食事
犬に必須の栄養素であるたんぱく質の最適な加熱方法とは
犬の成長と健康に欠かせない栄養素である、たんぱく質。必要量をバランスよく摂取するには、総合栄養食のフードを与えることが大切ですが、たまのお楽しみで手作りフードを与えたりトッピングを加えたりする場合は、食品を加熱処理することがおすすめです。
たんぱく質を多く含む食品とは
たんぱく質には「動物性たんぱく質」と「植物性たんぱく質」があります。 動物性たんぱく質を多く含む食品には、卵、豚肉、ささ身(鶏肉)、魚などがあり、植物性たんぱく質を含む食品には大豆(豆腐・納豆)などがあります。
加熱することの必要性
食品のたんぱく質は、特有の立体構造をとっており、加熱したり加工したりすることで、その構造がくずれ、より消化がしやすくなります。
特に肉類のたんぱく質に関しては、熱が加えられていないものは消化によくありません。ゆっくりと加熱調理することで、消化しやすくなるでしょう。
消化のしやすさ以外の観点からも、動物性たんぱく質を含む食品を与える際は、寄生虫感染や雑菌の付着から愛犬を守るため、必ず加熱処理してください。
また、大豆もそのままだと消化によくありません。大豆の場合は加工した豆腐のほうが、たんぱく質がより消化・吸収されやすいです。
加熱しすぎに注意
ただし、熱をかけすぎるとたんぱく質は変性してしまうことがあります。焼きすぎて焦げたお肉やお魚は人でもあまり食べませんよね。加熱のしすぎは逆に消化を悪くしてしまいます。
中まできちんと熱が加わるように、食材を大きいまま調理する場合は低温でじっくりと、あるいは食材を細かく切って、あまり温度と時間をかけずにさっと調理するのがコツです。
まとめ
食品に含まれるたんぱく質は、適切に加熱することで消化・吸収がしやすくなります。加熱方法を工夫して、より愛犬の体にやさしい食事を与えてあげましょう。
獣医師からのアドバイス
ドッグフードでしばしば問題となるのは、サルモネラ菌という病原菌による汚染です。サルモネラ菌は肉や卵に多く付着しています。生肉使用を謳ったフードやトリーツもありますが、生よりも加熱をした方が消化も良くなりますので、必ず加熱処理が施されているかを確認しましょう。ただ、加熱しすぎると逆に消化が悪くなってしまいます。サルモネラ菌は75℃で1分間加熱すると死滅することがわかっていますので、75~100℃以下が安全で最も消化が良くなる加熱方法です。
左向 敏紀 先生
日本獣医生命科学大学 名誉教授
一般社団法人 日本ペット栄養学会会長
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