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 1. マルチビタミンはどんな効果が期待できるの? 

マルチビタミンとは、ビタミンA、B群など13種類の必須ビタミンの中から複数の栄養素が配合されたサプリメントです。

それぞれのビタミンが、エネルギー生成などさまざまな代謝をサポートし、抗酸化作用、皮膚や粘膜の健康維持に複合的に関わっており、どれも欠かすことができません。

マルチビタミンのほかに、マルチミネラルがありますが、こちらは鉄、カルシウムなど16種類の必須ミネラルの中から複数の栄養素が配合されたサプリメントです。ビタミンと同様さまざまな代謝を助けるほか、骨や歯の構成成分として存在し、生体機能の調整や機能を維持するために必要な複数のミネラルがバランスを保ちながら関わり合っています。

ビタミンもミネラルも、ほとんど体内で作ることができないため、食事から摂る必要がありますが、マルチビタミンは食事で十分な栄養素が摂れない場合でも体に必要なビタミンをまとめて補うことができます。

また、マルチミネラルは、食事が偏ってミネラルが不足しがちな場合に、バランスよく補うことができます。

ここでは、マルチビタミンで期待できる効果を紹介します。

体に必要なビタミンを手軽に摂れる

バランスの良い食事を心がけていても、野菜や果物など食物自体のビタミン含有量の変化、調理方法による損失、吸収率の個人差などから、必要な量をすべて摂るのはとても難しいものです。

マルチビタミンを活用することで、体に必要なビタミンが手軽に摂れるため、普段の食事で不足しがちなビタミンを補うことが期待できます。

肌や身体の健康を助ける

食事から十分な量のビタミンが摂れない場合に、マルチビタミンで健康を維持・増進するために必要な量を摂ることができれば、肌や身体の健康を助けることが期待できます。

複数のビタミンが協力し合うことで、より力を発揮することが分かっており、マルチビタミンの利用は効果的といえます。


 2. マルチビタミンに含まれる主な栄養素 

マルチビタミンは複数のビタミンが配合されたサプリメントの総称です。そのためマルチビタミンは製品によってビタミンの種類や量が異なります。

ここでは、一般的なマルチビタミンに含まれる13種類のビタミンを紹介します。

ベータカロテン(ビタミンA)

ベータカロテン(ビタミンA)には、動物性食品に含まれるレチノールや、緑黄色野菜に多く含まれるベータカロテンなどがあります。

ベータカロテン(ビタミンA)は、網膜の細胞に働き、目の機能の保護や皮膚や粘膜の健康維持に必要な栄養素です。夜間の視力維持を助ける機能があり、不足すると皮膚の健康に影響することがあります。

マルチビタミンサプリに含まれているビタミンA(ベータカロテン)は770μg。これを食物に換算すると、人参105g(約1本)相当です。

参考:食品成分データベース|文部科学省


ビタミンD

ビタミンDは、キノコ類や魚介類に多く含まれますが、食物から摂るだけでなく日光を浴びると皮膚からも作られます。

ビタミンDは、腸管からカルシウムの吸収を促進し、骨を作るのに必要な栄養素です。不足すると、骨へのリスクが高まります。

マルチビタミンサプリに含まれているビタミンDは、5.5μg。これを食物に換算すると、紅鮭約16g(1切れ80gの1/5切れ分)相当です。

参考:食品成分データベース|文部科学省


ビタミンE

ビタミンEには抗酸化作用があり、体内の脂質の酸化を防ぎ、血管や細胞の健康維持を助ける栄養素です。

マルチビタミンサプリに含まれているビタミンEは6.3mg。これを食物に換算すると、アーモンド18粒(20g)相当です。

参考:食品成分データベース|文部科学省


ビタミンK

ビタミンKは血液の凝固に必要な栄養素です。ビタミンKが不足すると血が固まらず出血が止まりにくくなります。また、骨にも必要な栄養素となっており、たんぱく質を活性化させ、カルシウムを骨に取り込む働きがあります。

ビタミンKは、健康な方の場合、現在の食事においてはほぼ充足していると考えられています。


ビタミンC

ビタミンCは皮膚や細胞のコラーゲンの生成に必要な栄養素で、皮膚や粘膜、骨の健康維持をサポートする働きや抗酸化作用があります。不足するとコラーゲン合成に影響がでることがあります。

マルチビタミンサプリに含まれているビタミンCは100mg。これを食物に換算すると、ブロッコリー70g(1株200gの1/3株)相当です。

参考:食品成分データベース|文部科学省


ビタミンB1

ビタミンB1をはじめとした、2、6、12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、パントテン酸の8つの栄養素を総称してビタミンB群と言います。

ビタミンB1は、糖質からのエネルギー産生や、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。不足すると倦怠感や疲労感に影響が出る可能性もあります。

マルチビタミンサプリに含まれているビタミンB1は1.2mg。これを食物に換算すると、豚肉(ひれ)91g相当です。

参考:食品成分データベース|文部科学省


ビタミンB2

ビタミンB2は、糖質・脂質・たんぱく質の代謝、エネルギー産生、成長促進、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。

マルチビタミンサプリに含まれているビタミンB2は1.4mg。これを食物に換算すると、牛乳約700g(コップ約4杯弱)相当です。

参考:食品成分データベース|文部科学省


ビタミンB6

ビタミンB6は、アミノ酸の代謝、皮膚や粘膜の健康維持、神経伝達物質の代謝を助ける栄養素です。不足すると、皮膚の健康への影響などが現れることがあります。

マルチビタミンサプリに含まれているビタミンB6は1.3mg。これを食物に換算すると、かつお171g(刺身約10切れ)相当です。

参考:食品成分データベース|文部科学省


ビタミンB12

ビタミンB12は、赤血球の生成やアミノ酸や脂質の代謝を助ける栄養素です。

マルチビタミンサプリに含まれているビタミンB12は2.4µg。これを食物に換算すると、牛肉(肩肉)70g相当です。

参考:食品成分データベース|文部科学省


ナイアシン

ナイアシンはビタミンB群のひとつで、体内で必須アミノ酸であるトリプトファンからも合成されます。

ナイアシンは、糖質・脂質・タンパク質の代謝や、エネルギー産生を助ける栄養素です。不足すると、皮膚への影響が出ることがあります。

マルチビタミンサプリに含まれているナイアシンは13mg。これを食物に換算すると、キハダマグロ(生)72g(刺身約8切れ)相当です。

参考:食品成分データベース|文部科学省


葉酸

葉酸はビタミンB群のひとつで、ビタミンB12とともに、赤血球の生成や細胞の生成・再生に関わる栄養素です。また、胎児の成長に欠かせない栄養素の一つです。

マルチビタミンサプリに含まれている葉酸は240㎍。これを食物に換算すると、鶏レバー(生)18.5g相当です。

参考:食品成分データベース|文部科学省


ビオチン

ビオチンは、糖質、たんぱく質、脂質の代謝に関わるカルボキシラーゼという酵素の働きをサポートし、皮膚や粘膜、爪や髪の健康維持を助ける栄養素です。

不足すると、皮膚や食欲への影響などが現れることがあります。

マルチビタミンサプリに含まれているビオチンは50㎍。これを食物に換算すると、まいたけ(生)約200g(約2パック)相当です。

参考:食品成分データベース|文部科学省


パントテン酸

パントテン酸は、エネルギー産生に重要な役割のあるCoA(コエンザイムA)という補酵素の構成成分として、糖や脂質の代謝に関わる栄養素です。

不足することはほとんどありませんが、CoAが少なくなることで、疲労感や食欲に影響が出ることがあります。

マルチビタミンサプリに含まれているパントテン酸は4.8㎎。これを食物に換算すると、えのきだけ約343g(約3~4袋)相当です。

参考:食品成分データベース|文部科学省


 3. マルチビタミンがおすすめの人 

マルチビタミンは、次のような人にぜひ摂っていただきたいサプリメントです。

不規則な生活をしている

睡眠時間が短い、夜更かし、3食きちんと食べないなど、不規則な生活をしている人は全体的な食事量が少ない傾向があります。仕事や育児で忙しく食事の時間が満足にとれない人や、健康的な食事への意識が低い人が多いようです。

まずは生活の改善が必要ですが、急に変えるのは難しい場合も多いので、少しずつ生活改善を試みながらビタミン不足をマルチビタミンで補うことをおすすめします。

食事の栄養バランスが悪い

好き嫌いが多い、好きなものばかり食べてしまう、インスタント食品が多い、極端なダイエットをしているなど、食事の栄養バランスが悪い人には、必要なビタミンを手軽に摂れるマルチビタミンがおすすめです。

また、栄養バランスを考えて食事を摂っていたとしても、1日に必要なビタミン類を不足なく摂るのは難しく、どうしても偏りが出てしまうこともあるでしょう。そういったときにもマルチビタミンを活用するのがおすすめです。

喫煙習慣がある

喫煙習慣がある人の特徴として、緑黄色野菜や果物類を摂る量が少ない傾向があり、特にベータカロテン(ビタミンA)、ビタミンE、ビタミンCの摂取量が少ないといわれています。

また、喫煙習慣のある方は喫煙による体のダメージを修復するためにビタミンCを多く摂る必要があります。非喫煙者よりも、ビタミンCを1日につき35mg多く必要とするため、効率よくビタミンを補えるマルチビタミンを摂取するとよいでしょう。

参照:厚生労働省eJIM 「ビタミンC[サプリメント・ビタミン・ミネラル - 一般]」

体に必要なビタミンを手軽に摂りたい

ビタミン不足が心配だが、どんなビタミンを摂ったらよいかわからない、たくさんのサプリメントは摂りたくないという人には、必要なビタミンがひとまとめになっているマルチビタミンがおすすめです。

バランスの良い食事を心がけたうえで、食事で十分に摂れないビタミンをマルチビタミンで効率よく補いましょう。


 4. マルチビタミンの選び方をチェック! 

マルチビタミンを選ぶときにはパッケージの裏を見て、成分表示やアレルギーなどに関する情報をチェックしましょう。

マルチビタミンといっても、製品によってビタミンの種類や量、サポート成分などが異なるからです。では、マルチビタミンを選ぶときのポイントを紹介します。

自分の状況に合っているか

自分の年齢や性別、ライフスタイルや健康状態などに合ったビタミンの種類や量が配合されているかをチェックすることがポイントです。

【20代女性の場合】
仕事やプライベートが忙しくても、肌の健康を保ちたい20代女性には、コラーゲンの生成に関わるビタミンCや抗酸化作用のあるビタミンEに注目しましょう。

【30・40代女性の場合】
家事や育児と仕事の両立で忙しく、年齢による変化も気になる40代女性は、日々の活力のためにビタミンB群や、抗酸化作用のあるビタミンEに注目しましょう。

【50代女性の場合】
閉経を迎えた50代以降の女性では、骨の健康リスクを意識しましょう。また、加齢にともなうビタミンB12の吸収低下があるため、ビタミンDやビタミンB12に注目しましょう。

【20・30代男性の場合】
筋トレやスポーツをしている30代男性は、エネルギー産生に重要な役割があるビタミンB群や、活性酸素に抗酸化作用のあるベータカロテン(ビタミンA)やEは注目すべきビタミンです。

【40・50代男性の場合】
仕事が忙しく不規則な食生活になりがちで、健康数値も気になり始めた40代男性は、緑黄色野菜や果物の摂取を補うベータカロテン(ビタミンA)やビタミンC、エネルギー産生に関わるビタミンB群やビタミンDに注目しましょう。

続けやすい価格や飲みやすさ

マルチビタミンの効果を期待するには続けることが大切で、負担にならない価格であることは重要なポイントです。また、自分が飲みやすい粒の大きさや形、飲む回数や粒数などにも注目しましょう。

効率よく体内に吸収される設計になっているか

ビタミンは体内に吸収されてはじめて効果が期待できるため、ビタミンの吸収をサポートする成分の配合にも注目してみましょう。

例えば、ビタミンをサポートする成分やプラスαの成分が配合してあるなど、体内の吸収まで考えて、健康をサポートしてくれるものもあります。

栄養素等表示基準値に対応しているか

栄養素等表示基準値は、食事摂取基準をもとに示された、健康の維持と増進のために1日に摂取が必要な栄養素の量です。

マルチビタミンを選ぶときには、各成分が栄養素等表示基準値に対応しているか、何%が配合されているかをチェックしましょう。

安全基準の厳守が徹底されているか

安全性のチェックポイントとして、「健康補助食品GMPの取得の有無」と「原材料の産地や品質」をWEBサイトや商品パッケージなどでチェックしてみましょう。

GMPは、「製品の品質と安全性の確保」を目的とした製造認可基準であり、取得しているということは品質管理体制がしっかり整っている証明になります。

さらに、原材料の産地や品質も大切です。産地や品質が明確に情報開示されていることは、安全性をチェックする際に不可欠といえるでしょう。

気になることがあったらすぐに相談できるか

製品についての質問、普段飲んでいる薬との飲み合わせの確認、摂取後に体調の変化など気になることがあった場合に、すぐに問い合わせられるようにサポートが充実しているものを選びましょう。

商品のパッケージ裏や、公式ホームページ内に問い合わせ先が記載されているものも多いです。


 5. マルチビタミンを摂る際の注意点 

マルチビタミンを摂る際には、以下の点に注意してください。

1日の摂取量を超えないようにする

マルチビタミンに記載された、摂取の目安となる1日の回数や粒数を守るようにしましょう。目安量を超えた摂取の場合、ビタミン過剰症などのリスクもあるからです。

飲み合わせに注意する

日頃から薬を服用している人は、飲み合わせに注意が必要なため、あらかじめ主治医や薬剤師に相談したり、必要があればメーカーに問い合わせるようにしましょう。

ビタミンと薬の飲み合わせで、ビタミンの吸収や薬の効果に影響する可能性もあります。

できれば食後のタイミングで摂る

マルチビタミンには脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンが配合されており、食事由来の油分や食物と一緒に摂ると吸収が良くなるため、できれば食後に摂ることをおすすめします。

ただし、薬ではないので、自分が続けやすいタイミングで摂りましょう。


 6. まとめ 

マルチビタミンは、日常の食生活の中で不足しがちなビタミン1日分を、バランスよく配合したサプリメントです。

マルチビタミンは、不規則な生活や食事の栄養バランスが悪い人はもちろん、食生活に気をつけている人にとっても、健康の維持や増進に必要なビタミンを補うことが期待できます。

製品により配合されているビタミンの種類や量、サポート成分などが異なるため、自分の年齢や性別、健康状態やライフスタイルに合わせた製品の中から、負担のない価格で飲みやすい物を選ぶことが続けるためのポイントです。

マルチビタミンを摂る際には、定められた量や、薬との飲み合わせなどに注意しながら、健康の維持・増進に上手に役立てましょう。

執筆・監修小谷 敦子 薬剤師、医療系ライター

薬剤師の知識と経験に基づき、多方面の領域に対して豊富な実績を有する医療系ライター。ウェブや冊子で医療や薬物療法を一般の人にも分かりやすく解説。美容と生活習慣病予防を目的とした食事療法や運動療法などを踏まえたダイエット法を提唱。

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