⾷べすぎ、飲みすぎ、家でゴロゴロ……
年末年始は⽣活習慣が乱れている⽅も多いのではないでしょうか。
厳しい寒さを迎えるこの時期の体には、⻘⿂が⼼強い味⽅です。
なぜ⻘⿂が健康によいのか、クイズを解きながら楽しく学びましょう!
⿂は⼤きく分けると「⾚⾝⿂」、「⽩⾝⿂」の2種類あります。では、「⻘⿂」はどちらに含まれるでしょうか?
正解は「⾚⾝⿂」。知らなかった!という⽅も多いのではないでしょうか。
そこで、まずはクイズの前に⿂の予備知識をインプットしておきましょう。
絶えず泳ぎ続け、運動量が多い⿂。⾎中に含まれる⾊素たんぱく質(ミオグロビン)の量が多く、⾝の⾊が⾚い。脂質に富んでいて、味は濃厚な傾向がある。
⾚⾝⿂の中でも、背中の⾊が⻘く光っている⿂のこと。
ゆっくり泳ぎ、運動量が少ない⿂。⾎中に含まれる⾊素たんぱく質(ミオグロビン)の量が少なく、⾝の⾊が⽩い。脂質が少なく、味は淡⽩な傾向がある。
- ①アジ
- ②サケ
- ③マグロ
- ④タイ
- ⑤タラ
⻘⿂は他に、サバ、ブリ、イワシ、サンマ、カツオ、サワラ、カンパチ、コハダ、ハマチ(ブリの幼名)などがあります。②サケ、④タイ、⑤タラは⽩⾝⿂。他にも、ヒラメ、スズキ、カレイ、キスなどが⽩⾝⿂に分類されます。
サケは⾝の⾊が⾚いのに
⽩⾝⿂?
サケの⾝は⾚いので「⾚⾝⿂」だと思われるかもしれませんが、じつは海に出る前の川で獲れるサケの⾝は⽩いのです。サケの⾝の⾚さは⾊素たんぱく質ではなく、海で⾷べているエビやカニに含まれる「アスタキサンチン」によるものです。
⻘⿂の脂に多く含まれる「EPA(エイコサペンタエン酸)」は、「DHA(ドコサヘキサエン酸)」、「DPA(ドコサペンタエン酸)」とともに、健康維持に⽋かせない栄養素として注⽬を集めています。現代⼈に不⾜しがちといわれる「オメガ3系必須脂肪酸」で、氷点下(マイナス30〜40℃)でも固まらない特徴があります。これらは体内で作ることができないので、⾷事から摂るしかありません。
EPA
サラサラ成分健康維持に
EPAの働きは、1960年代後半、グリーンランドなどの寒冷地に住むイヌイットの健康維持に注⽬した研究で明らかになりました。野菜をほとんど⾷べないのに健康を保っているのは、彼らの主⾷である⿂やアザラシに多く含まれるEPA、DPAによることがわかったのです。
DPAはEPAと同じサラサラ成分で、近年研究が進められています。
DHA
脳や⽬に多い成分考える⼒&⾒る⼒に
DHAはEPAと同じく⿂に含まれるオメガ3系脂肪酸で、脳や⽬の細胞に存在するのがDHAならではの特徴。⼈の脳の約60%は脂質で、DHAは脳細胞の記憶をつかさどる海⾺に特に多く存在します。また⽬の網膜などを構成する成分でもあり、⽇常的な活動に直結する多くの臓器の働きを⽀える重要な成分です。
- ①サバ
- ②アジ
- ③サンマ
EPAは⻘⿂の脂に豊富に含まれるので、油分が多い、脂がのった旬の⻘⿂をたっぷり⾷べたいもの。⿂の脂にはEPAとDHAの両⽅が含まれていますが、DHAが多い⿂=EPAが多いという訳ではありません。サラサラ成分を重視するなら、EPAの多い⿂をチョイスしましょう。
可⾷部100g(⽣)に
含まれるEPAの含有量
出典:「⽇本⾷品標準成分表2020年版(⼋訂)」より
カツオのEPA量は
時期で違う!
春に獲れる初ガツオと秋に獲れる戻りガツオで、EPAの量が変わります。秋は春の約10倍、EPAの量が多いのです。
- ①⽸詰(サバ、イワシなど)
- ②練り物(ちくわ、かまぼこなど)
イワシやサバ、ツナなどの⽸詰にもEPAは含まれます。⽸汁にも栄養が流出しているので、オイル漬けより汁ごと料理に使いやすい⽔煮がおすすめ。⿂⾁ソーセージ、はんぺん、かまぼこなどの練り物もEPAは含まれていますが、含有量はそれほど多くありません。
-
①お刺身
-
②焼き魚
-
③鍋
EPAは酸化しやすいので、新鮮なものをお刺⾝で⾷べるのが⼀番。焼き⿂や揚げものは加熱中、脂とともにEPAも流出してしまいます。加熱しすぎず、さっとレア気味に仕上げるくらいが◎。加熱調理の場合は、EPAが流れ出た煮汁ごと⾷べられる鍋や汁もの、アクアパッツァなどにするとよいでしょう。
- ①⿂は毎⽇⾷べた⽅がよい
- ②たんぱく質の量は、⿂よりも⾁の⽅が多い
- ③⿂単品よりも、野菜と⼀緒に⾷べた⽅がよい
種類により差はありますが、主な⿂類の100gあたりのたんぱく質は20〜26gほど、⾁類は20〜23gほどと、量はほとんど変わりません。⾁に⼿をのばしがちですが、主菜を⿂に変えて積極的に⾷べましょう。
1⽇1⾷、
⿂を⾷べるのが理想的
理想的なEPAの摂取量:
1⽇=1g以上(厚⽣労働省より)
→サンマの塩焼きなら約1/2尾、お刺⾝なら5切れほど
⿂+緑⻩⾊野菜で
バランスよく
EPAは体内で酸化しやすいため、⿂を⾷べるときは抗酸化作⽤のあるビタミンを含む緑⻩⾊野菜を組み合わせるのが◎。刺⾝や焼き⿂と⼀緒にサラダやおひたし、具沢⼭の味噌汁などを。
かつては「魚食の民」と呼ばれた日本人ですが、現代人は魚の摂取量が減少し、食事から摂るべき必須脂肪酸も不足しがちです。特に、青魚の脂に多く含まれるサラサラ成分「EPA・DPA」は、健康な体を維持するために大切な栄養素で、生活習慣が乱れがちな時期の心強い味方。魚はたんぱく質もしっかり摂れる優秀な食材です。目標は、1日1魚。半調理品や加工品、サプリメントも上手に活用して、もっとEPA・DPAを取りましょう。
平原 あさみ(ひらはら・あさみ)先生
管理栄養⼠・フードライフプランナー・NPO法⼈埼⽟県⾷育協会理事。⾷や健康に関するコラム執筆、テレビ、雑誌、書籍、企業タイアップの栄養監修などを⼿がけ、⼀般社団法⼈東京築地⽬利き協会認定講師も務める。シニア、⼦育て世代に向けて「⾷べることは⽣きること。⼀⽣を⾷とともに」をモットーに活動中。
編集・ライティング:矢澤純子
イラスト:CHINATSU
管理栄養⼠・フードライフプランナー・NPO法⼈埼⽟県⾷育協会理事。⾷や健康に関するコラム執筆、テレビ、雑誌、書籍、企業タイアップの栄養監修などを⼿がけ、⼀般社団法⼈東京築地⽬利き協会認定講師も務める。シニア、⼦育て世代に向けて「⾷べることは⽣きること。⼀⽣を⾷とともに」をモットーに活動中。
編集・ライティング:矢澤純子
イラスト:CHINATSU