今回
取材したのは
2005年にファンケルに入社。化粧品用の材料開発の基礎研究に携わった後、処方開発の分野に研究領域を広める。現在、洗顔パウダーをはじめ、「アンドミライ」の洗顔料などを担当。並行し、洗浄製品の処方等の基礎研究にも取り組んでいる。
- -ファンケルにとって“洗顔”とは?
最上:洗顔は素肌美のために何より大切なスキンケアの第一ステップだと考えています。さらに言うと正しく洗えば、おのずと肌は変わると信じているのです。世の中には数多くの洗顔料が存在し、新商品も続々でてきていますが、一方で洗顔そのものの大切さって意外に知られていないなと感じることがあります。
肌が唯一できないことって何だかわかりますか?それは汚れを落とす(=洗う)こと。だからこそ、「私たちの力でなんとかしたい」という想いを胸に、洗顔について何十年と研究し続けています。
- -なるほど。となると、洗顔料選びは慎重になりますね。
最上:そうですね。洗浄力が強いと汚れだけでなく、肌に必要な成分まで落とし、肌を傷める場合があります。洗顔後に肌のつっぱりを感じたことがある方って少なくないと思うのですが、まさにそれは肌に必要なうるおいまで落としてしまっているからかもしれないのです。
- -保湿成分配合の洗顔料を選べば解決しますか?
最上:実はそうとも言い切れません。私たちの角層には天然の保湿成分PCA、通称“うるおい成分”というものがあります。水分保持をしてくれる、高保湿成分です。与えるうるおいも勿論大切ですが、肌が元々もっているうるおい成分に勝るものはないと私たちは考えています。
- -このうるおい成分をいかに肌に残せるかが洗顔料選びのポイントなんですね。
最上:はい。けれどもこのPCAは水で洗い流したり洗顔する際に失われやすいという欠点があります。PCAが減少すると肌の水分保持力は低下、皮膚は乾燥し、柔軟性を失ってしまいます。そこでファンケルは、不要な汚れだけをしっかり落としつつ、PCAを落とさないことにこだわった洗顔料を追求したのです。
- -うるおい残して汚れは落とす。シンプルだけどあまり聞かない発想ですよね。
最上:それこそファンケルの強みじゃないかなと思っています。私たちはアミノ酸系洗浄成分「うるおいキープ洗浄成分」を開発しました。洗浄力は担保しつつも、皮膚表面と同じ弱酸性で肌にやさしく、PCAを守って洗う、他にはない画期的な成分です。これは、当時パウダー状であるからこそ実現できた機能であり、フォームやリキッドでは叶えられない働きでした。パウダーなら洗うときに初めて水を加えるため、成分の鮮度を保てるだけでなく、もっちりとした弾力のある泡を作ることができ、肌の摩擦を防ぐことができます。しかも、今は研究が進み、シャンプーなどの液体製品への配合も実現でき始めています。
- -“パウダー=泡立ちにくい”を覆した技術とは?
最上:パウダーって泡立ちにくいという印象をお持ちの方、多いですよね。ファンケルは効果だけでなく、理想的な使い心地も叶えるべく、研究に研究を重ねました。その結果、穴が開いた溶けやすいパウダーの採用や粉の表面を水になじみやすくする加工にたどり着き、サッと溶けながら、抜群に泡立つ仕組みを実現しました。パウダーは苦手という方にこそ、是非お試しいただきたいです。
- -最後に、お客様に一言お願いします。
最上:最初にお話しした通り、ファンケルでは洗顔はスキンケアのファーストステップと考えています。もこもこの泡をたっぷりと泡立てて丁寧に洗顔すると、肌はもっともっと美しくなれることを、是非洗顔パウダーを通じて体感していただければと思います。
また、一般的に女性の皮脂分泌量は30代以降で大幅に減少するため、洗顔においても10~20代のときと同じように“とにかく落とす”ことばかりに目を向けないことは大切です。大人には大人の洗顔、というと言い過ぎかもしれませんが、洗浄力の強すぎない洗顔料にして不要なものだけを落とすようにすることを、意識してみていただけると嬉しいです。