
これだけは知っておきたい! コレステロールの5つのキホン
必要不可欠でありながら、増えすぎると動脈硬化などの要因にもなる「コレステロール」。
決して悪者なだけではないコレステロールのキホンを、医学博士の板倉弘重先生に詳しく教えていただきます。
キホン1
コレステロールは生命維持に不可欠!
実は食事からの摂取よりも肝臓で大部分がつくられる。
脂質の一種であるコレステロールは、体に悪いイメージがあるかもしれません。でも実は、私たちの全身の細胞膜を形成し、また、性ホルモンの材料にもなる必要不可欠な成分です。必要量のうち20〜30%は食事から摂取しますが、70〜80%は肝臓でつくられています。
キホン2
「LDLコレステロール」と
「HDLコレステロール」で
コレステロールは体内を循環する。
脂質のコレステロールは、たんぱく質と結合した粒子(=LDLコレステロール)になって肝臓から血管に移動し、全身の細胞に供給されます。コレステロールが余ると血管の壁に埋め込まれて酸化してしまい、動脈硬化の要因にもなります。そこで、コレステロールを回収する役割をもつ粒子(=HDLコレステロール)も形成され、体内を循環しています。
LDLコレステロール
肝臓から全身にコレステロールを届ける、生命維持に不可欠な「配達係」。しかし、増えすぎると血管にコレステロールを残留させて血管を傷つけてしまう「悪玉」の側面も。
HDLコレステロール
LDLコレステロールが放置した血管壁のコレステロールや、細胞の古いコレステロールを集めて肝臓に戻しに行く「回収係」。体のメンテナンスを担うため、「善玉」とされます。
コレステmemo
コレステロールは、たんぱく質と結合して「リポたんぱく質」という粒子(=乗り物)に乗り、血液中を移動します。LDL、HDLはこのリポたんぱく質の種類が異なりますが、コレステロール自体は同じ物質です。
キホン3
新項目「non-HDLコレステロール」とは?
健康診断の脂質の結果はここを見る。
体に必要不可欠なLDLコレステロールが「悪玉」として血管を傷つけるのは、コレステロールのバランスの乱れが原因です。健康診断のうち特定健診では、コレステロールのバランスを見る指標として、「non-HDLコレステロール」が新たな項目に加えられています。

総悪玉=non-HDL
コレステロールは要注意!
悪玉コレステロールとはLDLコレステロールだけではなく、中性脂肪が豊富な「VLDLコレステロール」をはじめ多種多様。この数値が高い血液中はコレステロールが大渋滞。中性脂肪が多く運ばれて筋肉や脂肪細胞に送られ、健康や肥満のリスクが高くなります。
キホン4
男性の40代以降、閉経後の女性は
特にコレステロール値に注意。
運動量や基礎代謝が低下すると体内の炭素や水素が余り、肝臓でつくられるコレステロールが増加するため、男性は40代以降にnon-HDLコレステロール値が上がる傾向が見られます。また、女性ホルモンにはコレステロールを抑える働きがあることから、女性は閉経によって女性ホルモンが減少し、コレステロール値が一気に高くなります。
キホン5
コレステロール値の対策は、生活習慣の改善から。
日々の小さな努力が大きな実りになります。
適切な食事と運動を
毎日の生活習慣にとり入れましょう
体内のコレステロールの量は、一定の状態を保とうとする機能(恒常性)によって常に安定していますが、何らかの原因で血液中のコレステロールが増えてしまうと、健康のリスクに影響します。
そこで大切になってくるのが、毎日の生活習慣です。適切な食事と運動は、肝臓に余計なコレステロールをつくらせないためには欠かせません。特に食事は重要で、1日3食、多品目を心がけましょう。食材によっては腸のコレステロール吸収や肝臓のコレステロール合成、血液中のコレステロールの酸化を抑制するものもあります。毎食にとり入れるなど、少しの意識でコレステロール値の対策は可能です。毎日の生活習慣にコツコツととり入れてみてください。
ストレスもコレステロールの増加や酸化の原因になります。睡眠や休養、気分転換を心がけましょう。
キホンの対策1
毎日体重を量りましょう
適正な体重を保つことが、健康への第一歩です。コレステロール値が高めの人の多くは、体重を減らすとコレステロール値も下がります。また、必要量以上の食事は、肝臓での過剰なコレステロール産生につながり、高めの数値の原因になります。毎日体重をチェックし、適切な食事量を心がけましょう。
キホンの対策2
おすすめの成分が含まれる食事を
摂るようにしましょう
適切なコレステロール値をキープするには、「何を食べるか」も大切です。以下の成分を含む食品を毎日の食事にとり入れたり、サプリメントを継続的に摂取したりしましょう。
コレステロール値対策におすすめの成分・食品は?
■ 食物繊維
不要なコレステロールは腸に排出されますが、長く腸に留まれば再吸収されてしまいます。食物繊維は腸の働きを活性化させ、腸内の老廃物を押し出してくれるため、日常的に摂取しましょう。
含まれる食品...野菜、果物、海藻類、穀物、芋類、豆類、きのこ類など
■ ポリフェノール
コレステロールの酸化や合成、吸収を抑制します。ただし、摂取後、数時間で効果が消えるため、こまめな摂取を心がけましょう。
含まれる食品...りんご、赤ワイン、緑茶、大豆など
■ 紅麹
肝臓でつくられるコレステロールを抑えます。食べる機会の少ない食品に含まれるため、サプリメントでおぎなうと良いでしょう。
含まれる食品...豆腐よう、紅酒(中国のお酒)など
■ 不飽和脂肪酸
魚や一部の植物油に含まれる油脂。肝臓のコレステロール合成を抑える働きがあります。
含まれる食品...青魚、オリーブ油、ゴマ油、アマニ油など
キホンの対策3
軽い有酸素運動を
1日30分毎日続けましょう
必要量の食事を摂りつつ、1日30分を目安に運動習慣を身につけましょう。運動をしてエネルギーを消費すると、脂質代謝が良くなり、LDLコレステロールや中性脂肪が減少します。ただし、激しい運動はコレステロール値の対策には逆効果です。頑張りすぎず、軽い運動を毎日続けましょう。