
アクティブライフの分岐点、40代からのひざ対策
ちょっとした違和感から始まる、ひざの不調。特に女性は40代から注意が必要です。10年後、20年後に悩まないために、今すぐ習慣としてとり入れたい、ひざ対策とアドバイスをご紹介します。
こまめに動くのがめんどう? それ、ひざのエイジングが始まっているせいかも
初期:始まりは、ちょっとした違和感
進行期:放っておくと、不調が日常化
1:ガーデニングのついでに太ももを鍛える
2:日常の動作にも筋トレをプラスする
3:毎日の食事で、元気なひざを守る
4:正しい歩き方をマスターする
5:ひざにやさしい靴と中敷きを選ぶ
6:お風呂でひざのストレッチをする
こまめに動くのがめんどう?
それ、ひざのエイジングが始まっているせいかも
自分では「忙しくて疲れているだけ」と思ってしている何気ない行動が、実はひざのエイジングが始まっているサインかもしれません。
例えば、最近こんなことはありませんか?
<ひざのエイジングサイン>
■ 初期:始まりは、ちょっとした違和感
「下りの階段はひざが気になって、いつもエスカレーター」
「しゃがむと立つときにひざが...。だから和式トイレはイヤ!」
「ひざがしんどくて、ハイヒールを履かなくなっちゃった」
こんな違和感がある方は、そろそろ要注意。一時的な不調と放置せずに生活習慣を見直して、いつも元気なひざをキープしましょう。
■ 進行期:放っておくと、不調が日常化
「朝起きて、ベッドから一歩踏み出すと、ひざに違和感が!」
「10分以上歩くとひざがガクガク。愛犬の散歩がしんどい」
「上り階段がつらくて、旅行も名所旧跡めぐりはちょっと...」
ひざの不調が続くと、楽しかった旅行や外出もめんどうになり、日々の楽しみが減ってしまいます。そうなる前に、毎日の生活の中でひざのエイジング対策を心がけましょう。
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女性は、早い人で40代から始まるひざの不調
若い頃はピッタリ合っている、ひざの軟骨と半月板。年齢とともに軟骨が減ると形が合わなくなって、半月板が割れてきます。これは加齢によって誰にでも起こる自然な現象で、それだけでひざが痛むわけではありません。
半月板の損傷に加え、体重増加や太ももの筋力低下によって、ひざの負担が大きくなると、まず違和感が発生。これが、ひざの不調「初期」の状態です。
そして進行すると、半月板の破片が横にはみ出して側副靱帯(そくふくじんたい)を圧迫し、痛みを感じるようになるのです。
体重の増加は、不調を悪化させる大きな原因。女性は、ホルモンバランスの変化で体重が増えやすい40代から注意が必要です。
元気なひざをキープする、
毎日のちょっとした工夫と対策
■ 1:ガーデニングのついでに太ももを鍛える
ひざのエイジングが進んでも、違和感や痛みがある人とない人の違い。それは太ももの筋肉。特に前面の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)がしっかり収縮することで、ひざを衝撃から守っているのです。
ジムへ行かなくても、太ももを鍛えるチャンスはいっぱい。例えばガーデニングが好きな方は、花の植え替えや植木鉢を移動させるときのしゃがんで立つ動作を筋トレと考えて、趣味とひざ対策の一石二鳥を狙いましょう。
■ 2:日常の動作にも筋トレをプラスする
パソコンの前に座っている時間が長い方は、何気ない動作に筋トレを加えてみませんか? 椅子から立ち上がるときに、目線は正面を向けたまま、お尻を浮かせて10秒キープ。これを3回ほど繰り返しましょう。ひざをサポートする大腿四頭筋とハムストリングスが鍛えられます。
こちらでも、手軽な足腰のトレーニングをご紹介しています。
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階段や段差は、最初の1歩が肝心
ひざに違和感があるとき、階段や段差で違和感のない足から1歩踏み出していませんか? 上りのときはそれでOKですが、実は下りでは逆効果。残った方の足は曲がった状態で体重を支えることになり、ひざへの負担が大きくなるのです。
ひざを守るためには、上りは違和感のない足から、下りは違和感のある足から、と覚えておきましょう。階段がつらいときは手すりを使い、1段ごとに2歩目の足を1歩目に揃える「1段2足」がおすすめです。
■ 3:毎日の食事で、元気なひざを守る
ひざの健康を守るためには、毎日の食事も大切。ひざを支える筋肉をつくるたんぱく質、骨を丈夫にするカルシウムやビタミンKなど、ひざに良い栄養素を含む食材を積極的に摂るようにしましょう。
<おすすめ食材>
●アボカド
軟骨のすり減りを繊維で覆って守る成分TGF-βを含む
●鶏むね肉
低カロリー高たんぱくで、筋肉にスタミナをつける
●納豆、ほうれん草
骨を強くするカルシウムやビタミンKを多く含む
●ブロッコリー
血管の劣化を防ぐスルフォラファンを多く含む
■ 4:正しい歩き方をマスターする
ひざを守る歩き方のポイントは、かかとから地面に着くことと、着地したときにひざがピンと伸びていること。ひざが伸びていれば、地面からの衝撃は股関節へと逃げ、ひざへの負担が小さくなります。
ウォーキングの際は、顔を正面に向けて背すじをまっすぐ伸ばし、ときどき早歩きをしたり、太ももを高く上げるなど、筋トレの要素もとり入れて大きな歩幅で歩きましょう。
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脳とひざの元気な相乗効果
ひざに違和感があると、つい家にこもりがち。でも動かさないと、筋肉も関節もますます衰えてしまいます。むしろ楽しい旅行やイベントには、積極的に出かけましょう。脳内でドーパミン、エンドルフィンなどの天然の痛み止め物質が分泌されて、多少の不調は忘れてしまいます。楽しい時間が脳を活性化させ、体を動かすことでひざも元気に。どんどん良い相乗効果が期待できます。
■ 5:ひざにやさしい靴と中敷きを選ぶ
ヒールのある靴は、ひざにとって大きな負担。元気なひざをキープするためには、ヒールのある靴はやめてフラットな靴やスニーカーなどにかえましょう。
靴の中敷きは、足を包み込むような形で、特に小指側が高くなっているタイプがおすすめです。地面からの力を外側へ逃がし、ひざ関節の内側に掛かる負担を減らせます。
さらに大切なポイントは、かかとのすり減った靴を履き続けないこと。ときどきチェックして外側がすり減っていたら、すぐに修理するか新しい靴と交換しましょう。
■ 6:お風呂でひざのストレッチをする
浮力が働く水中では、ひざに掛かる体重は、陸上の約1/3に減少します。ひざへの負担が少ない湯船は、ひざのトレーニングにピッタリの場所といえるでしょう。しっかりひざを動かすトレーニングで柔軟性がアップ。しなやかな動きをキープできます。
1:入浴中、湯船の縁に両手をついて、一度立ち上がる。
2:ゆっくり体重を乗せながらひざを曲げ、腰を落とす。
3:ひざをしっかり曲げた状態で10秒キープし、ゆっくり腰を上げて立ち上がる。これを2~3回繰り返す。
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つらいときこそおすすめ! 痛点ストレッチ
ひざに痛みが出てしまったときは、硬くなった筋肉や腱(けん)をやわらかくする「痛点ストレッチ」がおすすめ。ひざがつらい人はぜひ試してみてください。
<痛点ストレッチの方法>
イラストのA:鵞足(がそく)とB:内側側副靱帯(ないそくそくふくじんたい)を上から下へこするように、少し痛みがあるぐらいに押す。それぞれ1秒ずつ10回、1回に3セット行う。
最初は朝起きたときと夜寝る前の1日2回。慣れてきたら徐々に回数を増やし、朝食後、昼食後、夕食後も加えて1日5回を目標にしましょう。
まとめ
元気なひざを保つ秘訣は、太ももの筋肉づくりと、ひざに負担を掛けない生活習慣。ちょっとした筋トレ、正しい歩き方や靴選び、ひざのために良い食材、ストレッチなど、手軽にできることから毎日の暮らしにとり入れて、これからも楽しく歩けるひざをキープしましょう。