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からだのこと

犬の腸内フローラ(腸内細菌叢)が乱れる原因とは 主な症状も解説

腸内細菌のバランスが崩れて腸内フローラが乱れると、犬は体調不良を起こすおそれがあるので注意が必要です。今回は、犬の腸内フローラが乱れる原因や起こりうる不調などをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも犬の腸内フローラや腸内細菌って?

腸内フローラの正式名称は「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」です。犬の腸内に生息する常在細菌(=腸内細菌)は、種類ごとに塊となって腸の壁に隙間なく張りついているのですが、その様子がお花畑のように見えることから、「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。

犬の腸内細菌は、大きく悪玉菌・善玉菌・日和見(ひよりみ)菌に分けられます。善玉菌は体によい影響を与える菌で、悪玉菌は体に悪い影響をもたらす菌、日和見菌は善玉菌・悪玉菌のうち、優勢なほうの味方をする菌です。その理想的な割合は、悪玉菌1:善玉菌2:日和見菌7とされています。

一見、悪玉菌は必要ないように思えるかもしれませんが、悪玉菌がいなければ善玉菌は正常に働かなくなってしまうため、腸内細菌はバランスを保つことが重要と考えられています。

犬の腸内フローラ(腸内細菌のバランス)が乱れる原因・起こりうる不調

先述のとおり、犬の健康のためには腸内細菌のバランスを保つことが大切ですが、腸内細菌は食生活の変化などによって、バランスが乱れてしまうことがあります。

たとえば、悪玉菌は大腸に運ばれてきたたんぱく質をエサに増えるため、たんぱく質を摂りすぎたり、消化の悪いたんぱく質を摂取したりすると、胃や小腸で消化吸収されなかった過剰なたんぱく質によって悪玉菌が増えることが。また、食物繊維は善玉菌の栄養になるため、食物繊維が不足すると腸内環境の乱れにつながります。

食事のほかにも、ストレスや加齢、抗菌剤の服用などが原因で、腸内細菌のバランスが崩れてしまう場合もあるので注意が必要です。

腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌優勢の状態になると、軟便や下痢、便秘などの症状があらわれるほか、ウンチのニオイが変化することもあります。また、犬の腸は全身の免疫をつかさどる重要な働きをしているため、免疫力が低下して病気にかかりやすくなったり、これまで出てこなかったアレルギー症状などが生じたりすることもあるでしょう。

まとめ

個体ごとに最適な腸内環境のバランスがあるので、ふだんからウンチの状態をよく確認し、もっともよい状態をキープしましょう。腸内細菌のバランスを整えるには、良質なたんぱく質や十分な食物繊維など、栄養のバランスがよく、消化のよい食事を与えることが大切です。

獣医師からのアドバイス

犬にとってたんぱく質はとても大切な栄養成分ですが、量を多く摂ればいいというわけではありません。消化しきれなかったたんぱく質は、大腸で悪玉菌のエサになり、腸内環境を悪化させてしまうからです。腸内環境を悪化させないためには、良質で消化の良いものを選ぶことが重要。たんぱく質は、高温で加熱しすぎると消化が悪くなってしまうため、原料選定や低温加熱などの製法にこだわったフードを選ぶと良いでしょう。

左向 敏紀 先生

日本獣医生命科学大学 名誉教授
一般社団法人 日本ペット栄養学会会長

・画像/Getty

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