
年齢とともにみんな高くなる!? 知っておきたい血圧のリアル
どう見れば良いのかイマイチわからない健康診断の結果を、検査項目のひとつひとつに焦点を当てて徹底解説する「健康診断のミカタ」。今回はよく知っていそうで意外な落とし穴がある血圧を取り上げます。
たくさんの数値が並ぶ健康診断の結果表。
奥が深いその世界へ、この2人がご案内します。

ちょっと天然な女の子、せっちゃん

なんでも知ってる物知りの男の子、はっくん
血圧で何がわかる?
年齢を重ねるほどに気になってくる数値のひとつが血圧。そもそも血圧とは、血管の内壁を押す血液の力(圧力)を示すもの。心臓がギュッと収縮して大量の血液を送り出すときに血管にかかる強い圧力を最高血圧(収縮期血圧)、心臓が拡張して次に送り出す血液を溜めているときに血管にかかる圧力を最低血圧(拡張期血圧)と呼びます。
血圧でわかることは、血管にかかっている負荷の大きさ。血圧が高いほど血管にかかる負荷が大きく、血管の柔軟性が損なわれたり、血管の内壁にキズができてそこに余分な脂質などが蓄積。動脈硬化のリスクが高まるのです。コワいですね。
120/80を超えたら要注意
駅の階段を駆け上がったときや緊張したときに、心臓がドキドキした経験は誰にでもあるはず。血圧もそうした行動や時間帯、季節によって常に変動しています。さらに大きな影響を与えるのが年齢。私たちの血管は加齢とともに弾力性が低下し、血圧が高くなっていきます。健康診断の結果が届いたら年々高くなっていないかを確認しましょう。
診断のうえでは下表のように最高血圧140mmHg未満かつ最低血圧90mmHg未満(どちらか一方でも基準値を超えれば高血圧)であれば健康的な数値の範囲。でも正常血圧を超えたら高血圧に近づいている危険サイン。対策の始めどきです。
ちなみに動脈硬化の指標としては「脈圧」も使われます。最高血圧から最低血圧を差し引いた数値で、これが60以上なら動脈硬化のリスクが高いので一度チェックを。
◆脈圧の計算例
最高血圧138mmHg/最低血圧75mmHgの場合
138-75=63 脈圧は「63」で動脈硬化のリスクが高い
\もしやあなたも!?/
仮面高血圧って知っていますか?
家では正常値なのに病院で測ると高くなることを「白衣高血圧」といいますが、この真逆が「仮面高血圧」。医師の前では正常値のため、対策や治療が遅れて気づいたときには深刻な事態になることも。しかも健康診断で正常値だった人の約10人に1人はこの疑いがあるといわれています。近頃は街の薬局や地域センターなどに血圧計が設置されていることが多いので、見かけたらその都度計測。高めだと思ったら、そのデータを持って医師に相談してみましょう。
高すぎor低すぎがまねく健康リスクは?
世界保健機関(WHO)では、最高血圧100mmHg以下、または最低血圧60mmHg以下を「低血圧」としています。ただ、低血圧はめまいや立ちくらみといった症状がなければ問題はないといわれています。健康リスクが大きいのは、やはり血圧が高い場合。高血圧ではなくても、血圧が高いほど病気のリスクが高くなることがわかっています。
そして健康リスクをより大きくするのが、血圧が高くてもほとんど自覚症状がないことでしょう。自分でも気づかないうちに、高血圧の状態が続いて動脈硬化が進行。全身のどこかの血管が詰まったり破れたりする可能性があるのです。それが心臓や脳の場合は命にかかわることにも。
高めの血圧対策ガイド
年齢を重ねるとともに高くなる血圧。その健康リスクを抑えるために今から取り組みたい対策と、その効果をご紹介しましょう。
いくら体に良いと言われても、生活習慣はなかなか変えられないもの。でも上記のグラフのとおり、ここで紹介する5つは効果が期待できる対策ばかり。ぜひ一つでも多くとり入れていきましょう。
1. 減塩
血液中の塩分濃度が上がると血圧が高くなることがわかっています。料理の際には減塩の調味料を使う、ダシを効かせるといった工夫に加え、塩分の排出を促すカリウムを多く含む野菜や果物(ほうれん草やにんじん、アボカドなど)も積極的に摂りましょう。
2. DASH食
「高血圧を防ぐ食事法(Dietary Approaches to Stop Hypertension)」の略であるDASH食は、野菜や果物、魚、豆類やナッツ類を中心に摂り、飽和脂肪酸やコレステロールの多い肉類、砂糖を含む甘い飲み物や菓子などを減らす食事法。少しずつでも意識してDASH食をとり入れてみてください。
3. 減量
特に内臓脂肪は血圧や動脈硬化の大敵。(VOL.1「ホントにコワい腹囲に隠された事実」も参照) BMI25以上の人やおなかのぽっこりが気になる人は早めに解消を!
4. 運動
適度な運動は、血圧を下げるといわれています。今より約15分ほど長く歩く、家でストレッチをする、サイクリングをするなど、できるだけ体を動かしていきましょう。
5. 節酒
実はアルコールを飲んだ後の数時間は、血圧が下がります。でも習慣的に飲酒をすると、血圧は高くなるといわれています。これには、おつまみの影響も大きいといわれています。ときどき飲む程度に抑えたいですね。
血圧って全身の健康に大きくかかわるんだね!
去年の健康診断の結果より高くなったと思ったら、早めに対策していこう。
上手に健康診断を活用するコツ
■健康診断の判定の指示にしっかり従う
■健康診断の結果をベースに、生活習慣を見直す
■健康診断の結果は、その年だけでなく、2年前、1年前と比較して見る
■基準値とされる数値内でも2年前、1年前から悪化している数値があれば対策を検討する
次回(8月1日(火)リリース)予告!
大人の5人に1人は数値に異常があるといわれる「血糖値」を取り上げます。