つい食べ過ぎてしまう原因は? 食べ過ぎのリスクや抑える方法を紹介
つい食べ過ぎてしまい、翌日後悔する……。誰でも一度はそんな経験をしているのではないでしょうか。
「一度くらいの食べ過ぎなら問題ない」と思ってしまいがちですが、食べ過ぎの背景には見直すべき生活習慣や病気が潜んでいることも。また、食べ過ぎで引き起こされる病気もあります。
今回は、食べ過ぎてしまう原因や、食べ過ぎることで高まるリスク、食べ過ぎを抑える方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
1. つい食べ過ぎてしまう原因とは?
ダメだとわかっているのに、ついつい食べ過ぎてしまうのはなぜ......?考えられる主な原因としては、以下の5つが挙げられます。
ストレスによる過食
対人関係や仕事などでストレスが溜まると、食べることで発散しようとする場合があります。ストレスを感じると、脳内で「コルチゾール」「ノルアドレナリン」「ドーパミン」といった、食欲促進作用があるホルモンの分泌が増えるといわれており、過食につながると考えられています。
糖質の摂り過ぎ
糖質の多い食事を摂ると、食後に急激に血糖値が上昇し、ピークに達すると一転して急激に血糖値が下降し、低血糖を招くことにつながります。低血糖になると自律神経が乱れ、強い空腹感からつい食べ過ぎてしまうことがあります。
睡眠不足
睡眠時間と食欲には深い関わりがあることが分かっています。2004年にアメリカのスタンフォード大学が行った調査の結果、5時間しか寝ていない人は8時間寝た人と比較して、食欲がわく作用を持つホルモン「グレリン」の量が約15%多く、逆に食欲を抑える作用を持つ「レプチン」の量が約15%低いことが明らかになりました。
これは、睡眠時間が少ないことで「長くなった活動時間に見合うエネルギーを確保しようと、脳が食べることを促すから」だといわれています。
栄養不足
自分では十分に食事をしているつもりでも、実は食事のバランスが悪いために本来必要な栄養素が不足している可能性もあります。そうすると足りない栄養素を補うために、つい食べ過ぎてしまう原因になることがあります。
例えば、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で示されている18歳~49歳の女性の三大栄養素の食事摂取基準の目標量(%エネルギー)と、それをもとに一日の推定エネルギー必要量(kcal/日)を算出した結果は下記の通りです。一つの目安として、日々の食生活を見直してみましょう。
■女性の一日の推定エネルギー必要量(kcal/日)
身体活動レベルは問わず、18〜49歳の平均を2,025kcalとして算出。
・ |
たんぱく質:13〜20(%エネルギー) 2,025×0.13〜0.2=263〜405(kcal) |
・ | 脂質:20〜30(%エネルギー) 2,025×0.20〜0.3=405〜607(kcal) |
・ | 炭水化物:50〜65(%エネルギー) 2,025×0.50〜0.65=1,012〜1,316(kcal) |
※すべて18〜49歳の目標量
※%エネルギー=総エネルギー量に占めるべき摂取量の割合
※計算式は小数点以下切り捨て
出典:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
ホルモンバランスの影響
女性の場合は、生理前にホルモンバランスの影響で食欲のコントロールが難しくなるもの。プロゲステロンという女性ホルモンが増えることで、血糖値が増減し、甘いものが欲しくなったり、身体が空腹を感じるようになり、つい食べ過ぎてしまうことにつながるのです。
2. 食べ過ぎで引き起こす健康リスク
食べ過ぎてしまうことで引き起こされてしまう健康リスクには、主に下記の4つがあります。
肥満
食べ過ぎてしまうと、消費するエネルギーよりも摂取するエネルギーが過多になり、肥満を引き起こす可能性があります。
高血圧
血圧を上げる作用がある塩分の過剰摂取と、高血圧との関係性は以前から指摘されてきました。しかし、最近では肥満と高血圧の関係性についても指摘されており、食べ過ぎが高血圧の原因の一つとして認識されるようになりました。
糖尿病
暴飲暴食によって肥満になると、糖尿病になるリスクが高まります。
肥満になると、インスリンの分泌機能がうまくいかなくなります。インスリン量を保とうと働きすぎた膵臓の機能が低下し、高血糖状態が続いて糖尿病につながるといわれています。
胃腸の不調
食べ過ぎると食べ物が胃に長く滞在することになり、胃もたれなどの不調を感じることも。
また、消化が不十分なまま腸に食べ物が送られると、十二指腸が処理をしきれずに消化不良となり、胃腸の不調を招くこともあります。
3. 今日から実践! 食べ過ぎを抑える方法
では、食べ過ぎを抑えるにはどうしたら良いのでしょうか。今日からすぐに実践できる方法をご紹介します。
食生活を改善する
食事と食事の間が空いてしまうと、次の食事で食べ過ぎてしまうことがあります。一日3食、できるだけ規則正しく食べましょう。食べ過ぎを防ぐために、常に腹八分目を心がけることも大切。
また、自分にとって適切なカロリーを知り、推定エネルギー必要量を確認しておきましょう。18〜49歳までの女性の場合、一日の推定エネルギー必要量(kcal)は下記の通りです。ぜひ参考にしてください。
■ 18歳〜29歳の場合
身体活動レベルが低い人 :1,700kcal
身体活動レベルが普通の人:2,000kcal
身体活動レベルが高い人 :2,300kcal
■ 30歳〜49歳の場合
身体活動レベルが低い人 :1,750kcal
身体活動レベルが普通の人:2,050kcal
身体活動レベルが高い人 :2,350kcal
出典:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
ただし、人によって避けるべき食材があるなど、食事の内容改善には注意が必要な場合もあります。通院中や治療中の病気がある場合などは、医師に相談のうえで改善することが大切です。
ゆっくりよく噛んで食べる
ゆっくりとよく噛んで食べると、脳の満腹中枢が刺激されます。その結果、食べ過ぎを防ぐ効果が期待できます。
よく噛むことはインスリンの分泌を促し、肝臓や筋肉に蓄えられていた糖がグルコースとして血液中に放出されたり、全身のエネルギー代謝が活発になったり、体内の脂肪が燃焼しやすくなるメリットもあります。
ストレスを溜めないようにする
ストレスが溜まると、食欲を促進させる作用があるホルモンの分泌が増え、つい食べ過ぎてしまう可能性があります。そのため、ストレスを溜め込まないことが大切。
日頃から没頭できる趣味を持つ、人に会って気分転換するなど、ストレスを発散する方法を身につけておきましょう。
サプリメントを活用する
食べ過ぎを抑えるためには、適度な運動とバランスの良い食生活が大切ですが、食生活のバランスを整えるためにサプリメントを活用する方法もあります。
ただし、サプリメントはあくまでも食品で、効果の感じ方については個人差があります。一つの選択肢として補助的に摂り入れてみてもよいでしょう。
4. 食べ過ぎた次の日はどうすればいい?
どんなに気をつけていても、食べ過ぎてしまった......と後悔すること、ありますよね。ここでは、食べ過ぎた次の日にできることをご紹介します。
消化によいものを摂る
食べすぎてしまった次の日は、胃腸にやさしく消化の良い食べ物を摂るようにしましょう。食材としては、だいこん、たまねぎ、魚の白身、豆腐、納豆、牛乳などの乳製品、りんご、バナナ、ごはん、うどんなどが挙げられます。
出典
消化の良いもの・悪いもの|国立がん研究センター
9月 食事を正して胃腸の調子を整える! | 健康サポート | 全国健康保険協会
白湯を飲む
白湯を飲むと胃腸が温まり、消化力を高める効果が期待できます。食前にコップ一杯程度の白湯をゆっくりと飲みましょう。
白湯の作り方や飲み方については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
腸内環境を整える
食べ物は食道から胃を通って小腸に届き、分解された栄養素が吸収され、残りが大腸へと運ばれます。そのうち水分は粘膜から吸収され、残りがお通じとなって排泄されます。この腸の働きをサポートするのが、腸内フローラに存在している細菌です。
しかし、食べ過ぎると腸内の細菌バランスが崩れ、お通じにも悪影響を及ぼす可能性も。そうした影響を防ぐためにも、腸内環境を整えることが大切です。
腸内環境の整え方は、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
5. もしかしたら、過食性障害の可能性も
短い期間に、大量の食べ物を食べているにもかかわらず排出行動を取らず、過体重か肥満である場合には、過食性障害の可能性があります。その場合は、過食を抑制するための治療が必要です。もしかして......と可能性を感じたら、速やかに病院へ受診しましょう。
6. まとめ
「たかが食べ過ぎ」と甘く見てしまいがちですが、重大な疾患が関係している場合や、食べ過ぎを続けることで病気のリスクが高まる場合があります。この機会に食生活を中心に日常生活を見直し、健やかな心身を育みましょう。