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わたしの体の防衛軍
「免疫」のしくみを知ろう!

わたしの体の防衛軍 「免疫」のしくみを知ろう!

わたしの体の防衛軍
「免疫」のしくみを知ろう!

私たちのまわりには、細菌やウイルスなど、目には見えないさまざまな病原体が溢れています。
そんな中でも生きていけるのは、「免疫」という体を守るしくみがあるから。免疫について正しく理解し、防御力を味方に付けて病気に負けない体をつくりましょう!

2021.11.18

そもそも「免疫」って何?

私たちは、何千、何万という病原体に囲まれて生活をしています。それでも健康でいられるのは、病原体から体を守るしくみがあるから。それが「免疫」です。外から侵入してきた病原体だけでなく、がん細胞のような体内に発生した異物を排除する働きもあります。一方で、害のない異物に対して免疫が過剰に働くと、アレルギーや自己免疫疾患などの病気が現れることもあります。
免疫というしくみを担うのはさまざまな種類の免疫細胞たちです(下図参照)。すべて血液の中の白血球に分類され、いろいろな戦術で敵と闘います。一部の免疫細胞は、敵の情報をほかの免疫細胞に伝えるというメッセンジャー的な役目もします。
また、免疫は一度感染した病原体を記憶しているため、同じ病気にかかりにくくなったり、かかっても症状が軽く済んだりします。このしくみを利用したのが「ワクチン」です。

連携して異物と戦う
「自然免疫」と「獲得免疫」

免疫には、私たちの体に生まれつき備わっている「自然免疫」と、病原体を見きわめてはじまる「獲得免疫」があります。

自然免疫

皮膚や粘膜を破って侵入した細菌やウイルスをいち早く発見し、対抗するのが「自然免疫」。マクロファージや樹状細胞、NK細胞などが、互いに連携しながら敵の侵入を阻みます。

樹状細胞

全身に存在。病原体を見つけたら、取り込んで分解する。マクロファージと同じく見張り役の免疫細胞だが、感染状況をT細胞に伝えるメッセンジャーでもある。

マクロファージ

全身のあらゆる組織に存在し、侵入してきた病原体や異物をいち早く見つけ、食べて退治する。病原体の存在を好中球など仲間の免疫細胞に伝えて集める働きもする。

好中球

血液中に存在。見張り役のマクロファージから情報を受け取ると、感染した部分に集結。病原体を食べて分解する。病原体やあやしい微生物など、無差別に食べまくる性質をもつ。

NK細胞

細胞に入り込んだウイルスの増殖に歯止めをかけるのがNK細胞。感染した細胞を見つけると、容赦なく丸ごと切り捨てる。がん細胞に対しても同様に攻撃を仕掛ける。

獲得免疫

自然免疫で手に負えないと「獲得免疫」の出番です。
樹状細胞が病原体の情報を伝えると、闘う準備を開始。自然免疫に比べると参戦するまでに時間はかかりますが、より確実に敵を攻撃することができます。

ヘルパーT細胞

樹状細胞から示された病原体の情報をもとに標的を認識し、B細胞に抗体(武器)を作るよう誘導したり、マクロファージに対してさらに働いてもらうため活性化させたりする。

キラーT細胞

樹状細胞からウイルスの情報が伝わると活性化し、ウイルスに感染した細胞を見つけ出して細胞ごと破壊する殺し屋。NK細胞よりもきっちりと感染した細胞を見つけ出せる。

B細胞

ヘルパーT細胞の誘導で飛び道具の「抗体」を生産。抗体が標的となる病原体に命中する(くっつく)と、病原体は無力化する。

免疫細胞の働き方

細菌が侵入してきたら

1.壁(皮膚や粘膜)を破って細菌が侵入。

2.侵入してきた細菌をマクロファージが食べる。
手に負えないと、好中球を呼ぶ。

3.血管を通りやってきた好中球も、細菌を食べて退治する。

4.樹状細胞も細菌を食べる。
樹状細胞は危険な細菌だと判断すると、リンパ節のリンパ球に知らせてT細胞やB細胞を活性化させる。

5.ヘルパーT細胞は、B細胞とマクロファージに攻撃の指示を出す。

6.B細胞は抗体を作り、攻撃する。

7.マクロファージは細菌をもっと食べる。

ウイルスが侵入してきたら

1.壁(皮膚や粘膜)を破って侵入したウイルスに細胞が感染する。

2.NK細胞は、侵入してきたウイルスに感染した細胞を殺す。

3.樹状細胞はウイルスを食べる。
樹状細胞は危険だと判断すると、リンパ節のリンパ球に知らせてT細胞やB細胞を活性化させる。

4.ヘルパーT細胞は、B細胞とキラーT細胞に攻撃の指示を出す。

5.B細胞は抗体を作り、攻撃する。

6.キラーT細胞は感染した細胞を殺す。

このように私たちの体に侵入する見えない敵に対し、免疫細胞は連携しながら闘い、守っているのです。

今、注目!
免疫細胞の司令塔、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)って?

免疫細胞はそれぞれが単独で動いているのでなく、壮大な免疫ネットワークの中で働いています。近年、こうした免疫細胞に指示を出す、いわば司令塔的な役目を果たしている免疫細胞の存在が明らかになり、注目を集めています。そのひとつが「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」です。
pDCは、体外から侵入してきたウイルスや細菌などの情報を、NK細胞やT細胞、B細胞に伝えることで、全身の免疫を活性化させています。

(『元気生活』2021年1月号より改編)

はじめよう!
免疫力アップの生活習慣

免疫力は、「これを食べる」「このエクササイズをする」など、何かひとつを行うことで高まるというほど単純ではありません。強いストレスを受けると分泌されるコルチゾールというホルモンは、長時間の分泌によって免疫細胞を弱めてしまいます。一方、腸内にいる善玉菌は免疫系に働きかけ、免疫細胞の活性化を促します。腸内環境を整えることは免疫を高めるためにも大事なのです。
ストレスを上手に発散しながら、乳酸菌や食物繊維などを摂って腸内環境を整える、バランスの良い食事と適度な運動を行う。まさに「元気生活」が免疫力アップの基本なのです。

菅原洋平さん

監修者
薬学博士 田中 稔之先生

兵庫医療大学副学長、薬学部教授。東北大学卒業、東京都臨床医学総合研究所研究員、大阪大学大学院医学系研究科助教授などを経て、兵庫医療大学の教授に。2021年より現職。
著書に『初めの一歩は絵で学ぶ 免疫学「わたしの体」をまもる仕組み』(じほう)など。

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