新陳代謝とは? 基礎代謝との違いや高めるための方法を紹介
「代謝」が付く言葉に、基礎代謝と新陳代謝があります。「基礎代謝の高い身体はやせやすい」などといいますが、新陳代謝とはどのように違うのでしょうか。ここでは、新陳代謝について基礎代謝との違いや、新陳代謝が悪いと体にどのような影響があるのかを解説します。また、運動や食事、睡眠などの生活習慣を通じ、新陳代謝を高めて健康状態を維持するための具体的な方法も詳しくご紹介します。
1. 新陳代謝とは

新陳代謝(しんちんたいしゃ)とは、体内で新しい細胞と古い細胞が入れ替わることをいいます。正常な新陳代謝が行われることで、細胞の機能や形態が保たれ生命が維持されています。皮膚のターンオーバーや、髪の毛のヘアサイクルなどは、目に見える新陳代謝の例として挙げられます。皮膚や髪の毛だけでなく、内臓や骨、筋肉など全身のあらゆる細胞で新陳代謝が行われており、そのサイクルは部位によって異なります。個人差もありますが、おおよそ3ヵ月で全身の細胞が新しい細胞に入れ替わるといわれています。
細胞の新陳代謝の一般的なサイクルは以下のとおりです。
● 胃・腸:約5日
● 心臓:約22日
● 皮膚:約28日
● 肝臓・筋肉:約2ヵ月
● 骨:約3ヵ月
新陳代謝は、食事から得た栄養を分解してエネルギーを生み出す「異化(いか)」と、そのエネルギーを使って新しい組織をつくる「同化(どうか)」という2つの働きから成り立っています。この2つが協力することで、細胞の生成、修復、老廃物の排泄が行われています。つまり、新陳代謝とは、私たちの体を常に新しく健康な状態に保つための、生命活動の根幹を成すしくみといえます。
2. 基礎代謝との違い
新陳代謝は細胞が入れ替わるしくみをあらわすのに対し、基礎代謝は体温の維持や臓器の最低限の活動に必要なエネルギー量のことをいいます。基礎代謝量ともいい、体が1日に消費するエネルギー量の約60%を占め、特に筋肉や肝臓、脳が消費する割合が多いです。基礎代謝(量)は、体格や年齢によって個人差が大きく、体温、ホルモン、環境などで変化します。
つまり、新陳代謝は「細胞の入れ替わり」、基礎代謝は「エネルギー消費の指標」として、それぞれ健康管理に重要な役割を果たします。
3. 新陳代謝が悪いとどんなことが起きる?

新陳代謝が悪くなると、具体的にはどのようなことが起きるのでしょうか。美容や健康、ダイエットにわけてご紹介します。
美容面で起きること
新陳代謝が悪くなると、美容面では次のようなことが起きると考えられます。
● 肌トラブルが増加する
皮膚の新陳代謝が乱れると、角質層やメラニンが排出されず蓄積しやすくなり、シミ・そばかす、くすみの原因になります。また、新陳代謝で保たれていた皮膚のバリア機能が低下して、水分が蒸散されやすくなり肌が乾燥し、肌あれの原因にもなります。さらに皮膚の修復が遅れるためにニキビの痕が治りにくいということもあります。
このように新陳代謝が乱れることで、複数の問題が連鎖的に生じ、結果として肌全体のコンディションに影響が及ぶのです。
● むくみ・たるみの悪化につながる可能性
新陳代謝が悪いと、老廃物や水分が体に滞りやすくなります。特に顔では、リンパ液が皮膚のすぐ下にたまり、むくみが生じます。そして、むくみを繰り返すと、皮膚が張った状態が続き伸びきってしまうことで、目元やフェイスラインのたるみに変わってしまうのです。
また顔だけでなく、足は重力によって水分がたまりやすいため、立っている時間や座ったままの時間が長いとむくみやすくなります。このように、新陳代謝の低下は見た目の老化につながりやすいため、美容面でのリスクになります。
健康面で起きること

新陳代謝が悪くなると、健康面では次のようなことが起きると考えられます。
● 冷え性や体温の低下につながる
私たちの体は、新陳代謝の過程で生み出されるエネルギーによって体温を調節しています。新陳代謝が悪くなると、体内で作られる熱が減少し、体温が低下します。体温が1℃低くなると新陳代謝の重要な要素である基礎代謝量も10~13%低下するといわれているため、さらに体温の低下につながります。その結果、寒がりになったり、手足が冷えやすくなったりする冷え性の症状が現れやすくなります。
● 免疫力の低下につながる
新陳代謝が悪くなると、前述のとおり体温が低下しますが、体温低下に伴い血流やリンパの流れも悪くなります。そのため、異物を攻撃して排除する免疫細胞(白血球)の動きが悪くなり、免疫力の低下につながります。また、新しい細胞の入れ替わりが遅れるため、皮膚のバリア機能が低下し、異物が体内に侵入しやすくなります。新陳代謝が悪くなることでもたらされるさまざまな状態によって、感染症にかかるリスクが高まりやすくなります。
● 疲れやすさ、だるさなどの原因になる
新陳代謝が悪くなると、細胞が十分なエネルギーを作れなくなります。その結果、全身のだるさや疲れなどの症状があらわれることがあります。また、新陳代謝が悪くなると、老廃物の処理が遅れ、体をさびつかせる活性酸素や炎症を起こすサイトカインなどの有害物質がたまりやすくなります。これらが細胞を傷つけ、脳に疲労信号を送ることで、慢性的な疲労感や倦怠感を感じやすくなるのです。
ダイエット面で起きること

新陳代謝が悪くなると、ダイエット面では次のようなことが起きると考えられます。
● ダイエットの効果が出にくい
新陳代謝が悪くなると、その過程で生み出されるエネルギー量が減るため、体は基礎代謝量(生命維持に必要な最小エネルギー)を下げて生命維持のために脂肪を温存しようとします。特に食事制限に頼ったダイエットでは、新しい細胞を作るための材料となる栄養が不足することや、筋肉量が減少することで基礎代謝量がさらに低下するという悪循環になります。その結果として、太りやすく、やせにくい体質につながり、ダイエットの効果が出にくくなります。
● ダイエットの継続が難しい
新陳代謝が悪いと、活性酸素や老廃物などが排泄されにくいため、疲れがたまりやすかったり、疲労の回復が遅れたりすることが、ダイエットの継続の意欲をそぐ原因となります。さらに食事制限や運動量を増やしても、前述のとおりダイエットの効果が出にくいことから、新陳代謝が悪い状態でのダイエットは、モチベーションの維持が難しいといえます。
4. 新陳代謝を高めることで得られるメリット

新陳代謝を高めるというのは、新陳代謝のサイクルを早めるということではなく、部位ごとに決まっているサイクルが乱れないようにすることです。では、新陳代謝を高めると、どのようなメリットが得られるでしょうか。
アンチエイジング効果や肌の健康が保てる
新陳代謝を高めることで、アンチエイジング効果が期待できます。例えば、皮膚はターンオーバーが正常に保たれることで、キメの整ったみずみずしい肌を保つことができます。また、皮膚のバリア機能が向上し、トラブルが少ない健康な肌を保つことができます。さらに、水分や老廃物がスムーズに排出されるため、むくみやたるみも解消されやすくなります。
免疫力の向上や肩こり・冷え性の改善につながる
新陳代謝が高まると、血液の流れが良くなり、全身の細胞に酸素や栄養が効率良く運ばれるようになります。その結果として、免疫細胞が働きやすくなり免疫力が向上します。また、筋肉への血流が増えることで、肩や首まわりの筋肉の緊張やこわばりがほぐれ、肩こりの軽減につながります。さらに、末梢血管への血流が改善されることで、手足の先まであたたかい血液が届きやすくなり、冷え性の改善が期待できます。
効率的なダイエットが可能になる
新陳代謝を高めることで、生命活動に必要なエネルギー消費である基礎代謝量が上がり、体内のエネルギー消費が促されます。基礎代謝量が上がると、運動をしていない安静時でもカロリー消費量が増加するため、脂肪が燃焼されやすく、太りにくく痩せやすい体質になります。
さらに新陳代謝により細胞が生まれ変わったり、老廃物や水分の排出がスムーズに行われたりすることで、肌や髪にハリやツヤをもたらし、すっきりしたボディラインになることが期待できます。新陳代謝を高めることが、健康的で効率的なダイエットの実現につながります。
5. 新陳代謝を高める方法

新陳代謝が高いと、太りにくくなったり、疲れにくくなったりと、体にうれしい変化が期待できます。では、日常生活の中で新陳代謝を高めるには、どのような工夫ができるのでしょうか。
運動習慣を取り入れる
運動は、筋肉量を増やしたり血流を促したりすることで、新陳代謝を高める働きがあります。ここでは、運動の種類ごとに、新陳代謝への影響を解説します。
● 有酸素運動を取り入れる
有酸素運動は、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳など、酸素を取り込みながら、一定の時間継続して行う運動です。有酸素運動をすることで、呼吸数や心拍数が増え、体内に取り込まれる酸素が増加します。そして、効率的に体内で糖質や脂質を燃焼させてエネルギーに変換するため、新陳代謝が高まります。
また、体温が上がって細胞の働きが活発になり、血流やリンパの流れが良くなることで老廃物の排出が促進され、さらに新陳代謝が高まります。そのため、息が弾み汗をかく程度の運動(中強度の有酸素運動)を週60分以上がすすめられています。例えば、ラジオ体操やピラティス、早歩き、テニスや卓球など好きなスポーツなどの運動を、1回20分程度を週3回に分けたり、週末に1回60分の運動を取り入れたりしても効果が得られるので、習慣づけると良いでしょう。また、世界保健機関(WHO)のガイドラインによると、中強度の有酸素運動を週150分以上を目安に行うと、将来の病気の予防につながるといわれています。無理のない範囲で続けると良いでしょう。
● 筋力トレーニングを取り入れる
筋力トレーニングとは、負荷をかけて筋力を向上させるための運動です。マシンやダンベルなどの重りを使って行う運動だけでなく、自分の体重を使って行う、腕立て伏せやスクワットなども筋力トレーニングです。
筋力トレーニングを行うと、発生する乳酸が脳を刺激して成長ホルモンが分泌されることがわかっています。成長ホルモンは、新陳代謝にかかわり、組織の修復や疲労回復、免疫機能に作用するため、筋力トレーニングは新陳代謝を高めるために効果的といえます。運動強度にかかわらず成長ホルモンは分泌されるため、週2~3日を目安に、休息日を設けながら体力やライフスタイルに合わせた筋力トレーニングを続けるようにしましょう。
● 日常の身体活動量を増やす
身体活動とは、例えば、掃除や洗濯などの家事、犬の散歩、買い物、通勤、階段の昇り降りなど、日常生活の中で体を動かすことをいいます。運動を習慣づけるだけでなく、日常生活における身体活動量を意識して増やすことも、新陳代謝を高めるのに役立ちます。長時間座り続けると血液やリンパの流れが低下し、新陳代謝の低下につながるため、30分を目安に立ち上がったり軽く体を動かしたりすると良いでしょう。
たんぱく質を意識して摂る
たんぱく質は、新陳代謝に必要なエネルギー源です。また、筋肉、臓器、血液、皮膚、髪、歯、爪などの細胞や、代謝に必要なホルモンや酵素などの材料でもあります。そのため新陳代謝を高めるためには、肉類、魚介類、卵、大豆製品などから、良質なたんぱく質をバランス良く摂ることが大切です。
バランスの取れた食事を意識する
食べ物を分解してエネルギーを生み出したり、新しい細胞をつくり出したりする新陳代謝には酵素が必要です。この酵素の働きを助けているのが、ビタミンやミネラルなどの補酵素と呼ばれる栄養素です。ビタミンやミネラルは食べ物から摂る必要があるものが多いため、新陳代謝を高めるためには、バランスの良い食事で栄養素をまんべんなく摂ることが非常に重要です。
水分をしっかり摂る
新陳代謝を高めるためには、十分な水分補給が欠かせません。
体内の水分は、私たちの健康を維持するために重要な役割を果たしています。具体的には、酸素や栄養素を体中に運んだり、老廃物を体外に排出したり、体温を適切に調節したりする働きがあります。これらの働きによって、新陳代謝がスムーズに行われる環境が整えられているのです。
体内の水分が不足してしまうと、こうした大切な役割が十分に果たせなくなります。その結果、新陳代謝も低下してしまうため、日頃から意識的に水分を摂ることが重要です。
成人の場合、食事から摂取する水分とは別に、1日当たり約1.2リットルの水分補給が必要とされています。一度に大量に飲むのではなく、こまめに水分補給をするよう心がけましょう。
質の高い睡眠を意識する
新陳代謝を高めるには、睡眠時間を確保し、質の高い睡眠を意識することが大切です。就寝直後にあらわれる深い眠りのノンレム睡眠では、成長ホルモンの分泌が盛んになり、細胞の修復や再生を促し新陳代謝が高まるからです。
また、質の良い睡眠をとると、副交感神経が優位になり内臓の働きや体温調節が整うことで、さらに新陳代謝に良い影響を与えます。睡眠時間や質の高い睡眠を確保するためには、規則正しい生活、運動やストレス解消、就寝環境を整えることなどを意識しましょう。
体を温める習慣をもつ
新陳代謝を高めるためには、体を温める習慣が大切です。体が温まると血管がひろがり、血流が良くなります。その結果、からだに酸素や栄養が行き渡り、老廃物や疲労物質などが排出されやすくなり、新陳代謝が高まります。
体を温める方法として、入浴の際37~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくりつかること、温かい飲み物を飲むこと、しょうがなど体を温める食べ物をとること、太い血管のある首筋やおなかをあたためることなどがおすすめです。
6. まとめ
新陳代謝は古い細胞が新しい細胞に入れ替わるしくみで、生命維持に不可欠です。低下すると肌トラブルや免疫力低下、太りやすい体質などのリスクが生じますが、高めることで健康の維持や美容、ダイエットに多くのメリットがあります。新陳代謝を高めるために、適度な運動習慣、良質なたんぱく質を摂ることやバランスの良い食事、十分な水分補給、質の高い睡眠、体を温める習慣を取り入れ、新陳代謝のサイクルを整えることが大切です。




