「5月病」という言葉がある通り、
5月は特に新しい仕事や異動、
新学期などで人とのつながりや交流に疲れやすい時季。
そこで今回は、緊張と疲労を繰り返している神経とうまく付き合い、
安⼼してくつろぐための7つのヒントをご紹介します!
初対面の人と話すとき、緊張してドキドキしたり汗をかいたりしてしまうことはありませんか?
このような、自分でコントロールできないことは「自律神経」の仕業で起きています。
自律神経には、刺激されると興奮や恐怖を高める「交感神経」(車でいうアクセル)と、
興奮を鎮めてリラックスさせる「副交感神経」(車でいうブレーキ)があります。
さらに副交感神経には、休息と消化をつかさどる「休息・消化モード」と、
誰かと他愛のないおしゃべりをするなど心地よくつながろうとする「つながりモード」があります。
この2つのモードが、交感神経を落ち着かせ、“安心のタネを育てる”という点で最も重要なものといえるでしょう。
「つながりモード」は生育過程で発達させていくもので、上手に育てられていない人が少なくありません。
一方、身体のメンテナンスや生命維持に欠かせない「休息・消化モード」に切り替えるスイッチは、
誰もが生まれながらにして持っています。まずはこの「休息・消化モード」のスイッチを入れて
しっかり休むためのワークから始めてみましょう。どれも簡単なので、自分が心地いいと感じるものを見つけてください。
腎臓を温めると「休息・消化モード」にスムーズに入れます。腎臓は背中側の腰の上あたりに左右⼀つずつあります。場所がわからなくても、触っていて安心する場所があれば、そこに両⼿のひらを当ててみましょう。 座った姿勢でも良いですが、仰向けになって寝ると自分の体重がかかり、さらに効果を感じやすくなるのでおすすめです。
「休息・消化モード」には腎臓だけでなく⼤腸や⼩腸も深くかかわっています。お腹を手のひらで温めてみましょう。おへその周りであればどの位置でも問題ありません。
横になって触るのがベストですが、あぐらをかいたりソファに座ったりしても良いです。ストレスがない状態だと腸が動くのを感じられて、逆にストレスがたまっているとお腹がかたくなっているのを感じられるはずです。
普段からぼーっとする時間を積極的にとって、幸せを感じましょう。
「休息・消化モード」に慣れてくると、怒りや悲しみは5~15分で収まってきます。お茶を飲みながらなど意識してぼーっとするために、20分でもいいので手帳のスケジュールに時間を組み込むと良いでしょう。
おいしいものを⾷べてお腹いっぱいの状態を、頭ではなくお腹で想像してみてください。「休息・消化モード」が刺激され、脳に良いシグナルが送られるので実際には食べていなくても幸せを感じられるはずです。
心も体も満たされると、呼吸が深くなりリラックスできます。
休⽇に動けないほど疲れている⼈は、⼀度その状態になるとしっかり休まなくては回復できません。
脳のエネルギーを使い切らないためにも、普段から8~10時間は脳を休ませる時間を作りたいものですが、それが難しいときには昼寝が有効です。夜の睡眠の3倍の疲労回復効果があるといわれています。
両⾜のすねを⼿で押すと交感神経の興奮がおさまります。試しに誰かに上から押してもらってみてください。気持ちよさを感じると思います。家のなかで一人で簡単に実践するには、2キロくらいの重さのあるものを利⽤するといいでしょう。ちょうどいいのが2キロの米袋です。横になって米袋を10分ほど両脚のすねに乗せてみてください。そば殻の枕もおすすめです。脚にしっとりとまとわりつくのが気持ちよくて、眠くなるかもしれません。ただし、それ以上重いものを乗せたり、ひざや脚に不具合がある方などは避けたほうが良いでしょう。
イライラしたときにゆっくり動くものをじっと眺めていると落ち着くことはありませんか。
水槽の魚や水草、キャンドル、砂時計など何でも良いので、3〜5分⾒つめるだけで⼗分です。見ているものに合わせて無意識のうちに体がゆっくり動いてきたら、
「休息・消化モード」が正しく動いている証拠です。
「休息・消化モード」で休む感覚がある程度つかめたら、次は「つながりモード」を刺激して交感神経にブレーキをかける以下のような⽅法も試してみましょう
- 船の出⼊港の汽笛を真似して
「ぼぉーー」「ぶぅーー」と声を出す - 深く考えずに電⾞のなかで
⾒えたものを3つ⼝にしてみる
(心の中で言うのでもOK) - “酸っぱい顔”をして⽬と⼝元を
ぎゅーっと中⼼に寄せる - 暑い⽇には冷たいものを、寒い⽇には温かいものを頬に当てる
顔周りの筋⾁を刺激することで「つながりモード」がオンになり、苦⼿な⼈に会う前でも緊張がやわらいで、受け⼊れ態勢が整いやすくなります。
⻑時間スマホを⾒続けたり、満員電⾞に揺られたり、明るい照明に⼀⽇中当たっていたり…。 現代人は⾳や情報などの刺激や、⼈と接することによる緊張などに四六時中さらされています。
今回ご紹介した中で気に入ったワークを日常的に繰り返し実践し、少しでもストレスを乗り切れたら良いですね。
浅井 咲⼦(あさい・さきこ)先生
神経セラピスト、公認⼼理⼠。
教育センターや企業内で相談員として勤務し、2008年よりアート・オブ・セラピーを設⽴し、 ⾃⼰調整と回復⼒のある⽣活を提案。11年からは東⽇本⼤震災の被災地(福島)で 定期的に、トラウマとPTSDのケアのための訪問も⾏っている。
著書に「不安・イライラがスッと消え去る『安⼼のタネ』の育て⽅」などがある。