食事
犬に欠かせないたんぱく質とは?主な働きや与えるときの注意点を解説
たんぱく質は脂質や炭水化物とともに「三大栄養素」と呼ばれ、犬に欠かせない栄養素のひとつです。この記事では、たんぱく質の特徴や主な働き、与えるときの注意点を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
犬に欠かせない栄養素・たんぱく質とは
たんぱく質とはアミノ酸がいくつも連なった高分子化合物のことで、供給源によって以下の2種類に分けられます。
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・動物性たんぱく質
肉や魚、卵などの動物性食品に含まれるたんぱく質を「動物性たんぱく質」といいます。犬が体内でつくることのできない必須アミノ酸が、バランスよく含まれているのが特徴です。 -
・植物性たんぱく質
穀類や豆類などの植物性食品に含まれるたんぱく質を「植物性たんぱく質」といいます。植物性食品は脂質が少ないため、カロリーを抑えられるのが特徴です。
体内で働くアミノ酸は約20種類ありますが、そのうち犬の体内で作れない必須アミノ酸は10種類あり、食べ物から摂取する必要があります。犬の場合、植物性たんぱく質のみでは不足するアミノ酸があるため、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質をバランスよく摂取することが大切です。
犬の体内でのたんぱく質の働き
たんぱく質の犬の体内での主な働きは、筋肉や骨、臓器、爪、皮膚、被毛などの構成です。また、酵素やホルモンなどとして、犬の体の機能を調節する働きもしています。病気を防ぐ免疫抗体も、たんぱく質からつくられます。
このようなことから、犬はたんぱく質が不足すると、筋力・体力・免疫力の低下や抜け毛の増加など、体のあらゆるところに不調があらわれやすくなるので注意が必要です。特に成長期の子犬は、筋肉や内臓などの組織をつくるために、成長時期によって成犬の約2倍〜4倍もの量のたんぱく質が必要と考えられているので、不足しないよう摂取量には十分気を配りましょう。
犬にたんぱく質を与えるときの注意点
犬の年齢や健康状態などに合った「総合栄養食」のフードを、毎日の主食に適正量与えていれば、基本的にたんぱく質不足になることはありません。ただし、量を十分にとっていても、消化の悪いフードではすべてが吸収・利用されていない可能性があります。
また、犬の食べる量が少なければ、たんぱく質は不足してしまうので注意が必要です。健康上の問題がないのに、犬がフードを残してしまうときは、犬の好みに合ったフードを見つけて切り替えたり、食が進むような工夫をしたりするとよいでしょう。
まとめ
さまざまな働きをもつたんぱく質は、犬の健康に欠かせない栄養素です。年齢や健康状態などに合わせて、適切に摂取させてあげましょう。
獣医師からのアドバイス
アレルギーを引き起こす原因となる物質はほとんどがたんぱく質です。そのため、食物アレルギー用の療法食(獣医師が処方するフード)は、たんぱく質量を低く抑えているものが多いようです。しかし、極端にたんぱく質を制限すると、皮膚の再生ができなかったり、免疫機能が落ちて感染しやすくなるなど、逆効果となることがあります。何のたんぱく質にアレルギーを起こすのかをまずしっかりと把握し、それ以外のたんぱく質は充分に摂ることが大切です。その場合、たんぱく源を1種類しか原材料として使用していない、単一たんぱくのフードが利用しやすいでしょう。
左向 敏紀 先生
日本獣医生命科学大学 名誉教授
一般社団法人 日本ペット栄養学会会長
・画像/Getty