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 1. 基礎代謝とは? 

基礎代謝とは、人が覚醒している状態で生命活動を維持するのに必要最低限なエネルギーのことを指します。基礎代謝は1日の消費エネルギーの約60%を占めるといわれており、一般的に女性よりも男性のほうが高く、10代をピークに加齢とともに下がっていく傾向にあります。

また、基礎代謝量は同じ年齢や性別、身長や体重だとしていても、すべての人が同じとは限らず、個人差があります。


 2. 基礎代謝が体にもたらす影響とは? 

基礎代謝は、私たちの体にどのような影響をもたらすのでしょうか。詳しく解説します。

基礎代謝が下がると起こること

基礎代謝が下がると消費するエネルギーが減少し、徐々に太りやすく痩せにくい体質に変化していく可能性があります。また、基礎代謝が下がることで基礎体温が低下し、免疫力の低下にもつながります。

基礎代謝が下がる原因

基礎代謝が下がることで起きる上記のようなデメリットを避けるためには、その原因となる偏った食事や加齢、筋肉量の低下などについて理解し、日常生活の心がけによって基礎代謝の低下を防ぐことが大切です。

<無理なダイエットなど偏った食事で下がる>
無理なダイエットなどで食事が偏ると、腸内フローラが乱れ、腸内環境が悪化します。その結果、胃腸の働きが悪くなり、エネルギー効率も悪化して、基礎代謝の低下につながる可能性があります。

また、偏食は栄養摂取量やカロリーの不足から筋肉量の減少や分解を招き、その結果、基礎代謝の低下へとつながります。朝食を抜くことも各臓器の体内時計の異常につながり、筋肉量の減少をもたらして、同じく基礎代謝の低下を招く可能性があるので注意しましょう。

このように、偏った食事は基礎代謝や筋肉を低下させ、筋肉が落ちることによってさらなる基礎代謝の低下につながってしまいます。そのため、朝食を抜く、特定の栄養素を取らないなどの無理なダイエットなどは控えましょう。

<加齢とともに下がる>
個人差はありますが、基礎代謝は10代をピークに加齢とともに下がる傾向にあります。これは、加齢に伴い筋肉や骨などの除脂肪組織(脂肪を除いた組織のこと)の量が減少することと関係しているといわれています。それに加え、加齢によって各臓器の代謝率が低下することも、基礎代謝の低下と関係があると考えられています。

<筋肉が落ちると下がる>
加齢に加え、運動不足で筋力が落ちることがあります。これも基礎代謝が下がる原因と考えられます。特に、骨格筋で消費される基礎代謝の量は高く、全体の約22%といわれています。そのため、骨格筋は基礎代謝に影響を及ぼすと考えられます。

基礎代謝を上げることで得られるメリット

ここまでのお話で、基礎代謝が下がることでさまざまなデメリットがあることがわかりましたが、逆に基礎代謝を上げることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく解説していきましょう。

<痩せやすくなる>
基礎代謝が高いと、1日のエネルギー消費量が増え、血行を促進したり脂肪を燃焼したりする働きが活発になる効果が期待できます。その結果、太りにくく痩せやすい体質になると考えられます。

<肌がきれいになる>
基礎代謝が下がると新陳代謝が遅くなり、くすみやニキビなどの肌トラブルを引き起こす可能性があります。逆に、基礎代謝が上がって新陳代謝が正常になると、肌がきれいになるためのサイクルが整い、美肌を育むことができます。

<冷えにくくなる>
基礎代謝が上がると、生み出される熱量が増えるため、効率良く体を温めていられるようになります。その結果、体が冷えにくくなり、免疫力が高まることによって風邪などにもかかりにくくなる効果が期待できます。


 3. 基礎代謝の理想的な数値とは? 

ここまで、基礎代謝が下がるデメリットと上がるメリットについてお話しましたが、その基準となる理想的な数値はいくつなのでしょうか。

ここでは、基礎代謝の平均値やその計算方法について解説します。

基礎代謝の平均値

基礎代謝は、年齢や体重、身長が同じ人でも同じ数値になるとは限りませんが、厚生労働省では年齢・性別ごとに参照体重における1日あたりの基礎代謝量を公表しています。

■ 男性
15歳〜17歳...1,610kcal(参照体重59.7kg)
18歳〜29歳...1,520kcal(参照体重63.2kg)
30歳〜49歳...1,530kcal(参照体重68.5kg)
50歳〜69歳...1,400kcal(参照体重65.3kg)
70歳以上...1,290kcal(参照体重60.0kg)

それによると、男性は15歳〜17歳でピークを迎え、参照体重59.7kgに対し1日の基礎代謝量の平均値は1,610kcalになります。18歳〜29歳では参照体重63.2kgに対し1,520kcal、30歳〜49歳では参照体重68.5kgに対し1,530kcalと、ここまでは大きな変化はありません。

しかし、50歳〜69歳では参照体重65.3kgに対し1,400kcalと少し下がり、70歳以上になると参照体重60.0kgに対し1,290kcalまで下がります。


■ 女性
12歳〜14歳...1,410kcal(参照体重47.5kg)
15歳〜17歳...1,310kcal(参照体重51.9kg)
18歳〜29歳...1,110kcal(参照体重50.0kg)
30歳〜49歳...1,150kcal(参照体重53.1kg)
50歳〜69歳...1,100kcal(参照体重53.0kg)
70歳以上...1,020kcal(参照体重1,020kcal)

一方女性はというと、12歳〜14歳で参照体重47.5kgに対し1日の基礎代謝量の平均値は1,410kcalで、男性よりも早くピークを迎えます。15歳〜17歳では参照体重51.9kgに対し、1,310kcalに低下。

その後も数値は下がる傾向にあり、18歳〜29歳では参照体重50.0kgに対し1,110kcal、30歳〜49歳で参照体重53.1kgに対し1,150kcal、50歳〜69歳では参照体重53.0kgに対し1,100kcal、70歳以上で参照体重49.5kgに対し1,020kcalまで下がります。

出典:加齢とエネルギー代謝|厚生労働省e-ヘルスネット (表1: 日本人の基礎代謝基準値)

基礎代謝の計算方法

あなたと同じ年代の平均的な基礎代謝の数値を、実際に計算してみましょう。ハリス・ベネディクト方式には、本来版、改訂版、日本版の3つがありますが、ここでは日本人向けのハリス・ベネディクト方式(日本版)を使った計算方法をご紹介します。

■ 男性の場合
基礎代謝量(kcal)=66.4730+13.7516×体重(kg)+5.0033×身長(cm)−6.7550×年齢

■ 女性の場合
基礎代謝量(kcal)=655.0955+9.5634×体重(kg)+1.8496×身長(cm)−4.6756×年齢

参照:日本人の食事摂取基準(2020年版)|厚生労働省


 4. 基礎代謝を上げる方法 

基礎代謝の平均値に対するご自分の基礎代謝の数値はどうでしたか? 平均値よりも低かった方は、以下に基礎代謝を上げる方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ゆっくり入浴する

基礎代謝を上げるためには、ゆったりと入浴しましょう。体が芯から温まり、全身の血行が促進されることによって、基礎代謝を上げることに繋がります。

湯船の温度は、副交感神経が優位になりやすい40°C程度のぬるめのお湯がおすすめです。入浴時間は、温浴効果がある入浴剤を入れるなら15分、入浴剤を入れないなら20分程度を目安に肩まで浸かりましょう。

食べる物・飲む物を意識する

こまめに、また少し多めに水分を補給しましょう。いつもどおりの生活をしていても人は1日に2.5リットルの水分が失われています。そのうち1.3リットルは体内で作られますが、1.2リットルは水分を補給することでしか補えません。そのため意識して水分を補給する必要があります。

水分を補給することで血行が促進され、基礎代謝が上がる効果が期待できます。白湯(さゆ)など温度を上げて飲むと、胃腸が温まることによって内臓の働きが活発になるのでより効果的です。

また、唐辛子や生姜、根菜など、体を温める作用がある食べ物も意識して口にしましょう。白湯と同様、内臓の働きが活発になることで、基礎代謝が上がる効果が期待できます。

このほか、腸内環境が整うと基礎代謝が上がりやすくなるといわれています。腸内環境を整える効果がある味噌やヨーグルトなどの発酵食品や、善玉菌のエサとなり便を柔らかくする効果がある海藻類やごぼうなどの水溶性食物繊維も意識して口にしましょう。


正しい姿勢を維持する

正しい姿勢を維持することも、基礎代謝を上げることにつながります。なぜなら、姿勢を維持するためには基礎代謝量の約22%を占める骨格筋が使われており、体の奥にある筋肉(インナーマッスル)を鍛えることで基礎代謝が上がるといわれているからです。 

正しい姿勢とは、立っているときも座っているときも背筋をピンと張った状態です。肩の力を軽く抜き、肩甲骨と胸を開いた状態をキープしましょう。


長時間の座りっぱなしを避ける

長時間の座りっぱなしを長時間座りっぱなしの状態が続くと寿命が短くなるというのは、オーストラリアのベーカーIDI 心臓・糖尿病研究所などの研究の結果で明らかになっています。それだけではなく、長時間の座りっぱなしは血流の悪化から基礎代謝を下げることにつながります。

 仕事中でも30分〜1時間を目安に席を立つ、スクワットやストレッチなどを行い全身の血流を促進させるといった習慣付けをしましょう。

非運動性熱産生(NEAT)を高める

非運動性熱産生(NEAT=Non-Exercise-Activity Thermogenesis)は、運動以外の身体活動で消費されるエネルギーのことを指します。

立ったり座ったり歩いたりといった一つひとつの活動量は小さいですが、非運動性熱産生(NEAT)の時間をコツコツ増やし多くのエネルギーを消費することが、基礎代謝を上げることにつながるといわれています。

例えば、通勤時やお出かけ時はエスカレーターではなく、なるべく階段を使うようにする、掃除をこまめに行う、立って行動する用事を作るなど、日常生活の中で意識してみると良いでしょう。


 5. まずは簡単なストレッチからはじめてみよう! 

運動をすることは、基礎代謝を上げることにつながります。大事なのは、毎日コツコツと運動を続けることです。

運動が苦手だったり、毎日続けることに不安を感じたりしている方は簡単にできるストレッチから始めて、慣れてきたら少しずつ運動量を増やしていきましょう。

 下の記事では、簡単に続けられるストレッチの方法をご紹介しています。自宅ですぐにできますので、ぜひ挑戦してください。

 6. 基礎代謝をフォローするための習慣 

加齢により基礎代謝が下がってきた方は、生活習慣を見直すことが大切です。詳しい方法をご紹介しますので、できることから始めてみましょう。

質の高い睡眠を心がける

睡眠中は成長ホルモンが出ているため、全身の細胞の新陳代謝が最も上昇するタイミングです。成長ホルモンの分泌がスムーズにいかないと、新陳代謝がうまく行われず、基礎代謝量が減ってしまいます。

十分な睡眠時間を確保するとともに、質の高い睡眠を心がけましょう。

腸内環境を整える

腸内環境が整うと、栄養がスムーズに吸収され、体の隅々にまで栄養が届きやすくなります。その結果、代謝機能を担う肝臓にも栄養が効率良く運ばれ、活発に働けるようになることから、代謝の向上に繋がります。

 腸内環境の整え方については、下記の記事で詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。


糖質と脂質を摂りすぎない

糖質や脂質を撮りすぎると、エネルギーとして消費されずに体内に脂肪として蓄積されてしまいます。

日頃から糖質や脂肪を摂りすぎない食生活を心がけることが大切です。例えば、うどんはそばに変えたり、白米は玄米に変えたり、パンは全粒粉のパンに変えたりなどであれば、気軽にできるでしょう。

サプリメントを活用する

代謝アシスト効果が期待できるサプリメントを摂取することも一つの手段です。注目したい成分は、エネルギー代謝を補う酵素であるビタミンB群や、筋肉の合成や成長ホルモンの分泌促進に関わるアミノ酸、筋肉量を増やして基礎代謝を上げるサポートをするプロテインなど。


 7. まとめ 

体型維持や美肌と密接な関わりがある基礎代謝は、加齢などが原因で下がり、健康や美容に悪影響を及ぼすことになります。

 理想的な基礎代謝の数値を日頃から意識し、食生活や生活習慣などを見直すなど、日頃から基礎代謝を上げることを心がけましょう。

執筆・監修遠藤 幸子 エイジング美容研究家/美容ライター

アットコスメ公認ビューティストに認定されたのを足掛かりに、活動をスタート。ウェブや雑誌などで美容コラムの執筆や監修を行う他、テレビやラジオ、雑誌、新聞、広告などに出演。いつまでもキレイでいたいと願う女性に向けて、日々美容情報を発信中。

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