応じられる体制の整備が求められている。

当事者の声を聴くことからスタート
人々の健やかな暮らしを考えてきたファンケル。創業以来大切にしてきた「世の中の『不』を解消する」という考えのもと、キリングループの力を掛け合わせて何ができるかを検討する中で着目したのが、「アピアランスケア」でした。
最初に取り組んだのは、当事者の声に耳を傾けることです。
2022年から2024年にかけて、がんサバイバーの皆様、医療従事者の方々へのヒアリングやアンケートを重ねました。直接お話を伺うことで、私たちだけでは気づけなかった悩みや、多くの工夫のヒントが見えてきました。
心を置き去りにせず、自分らしく歩むために
当事者の声からは、病気や外見の変化をきっかけに、「自分らしくないと感じる」「社会との向き合い方が変わり、アイデンティティーを失ったように感じる」など、さまざまな苦しさを抱えていることがわかりました。その苦しさは、ご本人だけでなく、ご家族や周囲の方々の戸惑いや不安にもつながります。治療の負担が大きいなかで、心に関わるケアは後回しになりがちです。
今求められているのは、自分らしく生活するための支援です。変化に応じて必要な情報にたどり着くことができ、自分らしさを保ちながら社会とのつながりを持ち続けられること。私たちは、そのための支援が必要だと考えています。
当事者ファーストで、必要な情報を届ける
ヒアリングを通して見えてきたのは、「必要な情報がまとまっていない」「何を信頼すればよいかわからない」という「不」でした。医療従事者の方々も患者さんへの情報提供に悩んでおり、アンケートでも「一カ所にまとまっているとよい」という声が多く寄せられました。
そこで目指したのは、各社が個別に情報を発信するのではなく、当事者を中心に必要な情報がひとつに集まること。特定の企業に偏らず、ファンケルにない分野は他企業とも連携しながら、それぞれの知見を持ち寄り、当事者ファーストの視点で信頼できる情報を届ける取り組みを始めました。

経営企画本部 副本部長の榎並は、こう話します。
「商品の視点から入ると、商品寄りの発想に流れがちです。私たちは、患者さんや医療従事者の目線から、何があればアピアランスケアがもっとやりやすくなるかを考えました。」
2025年 「Nagomi time(なごみタイム)」をWebと冊子で展開

Nagomi timeはアピアランスケアに関する情報サービス
がん治療中のスキンケア・メイクの方法をはじめ、ウィッグや装い、食事、運動、助成金の情報まで、年齢・性別・治療方法を問わず、アピアランスケアに関わる幅広い情報を掲載した「Nagomi time」を2025年1月にリリースし、医療機関への冊子の配布を開始しました。
内容は、がん医療に携わる医師・看護師5名が監修。また、ウィッグや食事、運動などファンケルにない分野はほかの企業と連携しています。

<特徴>
・アピアランスケアに関わる幅広い情報を掲載
・年齢・性別・治療問わず包括的な内容
・1社だけでなく他社と連携し情報を充実化


「Nagomi time」は患者さんや医療従事者の声を取り入れた
取り組みを支えているのが、同じキリングループの製薬会社、協和キリンとの連携です。チームは、協和キリンから加わったメンバーとファンケルの従業員がほぼ半数ずつ。医療の現場と向き合ってきた知見と、美と健康について多くの方と向き合ってきたファンケルの知見を持ち寄り、「医療」と「美・健康」の両面から、治療中の日常を支えています。

2026年 全国に広がるアピアランスケアの活動
冊子を手に取ったがんサバイバーの方からは「治療中に本当に知りたかったことが詰まっている」、医療従事者の方からは「まさに待っていた」という声が届いています。ある医療従事者の方からは「患者さんのここまでの笑顔を初めて見ました」という言葉もいただきました。
冊子の設置は、2025年の関東甲信越を皮切りに、2026年からは全国のがん診療連携拠点病院へと広げ、468施設(厚生労働省、2026年4月1日現在)のうち約7割に達しました。また、各地の医療機関や学校施設で、がん患者さんとそのご家族、医療従事者の方々に向けて、講演やケアの実演レクチャーを行なっています。

2026年7月、近畿大学病院×ファンケルにてがん患者さんとそのご家族向けイベント『ともに生きる会』を開催

2026年6月 第34回日本乳癌学会学術総会で出展やオンラインメイクレッスンを開催
とはいえ、全国の拠点病院等のうち、まだ冊子をお届けできていない医療機関もあります。必要としている方に、知りたいそのときに情報を届けられるよう、一つひとつの医療機関への働きかけを続けています。
私たちのプロジェクトは、「治療」と「社会生活」の両立をあたりまえに、外見もこころも支える支援を社会全体に広げることを目指し、活動を進めていきます。
ファンケルはこれからも、人々の生活の質の向上に貢献したいという想いを大切に、活動を推進してまいります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。次回更新をどうぞお楽しみに。
