#02
CGIディレクター 永井 有 さん
TVアニメ『薬屋のひとりごと』の世界観を構築する、CGIディレクター永井さんに、TVアニメ第3期と劇場版の見どころや、3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)制作の裏側について語っていただきました。
※本記事には、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第1期・第2期の内容が含まれます。未視聴の方はご注意ください。
CGIディレクター 永井 有さん
株式会社オー・エル・エム・デジタル
Interview 01
第1期の最終話(第24話)で、猫猫(マオマオ)が城壁の上で踊るシーンですね。ここでは、3次元の動きをデータ化する技術を活用しました。アクターさんの踊る動きを3Dデータ化し、描くアングルを決める。それを作画のガイドにして、1カットずつ丁寧につくっていきました。完成まで半年でクオリティも高まり、非常に印象深いシーンとなりました。
CGデータをそのまま使うと、キャラクターの動きが滑らかすぎて、手描きの作画と並べると浮いてしまうんですよね。そこで、コマ(映像を構成する静止画)とコマの間を意図的に間引く「コマ落ち」という手法を用いて、作画とテンポ感を揃えました。
多くの場合、キャラクターに注目しますが、私が注目するのはフレームの端です。中途半端な映り込みを外し、人物や物体の遠近感なども細かく調整しています。他のディレクターからは「チェックが細かい」とよく言われますが(笑)、見る方が作品に没頭できるように違和感はつくらないのが大切なこだわりです。
さらに、複数話にまたがる矛盾もチェックしています。例えばですが、1話で割れたはずのコップが、3話でテーブルに置かれていたらおかしい。そういった整合性も丁寧に確認しています。
Interview 02
アニメの「CG」というと、生き物や機械を動かす時に使われるイメージですが、『薬屋のひとりごと』ならではの使い方をしています。まず、美術チームがつくった建物などの3Dモデルを組み合わせ、後宮や花街の模型をデータ上につくります。そして、その模型の中にカメラを設置し、アニメで描く構図を決め、その上に作画を乗せていきます。
つまり、後工程の全てがCGの上に積み重なっていく。そういう意味では、CGIディレクターは作品の「要」のような存在だと思います。
先輩から教わった「カメラマンとして、作品の世界に入り込む」という意識です。この言葉を聞いて、自分はただパソコン上で3Dモデルを動かしていただけだったのだと気づかされました。今は、この意識があるので、キャラクターをどこに置けばどう映るかがよりリアルに考えられるようになりました。
自分の領域にとらわれないことです。新たな提案をしたり、気づきを共有したりして、演出さんや監督と表現の仕方を話し合うようにしています。時には衝突することもありますが、「作品をより良いものにする」というゴールは同じだと思っています。
Interview 03
第3期では、これまでの後宮という舞台から、また違った場所にフォーカスされていきます。新たなキャラクターも登場し、さらに世界観が広がっていくので、原作を読まれている方なら「いよいよここか!」と思える場面が来るはずです(笑)。
劇場版は完全オリジナルストーリーで、TVシリーズとはまた別物の楽しさがあると思います。第1期・第2期からのファンだからこそ分かる部分もあるので、ぜひ楽しんでいただきたいです。実は、私も全部は知らないので、純粋にファンとしてワクワクしています。
ファンの方々の反応は、非常に励みになります! 特に印象的だったのは、「おばあちゃんが第3期を楽しみにしているから、長生きしたいと言っている」といった声です。
他にも、宮廷ドラマや謎解きが好きな方など、幅広い趣味嗜好、年代の方から反応があり、改めて多くの方に愛されている作品だと実感します。中には1コマずつ再生して見ている方もいて、目の付けどころが皆さんすごいんですよ。そんな皆さんのご期待に応えられるよう、作品のクオリティをもっと上げていきたいです。
「世界中で愛される作品をつくりたい」に尽きます。今や『薬屋のひとりごと』は、世界中の方に楽しんでいただける作品となっています。ファンの方のSNSでの盛り上がりを見るたびに、なんともいえないうれしさがこみ上げてきます。
作品への敬意をこれからも持ち続けながら、第3期、劇場版と、ますます多くの方に楽しんでいただける作品を届けていきたいです。
オフィスにいる間、自宅でのスマホも含めると、ほぼ一日中画面と向き合っているので、正直、目の疲れは気になっています。外の景色をぼーっと眺めたり、目の周りをマッサージしたりと意識はしているつもりです。これまで、アイケア用のサプリメントは試したことがなかったので、目の疲労感が軽減されるのであれば、ぜひ取り入れてみたいです。
仕事に集中し続けるためにも、日常的なケアを意識していきたいですね。